ダメな私と吸血鬼

第7章 「みんなでひと成長？」

おかえり、エピーヌ。

 あの夜からラグルとニーソンは、一段と仲が縮まり...縮まり？？
「...だーかーら！！なんでお前は、いつもこうなんだよ！！！」
「はぁ！？それは、俺の仕事じゃないし...貴様の仕事だろうが...！！！」
「だからって、毎回毎回...何で、洋服を脱いだら脱ぎっぱなしで、部屋に放置するんだよ！！！そのせいでてめぇの部屋からゴキブリが大量発生してんだよ！！！！（怒）」
「だから、それは俺の仕事じゃないだろ！？？お前は、家事と石っころの店見てればいいんだよ！！」
「はぁ！？？てめぇ、石っころの店って...。ちょっと、ずらかせや！！！ゴラァ！！？？？（怒）」
と言って朝も早くから絶賛ケンカ中の二人なのであった...。仲が良くなったのかは、謎である...。（笑）
 そんな騒がしい家のドアがそーっと開いたと思ったら、そこには、エピーヌが立っていた。
「...って...え！？？二人ともちょっと何してるの！？？？」
と言って目の前で今にも殴り合いに発展しそうなラグルとニーソンの姿を見つけて、慌てて二人の間に割って入った。
「...ちょっと待ちなさいよ...！！何で、喧嘩なんて...きゃっ！！？？」
止めに入ったエピーヌの姿を目に留めたラグルとニーソンは、エピーヌが話しているのも無視してエピーヌを左右から挟み込むようにぎゅっと抱きしめた。
 咄嗟のことにびっくりして叫び声を上げたエピーヌにニーソンは
「...エピーヌだ！！！おかえり！！！！帰ってきてくれてよかった～！！！ラグルがもう部屋をぐちゃぐちゃにして大変だったんだから！！」
と言っているニーソンにラグルは
「...エピーヌ！！無事でよかった...。って、あぁ！？？ニーソン...、てめぇ今なんつったよ！！！？そんなことエピーヌの前で言うんじゃねぇーよ！！！（汗）」
と言って喧嘩を再開させそうになっている二人にエピーヌは
「...たく！！...うるさいわ！！！！！静かにしてよ！！何で、私がいなくなって帰ってきた時の方が仲悪くなってるのよ！！！！（怒）」
と言って怒鳴り声を上げたため、エピーヌを抱きしめていた二人は、唖然とした顔でエピーヌを見つめていた。
「...あの...ごめんなさい...。」
「俺も...嬉しすぎてつい...。」
と言ってエピーヌから身を離すとまるで主を見るようなしゅんとした目でエピーヌを見つめていた。謝る二人にエピーヌは、目を丸くしていたが、真剣な表情をすると
「...いいえ、違うの...。私は、こんなことを言いに来たんじゃないわ...。あのね、二人に聞いてほしいことがあってきたの。...私を、ここでもう一度雇ってほしいの...！！自分の実の親が酷いことをしているのは、知っているわ...。私を産んでくれて...私を育ててくれた両親だから...その二人の尻拭いは、私が責任を持ってするわ！私が、モーリア夫妻を止める！！だから、私を...私に二人の力を貸してほしいの...！！お願いします...。」
と言って頭を下げたエピーヌにラグルはエピーヌの頭を撫でて
「...おかえり、エピーヌ。お前の決意しかと受け取った！...もう後戻りは、出来ないが...おまえは、それでもいいんだよな？？」
と言ってエピーヌをじっと見つめるラグルにエピーヌは
「何を言われても私の決意は、揺るがないわ！！！」
と言って真っ直ぐにラグルを見つめた。
そんなエピーヌにニコッと笑うとラグルは
「お～、成長したな...。まぁ、頑張れ。女だからといって、容赦はしないぞ...。」
ラグルは、エピーヌに自らの手を差し出した。
「えぇ！私は、人間界も魔界の名誉も両方投げ捨てた女よ！！！もう、何も私を縛るものはないわ！！！」
ラグルに差し出された手を取り深く頷いたエピーヌの目には、炎が宿っていた。
 そんなふたりの様子にニーソンは
「全く...改まっちゃって...。エピーヌ？？俺たちは、もう家族なんだからそんな改まってお願いしなくても大丈夫なんだからね？？？（笑）」
と言ってエピーヌの両頬を自らの両手で包み込み、エピーヌの目をじっと見つめたニーソンは、満面の笑みをしていた。
 この日から、エピーヌ、ラグルそしてニーソンの三人の新たな日常が幕を開けたのである。