ファンタジア!!

日向 ずい

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「活動開始!!...サークルの謹慎も解禁だー!」

「ライブの背後には...。」

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 書類を送って数日後...俺の元にある一本の電話がかかってきた。

 一度は無視しようかとも思ったが、なかなか鳴り止まない為、俺は仕方なく電話に出ることにした。

「はい...もしもし...『あっ、桜宮虎雅さんですか???...こちらまきだライブ管理所の本浦(もとうら)と申します。...あの書類に記入されていた紫翠優(しすい ゆう)さんについて、幾つかお聞きしたいことがあるのですが...。現在、お時間のほどよろしいでしょうか??』......???(なんだ、迷惑な勧誘とかではなかったのか...。でも、何で優、単体なんだ...??)...はい、確かに紫翠は、「月並み」のメンバーの一人ですが...。...はい???...それは...どういう事ですか???...はい...はい...えっ...紫翠優を...ライブに参加させられない!???...それはなぜですか???(汗)...優を捜している奴がいる...ですか??...はい...分かりました。...一度会ってお話しましょう...はい...はい......失礼します。」

 俺は開いた口が塞がらなかった...。

 なぜなら、優のことを捜している奴がいるとするならば...それは、一人しかいないのだから...。

 俺はこう考えると、今日は土曜日で『月並み』の練習も、久々の休みという事もあり...本浦という管理所の人と直接会って、話しをすることになった。

 待ち合わせ場所は......墨田区の近くにある、まきだライブの子会社だった...。

 俺は、電車を乗り継ぎ...墨田区まで来ると、待ち合わせ場所へと足を運んだ...。

 会社の中に入り、入口の受付で「本浦さんと待ち合わせをしている桜宮です。」とこう声をかけると、受付のお姉さん方が「どうぞ、こちらでございます。」と言って、俺を奥の部屋へと案内してくれた。

 俺は、ノックも早々に部屋に入ると...そこには...。

「...君が...桜宮さんですか???...すみません...わざわざ会社の方まで顔を出して頂いて...。...電話でもお伝えした通り、私、本浦と申します。...どうぞよろしく。」

 本浦といった男は、俺の事をじっと見つめ、俺に近づくとスっと片手を出し、握手を求めてきた。

 俺は何だか...距離感がわからなかったが、失礼は良くないと思い、その手を取りながら

 「よろしく...お願いします。...『月並み』リーダーの桜宮虎雅です...。」

 とこう言ったのだ。

 俺の態度に目の前の男は、俺の事を舐めまわすように見ると、ぱっと手を離し、部屋の中央に構えてあるソファへと、俺に座るよう促した。

 俺はここで揉めるのも嫌だった為、恐る恐る座ることにした。

「失礼します...。...その...早速で悪いんですけど...優が...まきだライブに参加できないというのは...一体...。(汗)」

 俺は、席に座るや否や...目の前の本浦さんにこう質問した。

 すると本浦さんは、困った顔をしながら、俺にこう説明をしだした。

「...あ~...それが...実はですね...。紫翠優さんのお父様と思われる方から、音楽会社全体に......『紫翠優という名前の男が、試験やオーディション等を受けに来たら、俺に連絡をしろ。』ということを申されておりまして...。」

「...それは...優のことを連れ戻すため...??(汗)...でも、もう関係ないんじゃ...優の実の父親ももう優のことは、諦めたんじゃ...。」

 俺がここまで言った時...俺は、自分で気付いてしまった。

 優の父親が、優のことを捜している理由について...。

「...優の力が...必要になったからだ...。本浦さん、俺たちもここで諦める訳にはいかないんですよね...。それで、俺達がまきだライブに参加できるようにするには...どうすればいいんですか???」

「...紫翠優さんのお父様に...制約を解いてもらえれば...うちとしては、ぜひライブが出来るステージに立って頂きたいと...。...期限までに書類は提出して頂いているので...制約解除されましたら、自動的にまきだライブの方で、参加可能という扱いにさせて頂きます...。その辺りは、ご了承ください。」

 俺の事を申し訳なさそうに見つめる本浦さんは、なぜだか悪い人には見えなかった...。

 俺は目の前の本浦さんに

 「...ご配慮...感謝します...。...何とかするので、それまで待ってください...。お願いします...。すみませんが...失礼します。」

 と告げると、荷物を持ち部屋をあとにしたのだった。

 俺が部屋を出ていったあと...本浦さんは、どこか気味の悪い笑みを浮かべて、俺のことを窓から眺めていたのだった...。

「...へぇ~、桜宮...虎雅...ねぇ...。そして...まさかあの紫翠さんが、このまきだライブに参加してくるなんて...ビックリだな...。(笑)...さぁて、紫翠様のお父様に連絡だ。最高にスリリングなゲーム開始といこうか??なぁ、にぃちゃん達よォ。(笑)」

 本浦は、こう独り言をこぼすと、携帯を胸ポケットから取り出し...優の元父親に、連絡を入れるのだった...。
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