ダメな私と吸血鬼

第1章 「出来損ないの私。」

私の母親...

 どうせ...私なんて...出来損ないだ...。生きている意味なんて...あるのかな...？？

 ここは、とある国の一人の少女の物語である。
「...なによ...これ...また、エピーヌの仕業ね...エピーヌ！エピーヌ！！ちょっと来てちょうだい！！！（怒）」
そう言って、自分の娘を朝から呼び出したのは、エピーヌの母...ヴァニーユだった。
 「...はい...何でしょうか...ヴァニーユ母様...。」
と言って急いでヴァニーユの部屋に入ってきたのは、ヴァニーユの娘...エピーヌだった。
 エピーヌは、部屋に入るなり弱々しい口調、容姿でヴァニーユに近づいた。
 すると、ヴァニーユは、キッとエピーヌを睨みつけると
「...エピーヌ？？...これは、一体どういう事なの...？？？（怒）」
と言って部屋中に散乱している衣服や、装飾品の数々を指さした。
 エピーヌは、目を見開き訳が分からないと言った様子で
「...？？...！？...えっ...こっ...これは...。」
と焦った顔をして、ヴァニーユを見つめた。
 そんなエピーヌに構うことなくヴァニーユは
「...どうして、クローゼットが開いていて...服が散乱しているの...？...あっ...しかも、よく見たら...私の宝石までも何個か無くなっているわ...！あんたが、盗んだんでしょ...！！」
と言ってエピーヌに鋭い視線を投げかけた。
 エピーヌは、咄嗟に
「...いやっ...これは...私は...何も...。」
否定したエピーヌにヴァニーユは
「...いや！！あんたが、盗んだに決まってる！！！だって...あんたは...ヌーヴと真逆の...出来損ないだからね！！（怒）」
と言って目の前に立っているエピーヌを、思い切り突き飛ばした。
 突き飛ばされた勢いに、耐えきれずにエピーヌは、そのままバランスを崩し...床に倒れた。
 だが、エピーヌは
「...っ！！...違っ...。」
と言って何度も否定しようとした。だが、ヴァニーユの大声にかき消され言い返すことが出来なかった...。
「言い訳は、聞きたくないわ！！（怒）...はぁ...もうあんたは、自室にこもってなさい！！（怒）...あんたがいると...王室は、いつまでも平和が訪れない！！！（怒）」
と言ったヴァニーユに、エピーヌは、一瞬肩を震わせたが...やがて、静かに立ち上がると
「...はい...分かりました...。ヴァニーユ母様...失礼致します...。」
と言って頭を下げ、その場を後にしようとドアの方を向き、歩き出した時...ヴァニーユは、弱ったエピーヌに更に追い打ちをかけた。
「...ほんと...あんたなんかいない方がいいわ！！（怒）...はぁ、一刻も早くこの屋敷から出て行ってくれないかしら...（笑）」
エピーヌは、ぐっと手のひらを握ると短く
「申し訳...ございません...。失礼致します...。」
と言って...足早に部屋を後にした...。