ファンタジア！！

「俺たちの活動開始んげき。」

「俺と翔真の過去...そして、イベントに参加出来ない理不尽な理由。」

「次に...桜宮虎雅さんのグループですが...。すみません、今回のイベントでは桜宮さんのグループは、条件違反により参加自体が出来なくなっています。『はぁ！？...えっ！？？？ちょっと！！参加出来ないってどういうことですか！？？...ちゃんと書類の提出期限だって...』すみません、規則は規則ですので。『いや、まだ話、終わってないんですけど！？（汗）』」

 こう言った俺の声など、聞こえていないかのように、次のグループの抽選を開始しだした司会者に、納得がいっていなかったが、俺の背後から盛大に鼻を鳴らして現れた奴により、これらの理不尽な理由を一気に把握することが出来た。

「あれ～～～？？誰かと思えば、虎雅ちゃんじゃん！！！どうしたの～？？？ここは、バンドが集まる抽選会なのに...。虎雅ちゃんは、バンドやめたのになんでここにいるの～～～？？？（笑）」

「ちょっと、はやと～～！（笑）正論だけど、流石に言い過ぎ！（笑）まぁ、確かにぃ？？冬月も君のヘンテコなグループにいるんだもんね？？だったら、仕方ないかな？庇ってあげることは、残念ながら出来ないかな～？？だって、あいつは、俺たちのバンドデビューチャンスを台無しにした奴なんだからな。なんていう茶番はここまでにして...お前達は、永久にバンドなんて出来るわけないんだから、とっととやめちゃえば？？金もメンツもないやつが...目障りなんだよね？？」

 俺が怒りでぐっと自らの手を握りしめているとき、その怒りに更に追い打ちを掛けるように、翔真の元々いたバンドの先輩は、俺の耳元に口を寄せると怒りをはらんだ声で威嚇してきたのだった。

 俺は、言いたいことだけ言って去った、自分勝手な先輩方を殴り飛ばしに行きたかった。

 でも、我慢するしかなかった。

 彼らに逆らうと...社会的に抹殺される可能性があったからだ。

だって、はやと先輩の家は...。

 そこまで考えて俺は、はっと我に返り、この事を一刻も早く翔真に知らせて何とか策を打たないと、一生懸命に俺たちについてきてくれた七緒や奏也...それに、これから一緒に頑張っていくと決めた優にまで、悲しい思いをさせてしまう事に繋がると考え、走って練習部屋へと向かうのであった。

 俺と翔真の過去は、ずっとつきまとうものだったなんて、あの時の俺は考えもしなかった。

 そのせいで、みんなに悲しい思いなんて...。

 彼らの苦しい過去を知っているからこそ、なんとしても、イベントに参加出来ないという状況は避けたい。

 その一心で、俺はあることを考えていた。