ダメな私と吸血鬼

日向 ずい

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第9章 「黒幕は...。」

モーリア夫妻屋敷に向かう道中...??

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 魔界にたどり着き、ラグルとニーソンの後ろを慎重についていくエピーヌは、周りの景色を見渡して
「こんなに自然が多くて綺麗なところなのに...なんて危険なのかしら...。人は見かけによらないって言葉のようね...。」
と言って独りごちていると前で立ち止まっている2人に気づかずに盛大に頭からぶつかった。
「...うっ!!...あら、ごめんなさい...。ちょっと、風景を見ていたら...。」
「...しっ!!静かに...!!(汗)」
と言ってエピーヌが二人に謝るとニーソンが焦った顔でエピーヌの口を手で塞いだ。
 エピーヌは、訳が分からなかったが...目の前に現れた巨大な化け物を見て、初めて状況が掴めた。
「...んー!!!!!」
 エピーヌは、耐えきれずニーソンに口を塞がれながら叫び声をあげた。
 ラグルが、巨大なコウモリの羽を持った全長5メートルはあろう化け物と戦うために、両足に下げていた銃を引き抜くと化け物に構えた。
「...やっぱり来たか...だよな...。だって、俺らの中にいる3人中2人は、血が他の奴らと違うし...やっぱり匂っちまうよな...。まぁ、これぐらいのやつなら余裕だな!!(笑)」
と言ってラグルは、化け物を挑発した。
 その挑発に乗っかったように襲いかかってきたコウモリに、瞬間移動を交えてコウモリの背後をとると、銃を連射して急所である心臓目掛けて何発も何発も撃ち込んだ。
 一分も経たないうちに...コウモリは、地面へと力なく落ちた...。
 コウモリの腹の上に乗ったラグルは、とどめとして、コウモリの首を背中に背負っていた大剣で狩りとった。
 ニーソンに目を塞がれていたエピーヌには、何が起こったのか全くわかっていなかったが...ラグルが巨大コウモリを倒したことは、分かったので地上に戻ってきたラグルにエピーヌは、駆け寄った。
「ラグル!!凄いわ!!!!さすが、ラグルね!!いとも簡単に...『...エピーヌ??これぐらいで、そんな喜んじゃいけない...。俺らは、今の数十倍も手強い相手と戦わなければならないんだ...。だから、気を抜いたらダメだ...。わかったな...。』...はい...ラグル...。分かったわ...。(泣)」
と言ってさっきまで舞い上がっていた気持ちが一気に沈んだエピーヌは、シュンとしてラグルから目線を外した。
 そんなエピーヌにラグルは
「...はぁ、まぁ、気持ちだけもらっとく...。褒めてくれるやつなんていなかっしな...。(笑)ありがとな。」
と言ってため息をつくと、しょげているエピーヌの頭をぽんぽんと撫でて、巨大なコウモリから光る魔石のようなものを取り、ラグルはさっさと先に行ってしまった。
 エピーヌは、ニーソンに
「ねぇ??ニーソン??さっきラグルが巨大コウモリからとった光る魔石のようなものは何???」
「ん??あー、あれはね...魔界に住んでいるやつも人間と似てて、他の奴をめったに襲ったりしないんだけど...生まれた時から心臓にある白く光る石が...ストレスや上手く環境に適応できなくなると...どんどん黒ずんで、やがて真っ黒に染まると...宿主の身体を蝕(むしば)み、あんなふうに住民を襲うようになるんだ...。だから、退治した場合は、ああやって黒石を取り除いて...魔界にいる浄化植物にそれを食べさせる必要があるんだ...。ほら、前にいるラグルの手元を見てみなよ。」
と言ってニーソンの指さした方を見てみると、ラグルが口を開けて待っている植物に呪文をかけて...植物の口の中に黒石を入れて呪文を最後まで紡ぐと、植物は、キラっとひかりを放ち...その場から姿を消した。
「うわー!!...えっ!??浄化植物は、どうなっちゃったの??(汗)」
と心配そうな顔でニーソンを見たエピーヌにニーソンは
「えっとね、天上の世界に行ったよ...??...ラグルが最後まで呪文を唱えていたのは...黒石を食べさせると浄化植物は、死んでしまう...。人間界の植物と違い...魔界の植物は、活発なんだ...。だから、もしあそこでラグルが呪文を途中で唱えるのを止めていたら...ラグルが浄化植物に取り憑かれ...化け物と化してしまうんだ...。」
「...そうなのね...。何だか、浄化植物って可愛そうね...。(汗)」
と言って話をしているとエピーヌとニーソンの元にラグルが近づいてきて
「全く...何をあれこれ話しているんだ...。さっさと行動しないとまた、さっきみたいに化け物と化した魔族に襲われるぞ...。」
と言ってさっさと先を急ぐラグルの後をニーソンとエピーヌは、顔を見合わせて頷き合うと、静かについて行った。
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