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第7章「紫翠との熾烈な戦い。」
「奴らの企みやいかに。」
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俺は今、収穫祭に来ている。
そう...勿論、紫翠も一緒にな。
俺と紫翠は、手を組んだ後、米警とレミホラントの店主をいかに欺いて、この卑怯な作戦をぶっ潰すのかを考えていた。
そうして俺たちは、犬猿の仲でもあるが、仲良く二人で考えた作戦を、今まさに実行に移そうとしている。
「...おや、これはこれは。お久しぶりじゃないですか!!いや~、力末(りょくすえ)さん(紫翠の偽名)もやはり、この収穫際に来られていたんですね??」
俺と紫翠が警戒心を払いながら、周囲を観察していると、俺が紫翠から離れた瞬間、紫翠の元にある男が一人...そう、少し距離があっても分かる。
あれは間違いなく...レミホラントの店主だ。
馬鹿な紫翠でも、流石に外のBARでは偽名を使ってるんだな...良かった、でも、アイツひとりで大丈夫かよ...。
そんな俺の考えとは裏腹に紫翠は、目の前に立ちはだかった店主に対して、平然を装い言葉を返していた。
「...そうだな。久しぶりだな、マスター。お前も、収穫祭に来ていたんだな。」
「えぇ、それはもちろん。なんて言ったって、年に一度の大イベントでこの国の国民が、こぞって参加するといっても過言ではないですからね。(笑)」
「...それで、お前は何か屋台でも出すつもりなのか???」
「それが、まだ準備が終わっていなくて...。よろしければ、お手伝いなんかして頂けると助かるんですが...。勿論、タダでとは言いませんよ??お手伝いをして頂けたら、うちの店のコーヒーやお酒...それに例の曲もサービスしますから。どうですか??決して、悪い話では無いと思いますよ??」
紫翠は、目の前にいる店主の巧みな誘いを、どう切り抜けようか必死で考えていた。
そんな紫翠の様子に、店主は薄く微笑みながら、更に話を続けた。
「珍しいですね。力末さんが私の誘いを即答で受けないなんて...。もしかして、何かありましたか???」
内心、紫翠はとても焦っていた。
目の前の店主は、きっと俺の心を見透かしている。
そんな良からぬ考えが、紫翠の頭の中を占領しだしたとき...紫翠の背後から、救いの手が伸ばされたのだった。
「すみません、こいつ俺の連れなんですけど...。まだ話終わりませんか??早くしないと、収穫祭限定の特別酒がなくなっちゃうんですよねぇ~。なんで、すみませんけど...。」
「...おや、それは大変失礼を致しました。...そうですね。やはり収穫祭に来たからには、この村限定の特別酒を飲んで頂かなくてはなりませんよね。...そんなことよりも、力末さん...今日はお一人で来られた訳ではなかったんですね、残念です。...まぁ、何はともあれ、お祭りを楽しんでくださいね???それでは、失礼します。」
こう言うと、紫翠に突っかかっていた店主は、何かを考えるような仕草をすると、さっとその場を後にしたのだった。
紫翠は、去って行った店主をじっと見つめつつ、隣に立っているサン(三津のマフィアネーム。)にこう声を掛けた。
「サン...ありがとう。正直、店主に誘われたときは焦った。いつも俺が店主の誘いを断らないとことをいいことに、奴は俺に店の手伝いを頼んできたんだ。当然、いつもの俺なら何の疑いもなく、店主について行っていたと思う。サン...あいつはやっぱり...何か隠し事をしている。...さっき話してみて、よく分かった。お前の読みは...当たっていたのかもしれない。」
「そうか...まぁ、それなら良かったんだけど...(いや、今頃俺の意見に肯定されても、なんか納得いかねぇけど、紫翠だし仕方ないよな。)。ところで、おまえ...部下はどうしたんだよ??まさかとは思うが...部下を一人もつけずに、ここに来たんじゃないだろうな???」
サンの言葉に、紫翠は何も言うことが出来ずじっと俯いて押し黙っていると、頭上から盛大なため息が聞こえてきた。
「この阿呆。...やっぱりおまえの子分とお前はよく似ているよ。マフィアのボスなんだから、いつ何時命を狙われるか分からねぇだろ??それをなんだ??お前は、部下を実家で大パーティーさせて、こんなところに、のこのこ殺されに来たって言うのか???よくもまぁ、今まで殺されなかったな。別の意味で...尊敬するよ。」
紫翠は流石に目の前のサンに腹が立ち、気がついた時には、大きな声でこう言い返していた。
「何だよ!!!さっきから黙って聞いていれば、俺が部下をここに連れてこようと、連れてこまいとお前には関係ないだろ???なのになんだよ。他人なのに、ぐちぐち言いやがって!!!いいか、俺はな、一人でも勝てっ...ッ痛っ!!!この阿呆!!!なんで殴るんだよ!!!!『阿呆はお前だ!!こんなに人が沢山いて、何処に敵が隠れているかも分からないようなところで、大々的に俺は丸腰です!!!ってアピールしてるんじゃねぇよ!!!瞬殺されるぞ???この阿呆が!!!』...だからって、何も殴ることはないだろ???あー、痛ったーーーー!!!『てめぇ、一生勝手にやってろ。』...いや、だからそういう意味で言ったんじゃ...って、おい、俺の話聞けよ...!!待てって...おい!!!」
紫翠は、目の前で呆れ顔をしているサンに、どう言葉を返していいのか分からなくなり、気がつけば逆ギレとも取れる言葉を口走っていた。
そんな紫翠の様子に、もう何も言わなくなったサンは、紫翠をおいて先に歩き出してしまったのだった。
指摘されると、ついついイラッとして反抗するのは、俺の悪い癖だ...。
直さないとと思ってはいるが...でもやっぱり、サンに言われるとムカつくんだよな...何でだ???
さっぱりわからん...。
紫翠はこんなことを考えながら、目の前を歩くサンの後ろを、渋々追いかけるのだった。
そう...勿論、紫翠も一緒にな。
俺と紫翠は、手を組んだ後、米警とレミホラントの店主をいかに欺いて、この卑怯な作戦をぶっ潰すのかを考えていた。
そうして俺たちは、犬猿の仲でもあるが、仲良く二人で考えた作戦を、今まさに実行に移そうとしている。
「...おや、これはこれは。お久しぶりじゃないですか!!いや~、力末(りょくすえ)さん(紫翠の偽名)もやはり、この収穫際に来られていたんですね??」
俺と紫翠が警戒心を払いながら、周囲を観察していると、俺が紫翠から離れた瞬間、紫翠の元にある男が一人...そう、少し距離があっても分かる。
あれは間違いなく...レミホラントの店主だ。
馬鹿な紫翠でも、流石に外のBARでは偽名を使ってるんだな...良かった、でも、アイツひとりで大丈夫かよ...。
そんな俺の考えとは裏腹に紫翠は、目の前に立ちはだかった店主に対して、平然を装い言葉を返していた。
「...そうだな。久しぶりだな、マスター。お前も、収穫祭に来ていたんだな。」
「えぇ、それはもちろん。なんて言ったって、年に一度の大イベントでこの国の国民が、こぞって参加するといっても過言ではないですからね。(笑)」
「...それで、お前は何か屋台でも出すつもりなのか???」
「それが、まだ準備が終わっていなくて...。よろしければ、お手伝いなんかして頂けると助かるんですが...。勿論、タダでとは言いませんよ??お手伝いをして頂けたら、うちの店のコーヒーやお酒...それに例の曲もサービスしますから。どうですか??決して、悪い話では無いと思いますよ??」
紫翠は、目の前にいる店主の巧みな誘いを、どう切り抜けようか必死で考えていた。
そんな紫翠の様子に、店主は薄く微笑みながら、更に話を続けた。
「珍しいですね。力末さんが私の誘いを即答で受けないなんて...。もしかして、何かありましたか???」
内心、紫翠はとても焦っていた。
目の前の店主は、きっと俺の心を見透かしている。
そんな良からぬ考えが、紫翠の頭の中を占領しだしたとき...紫翠の背後から、救いの手が伸ばされたのだった。
「すみません、こいつ俺の連れなんですけど...。まだ話終わりませんか??早くしないと、収穫祭限定の特別酒がなくなっちゃうんですよねぇ~。なんで、すみませんけど...。」
「...おや、それは大変失礼を致しました。...そうですね。やはり収穫祭に来たからには、この村限定の特別酒を飲んで頂かなくてはなりませんよね。...そんなことよりも、力末さん...今日はお一人で来られた訳ではなかったんですね、残念です。...まぁ、何はともあれ、お祭りを楽しんでくださいね???それでは、失礼します。」
こう言うと、紫翠に突っかかっていた店主は、何かを考えるような仕草をすると、さっとその場を後にしたのだった。
紫翠は、去って行った店主をじっと見つめつつ、隣に立っているサン(三津のマフィアネーム。)にこう声を掛けた。
「サン...ありがとう。正直、店主に誘われたときは焦った。いつも俺が店主の誘いを断らないとことをいいことに、奴は俺に店の手伝いを頼んできたんだ。当然、いつもの俺なら何の疑いもなく、店主について行っていたと思う。サン...あいつはやっぱり...何か隠し事をしている。...さっき話してみて、よく分かった。お前の読みは...当たっていたのかもしれない。」
「そうか...まぁ、それなら良かったんだけど...(いや、今頃俺の意見に肯定されても、なんか納得いかねぇけど、紫翠だし仕方ないよな。)。ところで、おまえ...部下はどうしたんだよ??まさかとは思うが...部下を一人もつけずに、ここに来たんじゃないだろうな???」
サンの言葉に、紫翠は何も言うことが出来ずじっと俯いて押し黙っていると、頭上から盛大なため息が聞こえてきた。
「この阿呆。...やっぱりおまえの子分とお前はよく似ているよ。マフィアのボスなんだから、いつ何時命を狙われるか分からねぇだろ??それをなんだ??お前は、部下を実家で大パーティーさせて、こんなところに、のこのこ殺されに来たって言うのか???よくもまぁ、今まで殺されなかったな。別の意味で...尊敬するよ。」
紫翠は流石に目の前のサンに腹が立ち、気がついた時には、大きな声でこう言い返していた。
「何だよ!!!さっきから黙って聞いていれば、俺が部下をここに連れてこようと、連れてこまいとお前には関係ないだろ???なのになんだよ。他人なのに、ぐちぐち言いやがって!!!いいか、俺はな、一人でも勝てっ...ッ痛っ!!!この阿呆!!!なんで殴るんだよ!!!!『阿呆はお前だ!!こんなに人が沢山いて、何処に敵が隠れているかも分からないようなところで、大々的に俺は丸腰です!!!ってアピールしてるんじゃねぇよ!!!瞬殺されるぞ???この阿呆が!!!』...だからって、何も殴ることはないだろ???あー、痛ったーーーー!!!『てめぇ、一生勝手にやってろ。』...いや、だからそういう意味で言ったんじゃ...って、おい、俺の話聞けよ...!!待てって...おい!!!」
紫翠は、目の前で呆れ顔をしているサンに、どう言葉を返していいのか分からなくなり、気がつけば逆ギレとも取れる言葉を口走っていた。
そんな紫翠の様子に、もう何も言わなくなったサンは、紫翠をおいて先に歩き出してしまったのだった。
指摘されると、ついついイラッとして反抗するのは、俺の悪い癖だ...。
直さないとと思ってはいるが...でもやっぱり、サンに言われるとムカつくんだよな...何でだ???
さっぱりわからん...。
紫翠はこんなことを考えながら、目の前を歩くサンの後ろを、渋々追いかけるのだった。
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