ファンタジア!!

日向 ずい

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「活動開始!!...サークルの謹慎も解禁だー!」

「路上ライブに必要なものはな〜んだ!」

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「俺の...携帯......恨み...まだ持ってるんですからね...??はぁ...新しい携帯買ったせいで、前のと今回の分割と二重払いだ......。バイト代...グッバイ...バイト代...。(泣)」

「自業自得だろ。...優を騙して、挙句俺まで大衆の目に晒しやがって...。...携帯一台じゃ足りないぐらいだ。(怒)」

「うへぇ......鬼...虎雅さん...虎じゃなくて...鬼雅さんだ。」

「うるさい...なんとでもいえ。負け犬の遠吠えにしか聞こえん。......という事で、気持ち切り替えて、やっと曲もできてきたんだ。...さぁ、じゃあ始めから通してみようか???(笑)」

 俺の掛け声に、不服そうな顔をしていた七緒は、ほっといて...俺達はソファやパイプ椅子から立ち上がると、楽器の置いてあるスペースに向かった。

「じゃあ、始めるぞ...。奏也...掛け声。」

 俺の呼びかけに、マイクを構えた奏也は、手首にコードを巻きながらこくりと頷くと...。

「...ワン、ツゥー、ワン、ツゥー、スリー、フォー...♪~~♪♪~♪♪♪~~~♪~青い空から~あなたを見ていた~満月の夜~~俺は......。」

「...と。......一応全部通したな...。よし、じゃあとりあえず、楽器置いて向こうのホワイトボードあるところで反省会と行こうか。」

 全てを通し終えた俺達は、次にホワイトボードへと集合した。

 ホワイトボードの前へ行くと...俺は、ペンをとり、まず初めに翔真を当てた。

「...おし、とりあえず翔真。今回の良かった点と反省点...それと、全体通してのの感想を...。」

 俺の言葉に不服そうな顔で、翔真はこう言った。

「はぁ...毎回俺からだよね~...まぁいいんだけどさ...いいんだけどね...??」

 翔真のトゲのある言い方に、俺は少し大人気なくこう返したのだった。

「なにか文句があるのか??...どうせみんな言わないといけないんだ。早い方が、リスクは少ないぞ??」

 俺がこう言って翔真に笑いかけると、翔真はバツが悪そうな顔をして、小さくため息をつくと諦めたように言葉を並べだした。

「はぁ...分かったよ...。...まず、みんなお疲れ様~。っと...良かったところは、2週間前ぐらいから始めた割には、もう完成形に近いんじゃないのかなって思ったことから、自主練をみんな頑張っていたって思ったこと。反省点としては、やっぱりみんな自分の担当に必死で、周りの音を聞いていないことかな??...それと...全体としては、俺的にとても弾いてて楽しかった!!...以上でおっけー??...虎雅。」

「...あぁ、ありがとう。確かに俺も反省点は同じところだな。...でもまぁ、完成形に近いとは俺も若干思ったし...これからもう少し頑張っていけば、路上ライブも夢じゃないかもな~なんてな。...じゃあ次...優。」

 翔真の真面目な意見に、少し驚きながら、俺はボードに意見をまとめ、次にぼうっとしていた優を当てた。

 すると優は、俺の声で我に返ったようで、それまま焦った様子でこう感想を述べた。

「...あっ...はい。...えっと、良かったのは奏也の声と、楽器のバランスが良かったと思う。...反省点は、やっぱりミスが目立つところ。...全体としては、もう少し練習していけたらなって思った。えっと...これでいいですか?」

「あぁ、優...そのミスって、具体的にどこら辺だ??」

 俺の問いかけに優は、少し言いにくそうに口を開いた。

「...えっと......主に...俺もなんですけど...七緒のドラムの力加減が、上手くいかないところが多い気が...。」

「チッ...俺が悪いのかよ。」

 優の言葉に苛立ちの隠せない七緒は、名指しでダメ出しをしてきた優を鋭く睨みつけた。

 そんな七緒に俺は、強くこう言い、優の意見にフォローを加えた。

 だってなぁ...折角、上手くいってるのに、喧嘩されても困るだろ??

「七緒???...何もお前が悪いわけじゃない。...この曲は、ドラムの音の加減が難しい曲だから...七緒は今でも十分上手いけど...もっと、音の加減が上手くできると、ドラムが何よりもボーカルの声を拾って綺麗に聴こえるんだ。...つまり優は、その事を言いたかったんだ。だから七緒...??間違ってもそんな言い方は、バンドを組む以上絶対にしたらいけない!!(怒)もっと完成度を良くするためだ...分かったな???」

 俺の言葉に、じっと床を見つめて不満げな七緒に俺は、一瞬どうしようか迷ったが、七緒の前まで歩いていくと、七緒の頭を乱暴に撫でた。

「...っ...何するんだよ!!!!...虎雅さんやめて!!!!(照)何歳だと思ってるんだよ!?...俺...もう撫でられる歳じゃないよ...!!!」

「はははっ、可愛い可愛い。(笑)...ほら、そんな仏頂面しない...なぁ??...俺もまだまだだし...みんなもまだまだだから...これから、頑張っていこうな!」

 俺がこう言って、さっきよりも強く七緒の頭を撫でると、顔を赤くしながら、でもどこか嬉しそうな七緒がいた。

 俺は内心「ほんと、こういう所は可愛いんだから...。」と思いながら、微笑みを浮かべていたのだった。

 それから他のメンバーの意見も聞いて、今日の練習は終わりを迎えた。

 メンバーが帰る準備をしている時...不意に思い出したように、優がメンバーにこう声をかけた。

「...そう言えば、路上ライブやるにあたって...場所とか...電気とか...その他色々...どうやって準備しますか??」

 正直、俺は...戸惑っていた...。

 路上ライブの事で、頭が浮かれまくっていたせいで、肝心の場所の確保など......全く考えていなかったのだ...。

 そんな俺の心情を知らない優は、じっと俺の顔を見つめ、答えを待っていた...。

 真面目に、勘弁してくれよ...。

 俺は、返答に困り、どう言い逃れようかと、必死に考えたあと...平然を装い、みんなに向かってこう答える事にした。

「...場所は、駅前がいいと思っている。やっぱり、みんなが見てくれる可能性のある王道の場所だからってのが理由で。でも...電気とかはまだ考えてなかった...。すまない...完全にその辺のことを視野に入れていなかった...。優...ありがとう。今日、皆の宿題にしようか。という事で...みんな、明日の練習前に案を聞くから、軽く考えて来てくれ。...頼んだ...それじゃあ、解散!!(ふぅ...危ない危ない。バレてないよな...??俺...無計画だったこと...バレてないよな...!!(汗))」

 俺のこの呼び掛けに、適当に返事をすると、メンバーは特に疑問に感じるところは無かったのか、続々と部屋を後にして行った。

 後は俺が、ここの施錠をして、ここの鍵を事務所に返しに行ったら、帰れるんだが...。

 全員が帰り、部屋を閉めてさっさと帰ればいいものを...今日の俺は、それが出来なかった...。

 それもそのはず...。

「...はぁ...路上ライブ...そうだよな。...許可...取らないといけないんだよな...。さっきは、何とか上手く言い逃れたけど、無計画だってバレると、後々めんどーだしなぁ...。はぁ...よし、とりあえずネットで検索かけてみるしかないよな...。俺が招いた種だしな...自分でつまなきゃ。」

 俺は、ため息を荒くつくと、いつも持ってきているノートパソコンを鞄から出し、電源をつけると、大学が閉まるまでの間...せっせと情報を集めるのだった。

 ...はぁ、俺って...ホント計画性無いのな...今日改めて、思い知らされたわ。
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