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第10章 「俺たちの運命を変える。」
「優の父親が突然...。」
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「あの...虎雅さん??少しいいですか??...ここじゃ、あれなんで...外に行きませんか??」
「ん??...あぁ、分かった。...お~~い、みんなぁ~~~。これからコンビニに行ってくるけど、何か欲しい物はあるか??」
「そうだなぁ~~。じゃあ、俺は酒!!!」
「翔真...馬鹿か...!!!却下だ却下っ!!!他にはないのか??」
「えっと...じゃあ、俺はお菓子...特大の激甘スイーツお願いします!!!」
「...分かった。...おそらくは、みんな食べれないから、奏也一人で食べることを約束しろよ???」
俺は、みんなの意見...翔真が酒って言った瞬間、ぶん殴ってやろうかなって思ったが...を聞きながら、優と外に出る口実を作った。
まぁ、翔真には練習部屋を出る前に、一発げんこつを落としてきたんだけどな...。
俺は、そんなこんなで優と買い物に出てきていた。
「あの...虎雅さん、ありがとうございます。俺のためにこんな...。」
「ん???あぁ、俺も丁度買い物行きたいなぁ~って、思っていたから大丈夫だ!...それよりも、悩み事か???」
コンビニから帰りながら、俺は不思議に思い、隣を歩いていた優に視線を向けた。
すると、優はいつになく浮かない顔をしており、軽い相談話ではないことが、容易に見て取れた。
「...優??」
俺が、少し声のトーンを落として優の名前を呼ぶと、優は目に軽く涙をためて俺を見つめ、こう言ってきた。
「虎雅さん...。俺...もう皆とバンドをしていけそうもないです。...俺の親父が...父親がぁ......!!!!」
「...優っ!?????おい、ほんとに...急にどうしたんだよ!!!!!...とりあえず、そこのベンチに座ろう???」
俺の問いかけに、耐えきれなくなったのか、それまで目に溜めていた涙を、ボロボロと零すと...次の瞬間、俺のビニール袋でふさがった両腕のことも考えず、俺の胸に飛び込んできたのだった。
こんな優は、いままで見たことがなく...どうにかしなければ、と思った俺は、とっさに近くにあった少し古びたベンチへと、泣いている優を促したのだった。
暫くして泣き止んだ優に俺は、言葉を選びながら、こう聞いた。
「優???...一体どうしたんだ???...何かあったのなら、誰にも言わないし...誰も来ないここなら、幾分か話しやすいとは思うが...。どうだ???」
「....虎雅さん。俺の親父が...会社をリストラになったんです。父親がリストラされたのは、俺のせいかもしれないです。」
多分優は....紫翠のおやじの事を言っているのではなく...おそらく、今の彼がお世話になっている、養子として迎え入れてくれた木名方(きなかた)家の話だろう。
なんでも優の家は、大家族らしく...生活も結構厳しいことから優は、バイトと弟たちの面倒を見ることに、追われていて...たまに、バンド練習に顔を出さない日もあった。
そんな厳しい生活の中で...父親のリストラとは...。
「優...優のせいじゃないよ...。リストラか...まぁ親父さん、すぐに仕事を探せばきっとなんとかなるよ!!!!なぁ、だから...。」
「...駄目なんです。」
「えっ...。」
俺は、優の言った言葉の意味が良く理解出来なかった。
どういうことだ???
だって、リストラされただけなんだろう???
だったら...、働き先を探せばきっとすぐに新しい職に出会えるはずだし...。
俺のこの浅はかな疑問は、次の優の言葉で、確信へと変わることとなる。
「もうかれこれ...20...。父親が新しく受けた会社は...20社に昇るんです。...なのに...そのどこも、面接書類を見せただけで、問答無用で不採用になって返ってくるそうです...。これでも、まだ再就職が期待されているなんて言えますか....。」
「いや......ごめん、そうとは知らなくて...。」
「っ...まぁ、これが俺の定めなら仕方ないから、もういいんです。」
「っ...優...!!!」
俺は、ぐっと拳を握っている優にただ名前を呼ぶことしか出来ず、何一つ良いアドバイスをしてあげることが出来なかった...。
後輩ひとり...悩み事の相談に上手く乗ってあげられないなんて、俺はリーダー失格だな...クソっ。
でもなんで......優の親父さんは、急にそんなことに...。
俺はこう疑問を抱えつつ、先にベンチを立った優に続いて、俺もベンチから立ち上がると、公園を後にしたのだった。
「ん??...あぁ、分かった。...お~~い、みんなぁ~~~。これからコンビニに行ってくるけど、何か欲しい物はあるか??」
「そうだなぁ~~。じゃあ、俺は酒!!!」
「翔真...馬鹿か...!!!却下だ却下っ!!!他にはないのか??」
「えっと...じゃあ、俺はお菓子...特大の激甘スイーツお願いします!!!」
「...分かった。...おそらくは、みんな食べれないから、奏也一人で食べることを約束しろよ???」
俺は、みんなの意見...翔真が酒って言った瞬間、ぶん殴ってやろうかなって思ったが...を聞きながら、優と外に出る口実を作った。
まぁ、翔真には練習部屋を出る前に、一発げんこつを落としてきたんだけどな...。
俺は、そんなこんなで優と買い物に出てきていた。
「あの...虎雅さん、ありがとうございます。俺のためにこんな...。」
「ん???あぁ、俺も丁度買い物行きたいなぁ~って、思っていたから大丈夫だ!...それよりも、悩み事か???」
コンビニから帰りながら、俺は不思議に思い、隣を歩いていた優に視線を向けた。
すると、優はいつになく浮かない顔をしており、軽い相談話ではないことが、容易に見て取れた。
「...優??」
俺が、少し声のトーンを落として優の名前を呼ぶと、優は目に軽く涙をためて俺を見つめ、こう言ってきた。
「虎雅さん...。俺...もう皆とバンドをしていけそうもないです。...俺の親父が...父親がぁ......!!!!」
「...優っ!?????おい、ほんとに...急にどうしたんだよ!!!!!...とりあえず、そこのベンチに座ろう???」
俺の問いかけに、耐えきれなくなったのか、それまで目に溜めていた涙を、ボロボロと零すと...次の瞬間、俺のビニール袋でふさがった両腕のことも考えず、俺の胸に飛び込んできたのだった。
こんな優は、いままで見たことがなく...どうにかしなければ、と思った俺は、とっさに近くにあった少し古びたベンチへと、泣いている優を促したのだった。
暫くして泣き止んだ優に俺は、言葉を選びながら、こう聞いた。
「優???...一体どうしたんだ???...何かあったのなら、誰にも言わないし...誰も来ないここなら、幾分か話しやすいとは思うが...。どうだ???」
「....虎雅さん。俺の親父が...会社をリストラになったんです。父親がリストラされたのは、俺のせいかもしれないです。」
多分優は....紫翠のおやじの事を言っているのではなく...おそらく、今の彼がお世話になっている、養子として迎え入れてくれた木名方(きなかた)家の話だろう。
なんでも優の家は、大家族らしく...生活も結構厳しいことから優は、バイトと弟たちの面倒を見ることに、追われていて...たまに、バンド練習に顔を出さない日もあった。
そんな厳しい生活の中で...父親のリストラとは...。
「優...優のせいじゃないよ...。リストラか...まぁ親父さん、すぐに仕事を探せばきっとなんとかなるよ!!!!なぁ、だから...。」
「...駄目なんです。」
「えっ...。」
俺は、優の言った言葉の意味が良く理解出来なかった。
どういうことだ???
だって、リストラされただけなんだろう???
だったら...、働き先を探せばきっとすぐに新しい職に出会えるはずだし...。
俺のこの浅はかな疑問は、次の優の言葉で、確信へと変わることとなる。
「もうかれこれ...20...。父親が新しく受けた会社は...20社に昇るんです。...なのに...そのどこも、面接書類を見せただけで、問答無用で不採用になって返ってくるそうです...。これでも、まだ再就職が期待されているなんて言えますか....。」
「いや......ごめん、そうとは知らなくて...。」
「っ...まぁ、これが俺の定めなら仕方ないから、もういいんです。」
「っ...優...!!!」
俺は、ぐっと拳を握っている優にただ名前を呼ぶことしか出来ず、何一つ良いアドバイスをしてあげることが出来なかった...。
後輩ひとり...悩み事の相談に上手く乗ってあげられないなんて、俺はリーダー失格だな...クソっ。
でもなんで......優の親父さんは、急にそんなことに...。
俺はこう疑問を抱えつつ、先にベンチを立った優に続いて、俺もベンチから立ち上がると、公園を後にしたのだった。
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