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第7章「紫翠との熾烈な戦い。」
「真犯人特定か???」
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俺は、あの夜レミホラントを出て行く際の店主の表情が、何故か妙に引っかかり、小屋に戻った後も、暫く考えていた。
だが、何度考えてもレミホラントに悪魔の曲である『危険物』を扱う乙四奏者がいるようには、思えなかった。
店主の手にあったあかぎれや、客の様子...店の雰囲気からしても、そう思うしかなかった。
そうして結局、あの夜から特に進展も無く、気がついたときには、収穫祭の行われる日になっていた。
俺は、あまり眠れていない頭を必死にたたき起こすと、コンシリエールと何度か話し合いを交えたことで、作っていた作戦に取りかかることにした。
だが、やはりどうにも腑に落ちないところが有り、なかなか準備の手を動かすことが出来なかった。
そんな俺の様子を心配してか、近くにいた部下の一人が、俺にこう声を掛けてきた。
「大丈夫ですか?...最近、無理をされていたようですし...俺が、何かお仕事をお手伝いできれば良かったんですけどね...。」
「...なぁに、ちょっと最近溜まってるだけだ。(笑)優秀な部下である、お前が病むようなことではない。ありがとな。」
「いいえ、とんでも御座いません...!!!もし、俺に何かお手伝いできることがあれば、なんでも言ってください。」
申し訳なさそうな表情を浮かべていた、心優しい部下の頭をそっと撫でると、俺は大きく呼吸をして、部屋の外へと出た。
今回の作戦では、紫翠が現れると言われている収穫祭で紫翠を見つけ次第、奴を尾行して、人気が無くなったところで、バッサリ処分する手はずになっている。
また変な誤解をされるのも不愉快だから、先に言っておくが、俺たちも好きで人を殺しているわけじゃない...。
こういうふうに、裏切り者が出たときに処分しないといけないのは、とても辛いことだ...。
とても勇気がいる、怖く恐ろしいことだ。
例えそれが、味方を何百人と殺した奴でも...。
ましてや、それがよく見知った知り合いならなおさら、そいつの首を飛ばすのは、そう簡単にできることではない。
手元が狂いそうになる。
もと闇組織の頂点にいた男のくせに、怖がるなんて意外か???
まぁ、そう思われても仕方ないけど...俺達もれっきとした人間だ、情ぐらいはある。
よし、行くか...いや、やはりその前にこの心のモヤモヤは、解決しておかなくては、この後に影響する可能性が大だな。
俺は、収穫祭が始まるまでまだ時間があることを時計で確認し、少し腑に落ちない胸のつっかえを、夕方の約束の時間までに、解決しに行くことを決心し、部屋を後にした。
俺が、部下に声をかけてやってきていたのは、いつぞやの便所臭い香水をひっかぶっていた女に、情報をもらうために利用した闇の遊戯場だった。
俺は、部下に声を掛け、迎えの約束を取り付けると、そのままこの間と同じように店の中へと足を踏み入れた。
やはり、何か分からないことが浮上すれば、ここの闇取引の廃屋に足を運ぶに限る。
いわゆる裏組織の国立図書館並みの情報が随時あふれているからな。
全く表も裏も、便利な世の中になったなぁ。
俺は、あれこれ思考ながら、以前と同じように情報を提供してくれそうな人物に目をつけ始めた。
すると...はい、はっけ~ん!!
って、マジかよ。
よりにもよって、紫翠の部下がここにいるとは...あいつ本当に大丈夫なのか???
部下に組織情報売られて...もれなくボスに首取られるぞ。
裏切り者の紫翠だが、一応同組織の仲だし、流石に不安になってくるよ。
内心苦笑いを零しつつ、俺は念のため顔をフードで少し隠し、奴にばれないように用心棒に扮して、紫翠の部下へとこう声を掛けた。
「やぁ、お兄さん。見かけない顔だけど...もしかして、最近ちまたで話題のバイオレットさんの部下か???丁度良かった。いやぁね、兄さん??何でもバイオレットさんが、悪魔の曲にはまったとかなんとかって聞いてな??俺も悪魔の曲に興味があるから、バイオレットさんとこの優秀な部下さんなら、何か知ってるんじゃないのかなって思ってな。...情報提供の報酬は弾むぜ???」
俺が気さくに声を掛けると、紫翠の部下は、俺が社交辞令として口にした『優秀』と言う単語が、余程嬉しかったのか、にんまりとした顔を俺に向けて、少し赤くなった頬をなでながらこう答えた。
「ん???まぁな、俺は確かにバイオレットの部下だが、バイオレットは人使いが荒くて、組織の中でも一二を争う嫌われ者だよ??お前は、悪魔の曲に興味あるって言っていたけど、あれはやめた方がいいぜ??悪魔の曲は、麻薬よりもたちが悪いって噂だ。...レミホラントのことは知っているんだろう??...あそこの店主が何故サツに捕まんないか分かるか??奴は、サツと...何か分からないが、繋がりがあるらしい。それに...何でもあそこの店主は、バイオレットに恨みを持っているらしく、いつか暗殺をするんじゃないのかって噂が...。あれ...用心棒の兄ちゃん??何処行ったんだ??さっきまで、一緒に酒飲んでた思っていたのにな...と思ったら、うっひょ~~~~!!!!!あの兄ちゃん、気前よすぎるだろ。あんなチンケな情報を売っただけで、1000ドル札って...情報って金になんだな!(笑)おーし、今日はじゃんじゃん飲むぞぉ~!!!」
俺は、紫翠の部下から情報を得た後、すぐにコンシリエールへと連絡を取り付けた。
腑に落ちなかったのは...なんで世界でも禁止されている悪魔の曲を、演奏しているレミホラントの店主が、サツに捕まらずに今まで、Barをやってこられたのかということだったんだ。
だが、さっきの話を聞いてやっと分かった。
つまり、紫翠は...レミホラントの店主の真の目的を知らないんだ。
奴は...アメリカの警察と手を組んで、今回の収穫祭で、アメリカ警察は、最近町にあふれてきている不正労働者の摘発と麻薬中毒者の排除を...そして店主は紫翠に昔殺された仲間の恨みを晴らすために....。
今夜の収穫祭で、紫翠を犯人に仕立て上げて、それぞれの目的を遂行しようということだ。
あくまで推測でしかないが...こうとしか考えられない。
こう考える事しか、パズルのピースがきっちりハマることは無い。
だとしたら、紫翠も危ない。
俺は、コンシリエールに連絡を入れた後、今度は自らの部下に連絡を入れ、確かな確証が欲しかった事もあり、今の推測が正しいのかを調べてもらうように手配した。
俺は、迎えに来るはずだった部下に、再度連絡を入れ、歩いてある場所へと向かった。
だが、何度考えてもレミホラントに悪魔の曲である『危険物』を扱う乙四奏者がいるようには、思えなかった。
店主の手にあったあかぎれや、客の様子...店の雰囲気からしても、そう思うしかなかった。
そうして結局、あの夜から特に進展も無く、気がついたときには、収穫祭の行われる日になっていた。
俺は、あまり眠れていない頭を必死にたたき起こすと、コンシリエールと何度か話し合いを交えたことで、作っていた作戦に取りかかることにした。
だが、やはりどうにも腑に落ちないところが有り、なかなか準備の手を動かすことが出来なかった。
そんな俺の様子を心配してか、近くにいた部下の一人が、俺にこう声を掛けてきた。
「大丈夫ですか?...最近、無理をされていたようですし...俺が、何かお仕事をお手伝いできれば良かったんですけどね...。」
「...なぁに、ちょっと最近溜まってるだけだ。(笑)優秀な部下である、お前が病むようなことではない。ありがとな。」
「いいえ、とんでも御座いません...!!!もし、俺に何かお手伝いできることがあれば、なんでも言ってください。」
申し訳なさそうな表情を浮かべていた、心優しい部下の頭をそっと撫でると、俺は大きく呼吸をして、部屋の外へと出た。
今回の作戦では、紫翠が現れると言われている収穫祭で紫翠を見つけ次第、奴を尾行して、人気が無くなったところで、バッサリ処分する手はずになっている。
また変な誤解をされるのも不愉快だから、先に言っておくが、俺たちも好きで人を殺しているわけじゃない...。
こういうふうに、裏切り者が出たときに処分しないといけないのは、とても辛いことだ...。
とても勇気がいる、怖く恐ろしいことだ。
例えそれが、味方を何百人と殺した奴でも...。
ましてや、それがよく見知った知り合いならなおさら、そいつの首を飛ばすのは、そう簡単にできることではない。
手元が狂いそうになる。
もと闇組織の頂点にいた男のくせに、怖がるなんて意外か???
まぁ、そう思われても仕方ないけど...俺達もれっきとした人間だ、情ぐらいはある。
よし、行くか...いや、やはりその前にこの心のモヤモヤは、解決しておかなくては、この後に影響する可能性が大だな。
俺は、収穫祭が始まるまでまだ時間があることを時計で確認し、少し腑に落ちない胸のつっかえを、夕方の約束の時間までに、解決しに行くことを決心し、部屋を後にした。
俺が、部下に声をかけてやってきていたのは、いつぞやの便所臭い香水をひっかぶっていた女に、情報をもらうために利用した闇の遊戯場だった。
俺は、部下に声を掛け、迎えの約束を取り付けると、そのままこの間と同じように店の中へと足を踏み入れた。
やはり、何か分からないことが浮上すれば、ここの闇取引の廃屋に足を運ぶに限る。
いわゆる裏組織の国立図書館並みの情報が随時あふれているからな。
全く表も裏も、便利な世の中になったなぁ。
俺は、あれこれ思考ながら、以前と同じように情報を提供してくれそうな人物に目をつけ始めた。
すると...はい、はっけ~ん!!
って、マジかよ。
よりにもよって、紫翠の部下がここにいるとは...あいつ本当に大丈夫なのか???
部下に組織情報売られて...もれなくボスに首取られるぞ。
裏切り者の紫翠だが、一応同組織の仲だし、流石に不安になってくるよ。
内心苦笑いを零しつつ、俺は念のため顔をフードで少し隠し、奴にばれないように用心棒に扮して、紫翠の部下へとこう声を掛けた。
「やぁ、お兄さん。見かけない顔だけど...もしかして、最近ちまたで話題のバイオレットさんの部下か???丁度良かった。いやぁね、兄さん??何でもバイオレットさんが、悪魔の曲にはまったとかなんとかって聞いてな??俺も悪魔の曲に興味があるから、バイオレットさんとこの優秀な部下さんなら、何か知ってるんじゃないのかなって思ってな。...情報提供の報酬は弾むぜ???」
俺が気さくに声を掛けると、紫翠の部下は、俺が社交辞令として口にした『優秀』と言う単語が、余程嬉しかったのか、にんまりとした顔を俺に向けて、少し赤くなった頬をなでながらこう答えた。
「ん???まぁな、俺は確かにバイオレットの部下だが、バイオレットは人使いが荒くて、組織の中でも一二を争う嫌われ者だよ??お前は、悪魔の曲に興味あるって言っていたけど、あれはやめた方がいいぜ??悪魔の曲は、麻薬よりもたちが悪いって噂だ。...レミホラントのことは知っているんだろう??...あそこの店主が何故サツに捕まんないか分かるか??奴は、サツと...何か分からないが、繋がりがあるらしい。それに...何でもあそこの店主は、バイオレットに恨みを持っているらしく、いつか暗殺をするんじゃないのかって噂が...。あれ...用心棒の兄ちゃん??何処行ったんだ??さっきまで、一緒に酒飲んでた思っていたのにな...と思ったら、うっひょ~~~~!!!!!あの兄ちゃん、気前よすぎるだろ。あんなチンケな情報を売っただけで、1000ドル札って...情報って金になんだな!(笑)おーし、今日はじゃんじゃん飲むぞぉ~!!!」
俺は、紫翠の部下から情報を得た後、すぐにコンシリエールへと連絡を取り付けた。
腑に落ちなかったのは...なんで世界でも禁止されている悪魔の曲を、演奏しているレミホラントの店主が、サツに捕まらずに今まで、Barをやってこられたのかということだったんだ。
だが、さっきの話を聞いてやっと分かった。
つまり、紫翠は...レミホラントの店主の真の目的を知らないんだ。
奴は...アメリカの警察と手を組んで、今回の収穫祭で、アメリカ警察は、最近町にあふれてきている不正労働者の摘発と麻薬中毒者の排除を...そして店主は紫翠に昔殺された仲間の恨みを晴らすために....。
今夜の収穫祭で、紫翠を犯人に仕立て上げて、それぞれの目的を遂行しようということだ。
あくまで推測でしかないが...こうとしか考えられない。
こう考える事しか、パズルのピースがきっちりハマることは無い。
だとしたら、紫翠も危ない。
俺は、コンシリエールに連絡を入れた後、今度は自らの部下に連絡を入れ、確かな確証が欲しかった事もあり、今の推測が正しいのかを調べてもらうように手配した。
俺は、迎えに来るはずだった部下に、再度連絡を入れ、歩いてある場所へと向かった。
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