ファンタジア!!

日向 ずい

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第5章「乙四の謎解き開始???」

「ディアマンを捕まえようぜ!!!」

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 俺たちは、本当は使ったらいけないんだけど...大学の地域学部にあるピアノをこっそり使って、再度乙四を弾くことで楽器屋のおじさんに変な呪いをかけたディアマンを呼び出すことにした。

 そうして俺たちは今現在、授業も終わり、大学の皆がバイトや家に帰った後の、静寂に包まれた、一見すると廃墟なのでは...???と思わせるほど、薄暗い校内を歩き、ピアノの部屋へとやってきていた。

「...それで、俺と奏也のいる教育学部と、先輩方のいる経済学部から、はるばる研究の幅が、地球一周分ぐらい出来そうな地域学部に来たけど...これさ、ばれたら結構やばいんじゃないの???」

 こう言った七緒に対して、ピアノの鍵盤蓋を開けて、ピアノについたほこりを払っていた優が静かにこう返した。

「心配しなくても、俺がここの部屋管理している、大和先生に使いたい時は使っていいって言われているし、別に不法侵入とかいう問題はないと思うけど...。第一、ピアノに積もったこのほこりの量からして、おそらく...ここ半年間は誰もこの部屋に立ち入っていないと推測出来る。『いや、お前は、どこぞの探偵だよ...お前は...!!!』...はぁ???いたって普通の一般的な男子大学生ですけど...???...なんで、お前って二回も言ったんだよ!って、なんで俺は、呑気にツッコんでるんだよ!!」

 優の言葉にその場にいた誰もが、『こいつは何者や!!!!!』と心の中で突っ込みを入れていたが、そんな皆の気持ちを、実際に声に出してリアルツッコミをしたのは、他でもない虎雅だった。

 虎雅の言葉に、訳が分からないと言った様子の優は、冷めた目で虎雅を見つめたのだった。

 だが、誰の影響か...虎雅のおかしなツッコミに逆ツッコミをかました優は、自分で自分にツッコミを入れるまでになっていた。

 そんな中、翔真は虎雅に対して

「...虎雅は馬鹿だな。優は探偵が大嫌いなんだよ...。だから、その言葉は自動的に禁句ワードなわけ。」

 と言い、優の自虐ツッコミには、全く触れないのであった。

 そんな翔真に虎雅も優の事は、無視して翔真に不満顔を向けていたのだった。

「んなこと、俺は一回も聞いたことねぇぞ。...なんだよ、俺だけ仲間はずれかよ。『あー、悪かったって。全く、虎雅ちゃんは、素直じゃないんだか....あぃだだだだだだだだだだだだ......!!!!!(痛)虎雅、いきなり殴るとか...幼稚園児じゃないんだから......って、いでぇ...!!!!!...だから痛いっての...!!!!この馬鹿力が...!!!!!』...お前が喧嘩売るのが悪いんだろ???『はぁ...面倒くさい奴...(ボソッ)』...お前なんか言ったか???『いいや~~~、な~~~んにも。...いってぇ!!!!!(痛)』...馬鹿、聞こえてんだよ。」

 虎雅のこの言葉に、それまで馬鹿にしていた翔真は、心の中で『この地獄耳が...。おまえのかぁーちゃん...で~~~~べそっ!!!!』と言って、頭のたんこぶを慰めるのだった。

 そんな翔真のことは、ほったらかして虎雅は、月並みのみんなにこう言った。

「翔真のことは放っておいて...さてと、俺たちが夜にこんな所へ来たのは、ここでお遊戯会をするためじゃないだろ???...ディアマンと、再度接触を図るためだ。時間もそんなに無い。この大学...お金はないくせにセキュリティは、人一倍...いや、人じゃないから...建設物の10倍ぐらい頑丈だもんな...。その証拠に、過去に一度夏休み前にテスト地獄から解放された一人の大学生が、校内の空き教室で、うっかり眠り込んでしまったなんて話があってな...。そうして、あまりにも疲れていた大学生は、なかなか目を覚ますことはなく...次に目を覚ましたのは...大学内の電気はすべて消え失せ...昼間は、窓の外から明るい太陽の光が差し込んでくるはずの窓が...何故か、どの窓の鍵も開くことは開くのだが、窓がいくら引っ張っても開かない、そんな変わり果てた教室の中だったのだ...。大学生は、それから直ぐに不安に駆られて、校内をさまよい...やっと大学内から出られたのは、夏休みが終わる三日前だったらしい。『あっ!!!その話知ってる!!!この大学に入って、真っ先にサークルの新歓で語られるのが、その話で...みんな『清賢名大学(せいけんめいだいがく)の都市伝説!』って言ってるぐらいだもんね...。まぁ、もしそれが本当なら恐怖ものだけどね。』...ははっ、確かに俺たちの先輩も言ってたっけ。(笑)...じゃなかった。ごめん、話がそれたけど...みんなは、ディアマンを呼ぶ覚悟はできているか???」

 こう言った俺の言葉に、周りの奴らは終始悩んでいたが、さっと顔を上げると共に声をそろえて

 『イェッサーーーーー!!!!』

 と言った。

 俺は、またかと思い..先ほど同じように

『ヨーソローとは言わないだろ???...せめて陸軍になってくれ。』

 と、ボケ返しをしたのは言うまでも無い。


※清賢名大学(しんけんめいだいがく)は、国からほとんどお金をもらっていないため、貧乏大学だと言われている。だが...大学校内の施錠をさせると、世界一を誇るほどセキュリティレベルの馬鹿高い、なんとも変わった大学なのだ。ちなみに、作中には書いていなかったが、携帯電話で外部との接触を図ろうとしても無駄である。昼間は、普通に使用できる携帯電話も、夜になると携帯電話というありとあらゆる電子機器の電波を遮断してしまう校舎...校内の構造なのだそうだ。そのため、この大学に入って、この都市伝説を聞いた学生の約3分の1は、退学するぐらいの凄い威力をもっている。だが毎年の受験者数は、某大学を抜くほどある...ますます変な大学なのである。(この大学は架空です。作者のちょっとした出来心ですので、ご安心ください。...ほんとにあったらどうしよ。(笑))

 引き続き、作品をお楽しみください!!
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