ダメな私と吸血鬼

第4章 「私のこれまでと今後。」

昨日の出来事。

 目の前で微笑んでいるニーソンに昨日のことを思い出し...身体の震えと戦っているエピーヌは、恐る恐る昨日の出来事を、話し出した。
「...昨日、私の両親や親族は、舞踏会に行っていたの。だから私は、なかなか外に外出出来ない事もあって...まぁ、それは...私が出来損ないだからなんだけど...。でも、そんな出来損ないの私に唯一理解者がいたの。...私の執事で...たった一人の仲間...ショコラ。親族がいない今日がチャンスだということで、私とショコラは、街にお買い物に出掛けたの...。しっかりと親族の帰ってくる時間も聞いてそれまでに家に帰ったの...だから、大丈夫だと思ったの。でもね、屋敷に親族が帰ってくる時間が...予定よりも...早くて...街に出ていたことがバレてしまったの...。それで、ショコラが...自らを犠牲にして、私を逃がしてくれたの...。もう死んでる...死んでるって分かっているのに...殺されているって...理解してるのに...心のどこかで...きっとまだ生きているんじゃないのかな...って...。諦め悪いわよね...。（泣）...ウィット兄様や、ヴァニーユ母様、ジャルース父様は...、人間を人間として見ていないし...私も...あの一族の中で落ちこぼれだから...。出来損ないって...皆が私のことをそう呼んでいた。」
 ニーソンは、顔を歪め拳を握りしめていたが、やがて普段の顔に戻ると
「...ねぇ、エピーヌ？？よかったら、この先...行く宛がないのなら...俺とラグルの仕事を手伝うっていう条件付きで、ここで暮らさないかい？？？（笑）」
と言った。