ファンタジア!!

日向 ずい

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第7章「紫翠との熾烈な戦い。」

「一時だけのお仲間に...。」

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 俺が辿り着いたのは、ある廃墟の前だった。

 俺は、屈することなく廃墟へと足を踏み入れると、ある部屋の前で足を止めた。

「...俺だ...サンだ...。バイオレット??...お前に話があってきた。...部下には、声をかけて何とか入れてもらえたんだが...。」

 俺が扉の前でこう言うと、部屋からは何やらザザァーと、ものを引き摺る様な音がして、意味深に思った俺は、悪いと思いつつ部屋の扉を少し開き、中の様子を確認した。

 すると、中には......部下であろう者の死体を引き摺る男が独りいた。

「...えっ...いや、はぁ??なにこれ...なんで死体...『おい、俺の部屋の前で何やってんだよ...上層部のお偉いさんがよぉ。まぁいい、サン、優秀なお前が一体俺に何の用だ...。俺は今日忙しいんだ...。悪いが、日を改めてくれないか??』......バイオレット...それは...収穫祭に出るためか??」

 俺が扉から部屋の中を覗いていると背後から、俺の耳元に暗い声を届けた人物がひとり...。

 俺は顔を見なくても、態度でバイオレットだと分かり、背後にいるバイオレットを振り返らず、奴にそのまま質問をした。

 バイオレットは、そんな俺に一瞬の間があったが、すぐに元の調子に戻ると、あからさまに、不機嫌そうな声色でこういった。

「だったらなんだって言うんだ...??言っておくが、お前らには俺の計画に口出しなんてさせないからな!!」

「...あぁ、お前のやる事に口出しはするつもりは更々無いよ...。ただ、忠告しに来たんだ。...今日の収穫祭に出れば、お前は確実に殺される。言っておくがこれは...脅しでも冗談でもない。レミホラントの店主と...米警が手を組んで、今夜の収穫祭でお前をはめようと企んでいる。」

 俺が背後に立っているバイオレットにこう言うと、バイオレットは興奮した口調で、こう反論してきた。

「はぁ!???何を馬鹿なことを言ってるんだよ!!!...有り得ないだろ??...第一...レミホラントの店主は、気さくでいいやつなんだよ。もう長い付き合いになるんだよ。...そんな奴が、俺を裏切るなんて...『裏切るよ。お前...裏組織の人間なのに、心がピュアすぎるだろ。だから、騙されるんだよ。親切心から言ってやるが、やつは最初から復讐のために、お前に近づいたんだよ。』...はぁ...えっ!?...復讐のために...俺に近づいた???...何で...。俺は奴に恨みを買うようなことは...何も......。」

 バイオレットの言葉に俺は、やっと奴の方を向き、真剣な眼差しで彼を捉えると、ため息交じりに口を開いた。

「レミホラントの店主の身内には......お前が昔、惨殺した組織の中に属していた奴が一人いたんだよ。それが運悪く、店主の数少ない......店主の最愛のおじだったんだ。唯一の肉親と言っても過言ではない叔父が、無残に殺されたところを奴は、自分の目で見ていたんだ。.........それで、奴はお前にずっと恨みを持ち続けていた。...俺の優秀な部下が調べあげたんだ。事実に間違いない。」

 俺のこの言葉に、信じられないと言った様子で、バイオレットは自らの口をパクパクとさせていた。

 俺はそんなバイオレットに、ここぞとばかりに話を持ちかけた。

「...バイオレット...お前がやった裏切りは許されるものじゃない...。でも、その制裁を組織以外のやつが与えるのは、もっと気に食わない...だろ??だから、一時だけ手を組まないか??お前も、今日、死を迎えるより、一週間ほど命が伸びた方がいいだろ??」

「.........お前と手を組んで、俺への利益は...それだけか??『いや、まさか。奴らの事実が明るみになったら、サツと店主は、世界から非難の嵐...大バッシングを受けるだろうよ。それと......お前の名前が、組織内で語り継がれることになるだろうな。』.........はぁ...分かった。どの道、俺はもうゲームオーバーだ。それで手を打とう。...一応聞くが、作戦は何かあるのか??」

 俺の話にため息をひとつつくと、バイオレットは渋々了承の意を唱え、俺に作戦の内容を催促した。

 俺は、そんな紫翠に内心ガッツポーズをしていたが、それは置いておいて...紫翠と手を組むため、作戦を共有しだしたのだった。
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