ファンタジア！！

第7章「紫翠との熾烈な戦い。」

「紫翠と対面するための下準備。...俺の眠気を添えて。」

 俺は、五月蠅く鳴り響く目覚まし時計を10個...いつもよりもだいぶ遅い、30秒で止めると、まだ眠りについている脳みそにモーニングコールと題したコーヒーを入れ、ふぅーっと息を吐き、風呂場へと向かった。

 そうして、ものの15分で身支度を整えると俺は、昨日聞いた情報を元に「レミホラント」の情報共有を部下に頼みながら、必死の情報収集を開始した。

 まずは手始めに、ホテルからそう遠くない庶民の買い物客で賑わう市場へと足を向けた。

 理由は簡単だ。

 こういう所にいる人間は、みんな平和ぼけしているため、少し踏み入った事を聞いても、怪しまれる心配が無く、もし仮に俺の正体がばれたとしても、こんなに多くの人間で賑わう市場でなら、万が一の事があっても、容易に逃げ出すことが出来るからだ。

 そういうことで、頭が本調子になるまでは、こういう市とかで情報を集めるに限るんだよな～。

 俺って、仕事できるくせに、寝起きとか私生活は、ダラダラ系でドンくさいことこの上ないから...。

 なんて呑気に考えていた俺の耳に飛び込んできたのは、ある男の一声だった。

「おい、聞いたかよ。...最近ここいらで有名なマフィアのボス、バイオレットが、なんでも悪魔の曲に手を出してるんだとよ？？そのせいもあってか...警察に色々嗅ぎ回られているらしいけどな。うへへ、まぁ俺はバイオレットみたいな権力振りかざしているだけの男なんざ、ぶっ殺してやりたくなるけどな？？？（笑）」

「うえっ！？...おまえ、それ本当かよ？？？と言うよりも、悪魔の曲ってさぁ...なーんかこの間、小耳に挟んだけど、麻薬と同じ効果があるらしいじゃん。俺めっちゃ興味あるんだけど？？？一回、悪魔の曲聴きに行ってみようかな？？？」

「馬鹿止めとけ。ちまたじゃ、あんまり知られていないけど、悪魔の曲は...一度はまると、永遠にその曲の魅力に取り憑かれるらしいぞ？？？」

「って、何マジになってんだよ...！！！馬鹿はお前だな～！こんなの、ちょっとしたジョークに決まってんじゃん。第一、悪魔の曲なんてそもそも存在するのかも怪しいしな。」

「まぁな。さぁ、はやいところ買い物を終わらせて、昼間から酒場でねぇーちゃんとよろしくやろうぜ？？？」

 「おうよ！！そう来なくっちゃな！！」

 男達は、こんな会話を市場の中にあるフードエリアで、残飯を思わせる飯を食べながらすると、呑気にあくびをかましてその場から去って行った。

 やっぱり、こういうところをみると、俺が主にいる国、日本は恵まれすぎている気がする。

 さっきのヤツら、昼間から酒場に行って、女の子を堂々はべらかすんだぞ？？？

 どう考えても、やばいだろ？？？

 俺は、あんなジジイにはなりたかねぇわ。（笑）

 って、自分の今の環境を比較してどうするよ。

 ったく、んなことよりも、悪魔の曲があんな庶民にまで広まっているなんて...。

 もしかして、いや、もしかしなくてもこれは、何か良からぬ事が近いうちにおこるんじゃ...。

 これは、念には念を入れて、部下にしっかりと調べさせる必要がありそうだな。

 俺はこう考えると、さっき市場の中で買ったコーヒーを（多分、ひいたマメをわざとお湯に溶かしたな...。傘増しするにしても、苦くて飲めたもんじゃない...。）近くの植木にかけると紙コップを市場の片隅に投げ捨て、部下に連絡を入れるため、近くの公衆電話に入った。

 一応携帯とかは持っているが...これはあくまで緊急用だ。

 こういう時は、足のつきにくい公衆電話から掛けるのか一番！！

 オレ愛用品！！

 案外、アナログなんだよな...俺って。

 俺は、自分の老けた思考に苦笑いしながら、部下に

 「悪魔の曲に関する、最近この町で変わった事、事件等々について片っ端から調べて欲しい。勿論、報酬は弾む。より良い情報を頼むよ？？」

 と連絡を入れると、俺はポッケに入れた小銭をじゃらじゃらといわせながら、引き続きいろんな場所で聞き込みを続けたのだった。

 雑談だけど、公衆電話って、意外と小銭たくさん使うのよ...だから、俺ってこの世界一の小銭持ちだったりする的な？？まぁ、分かんねぇけどな...。（笑）