ファンタジア!!

日向 ずい

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第7章「紫翠との熾烈な戦い。」

「真の狙いは...??」

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 俺と紫翠は、収穫祭をうろうろしながら、ある張り紙に目をとめた。

 目の前の張り紙にはこう書いてあった。

 ~収穫祭に音楽はいかがですか???~

 収穫祭の静かな雰囲気にあう音楽を、年に一回という記念すべきお祭りの中で、是非堪能しませんか?

 日時は、収穫祭の終わる三十分前に、中央広場にて執り行います。

 ~謎の音楽家より~

 俺(サン)と紫翠(バイオレット)は、その張り紙を前に暫くうなった後、どちらからともなく口を開いた。

「なぁ、サン...この演奏会って何だと思う??」

「ん??さぁな、でも...妙に引っかかるよな...。こうさ、なんて言うのか...強いて言うなら、なんで演奏会を行う時間が、この祭りが終わる三十分前なんだろうってところかな...。なぁ、バイオレット、お前もそう思わないか??」

「あぁ、まぁ、確かにな。(はぁ~、確かにそういう考え方ができるなぁ!うーん、やっぱりサンは、悔しいが凄いやつだな......俺、思いつかなかった...。)なんで、祭りの終わる前の静かな時間帯を、わざわざ選んだんだろうな??」

「おっ、バイオレットもやっぱり思ってたか。やるなぁ、見直したぞ!!」

「ははっ、だろ???俺だって、たまには、凄いんだからな???(うへぇ......思いつかなかったなんて言えない...馬鹿にされそうだし、黙っとくか。)」

 俺と、紫翠...後でわかったが、主に俺だけは、暫く妙な胸のひっかかりを覚えていたが、いくら考えても決定的な理由が浮かばなかった。

 だが、じっとそこに留まることは、注目を集める原因になるため、俺たちは仕方なくその場を離れることにした。

 しばらく祭りを回ったとき、コンシリエールとの約束の時間になった。

 俺は、紫翠に断りを入れて近くにある公衆電話へと急いだ。

「...もしもし、すみません。遅くなりました...。今のところは、奴が一度接触してきただけで、特に変わった事は...はい、いや。ここでバイオレットが消される可能性は、俺たちがいなかったとすれば、100パーセントでした。大変失礼だとは承知の上で、この際なので言っておきますが、これは絶対です。なので...はい、お願いします。あなたも、どうかご無事で。」

 俺はこう電話をかけると、外で待たせている紫翠に声を掛け、再度収穫祭を徘徊しだした。

 そんなこんなで暫く時間が経った時、ふと時計をみると、時刻は収穫祭がお開きとなる三十分前になろうといていた。

 その瞬間ふと、小一時間前に目にした張り紙のことを思い出すと、何か妙な寒気に襲われて俺は、なんとなく紫翠に声を掛け、中央広場へ向かうことにした。

  だが、これが悲劇の始まりであったことを、後に知ることとなる俺たちはこれから起こる恐怖など全く知らないのであった。

 広場に着くと...そこには、大きな布が張られた舞台の中央に、一人の人間の影が張られた布に写っていた。

 そう...その人間は、ピアノを弾こうと鍵盤に手を置いて、演奏会の開始の合図を今か今かと待っているところだった。

 俺は、舞台を遠目に見ながら、隣でそわそわしている紫翠に、ため息交じりの言葉を掛けた。

「なぁ、隣でそわそわするなよ。ただでさえ、人が...人目が多いんだ。こういう所で目立つのは、御法度なんだよ。...って、お前っ、聞いてるのかよ...!!」

 俺のこの声に、紫翠は肩をびくっと振るわせると、俺に向かって小さくこう囁いた。

「サン...あの布の中でピアノに向き合っているのは...間違いない。店主だ...。ピアノに座ったときと、ピアノの鍵盤に手を置くときの僅かにあがる左肩の癖が完全に奴と一致している。...サン、もしかしなくても、やつらの狙いはこれだったんじゃないんだろうか...???」

 俺は紫翠の言っている意味がよく分からず、訝しげな顔をしてこう呟いた。

「...いや、どういうことだよ。奴らの狙いは、お前の暗殺だろう??なのに、真の目的がピアノの演奏会って...。ふざけてるのか???」

 こういう俺に、さっきよりも真剣な表情で紫翠は俺にこう言ってきた。

「ちがう...!!!奴らの狙いは俺だ。それは間違いないだろう!!!でも、奴らは...恐らく、この収穫祭に参加している人全員に、危害を加えようとしている。何故かは、分からないが...。いや、待て。もしかしたら、米警も店主に騙されていいように使われただけなんじゃ......。だとしたら...サン...!!!俺たちはここにいると、危険かもしれない。早くここを離れないと...おそらく店主が演奏しようとしているのは...『まさか...悪魔の曲か???』あぁ、おそらく...そうだ。」

 この言葉と同時に、中央広場には司会者を思わせる陽気な男の声が響き始めた。

 それを合図に、広場には多くの人々が集まりだしていた。
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