COLORFUL_WARS

綺羅星宇宙

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2章・試験と過去

火山の民と独唱の秘密

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オペラとクリームは大広間の机を一つ一つ調べていた
「ん~埃っぽくないのは唯一のクリーム達への優しさ~?」クリームはキルシュからの音符の形をしたランプを持ち、テーブルから少し離れながら探していた。
「感謝しないといけませんね、クリームそっちは大丈夫ですか?」
オペラは椅子を一つ一つじっくり、観ていた
「ん~特にはーーーーー」クリームが言いかけたその時、クリームの膝丈のボリューム感満載のオフホワイトのドレスが捲れテーブル下から薄気味悪いモンスターが現れた。
「触れるなんて思ってんじゃねぇよ!!」クリームの素の男口調でモンスターからバックステップで離れた。
「あのモンスターって……」
「下級中の下級…古城にいるゴースト」
オペラとクリームは背中合わせに言葉を交わしている
「じゃあクリーム達にとっては凄く相性良いんだ」
クリームはニヤリと笑い短いステッキを口の前に構えた
「僕はいつでも大丈夫ですよ」
オペラは細い横笛タイプの魔笛を美しく構えた
「3……2………1!!」
クリームのその言葉と共に2人は離れ、クリームは歌い始めた
『グゲェガッ』ゴースト達は光を放ち消えてゆく
「キラメクっ甘く~クリームの魅力の種を君も芽吹かせて~」
クリームは淡く光を放つステッキに、むかい歌を楽しそうに歌っている
『グゴゲェパゲ』
オペラが優雅に美しく音色を奏でているその旋律を聴いたオペラが敵対する者は自ら破滅へとむかうのだ。
「ごめんなさい、苦しみ痛みは無いと思いますせめて最後は安らかに…」
オペラの音色が古城に響き渡りゴースト達は全て消え去った。
「流石オペラ~ゴースト系にお強い~」
クリームは満足そうにステッキをしまった。
「僕が得意なのは大勢の敵、特にゴースト系です1対1は得意ではありません」伏し目がちにオペラは胸元からストロベリー色のリップバームを出し唇に塗っている
「僕達は戦闘方法が相性が良いので組まされていますが今ままでで1番短時間かつ多くの敵を倒しましたね」
「あり?そーだっけ?」
クリームは人差し指を顎に当て何となく上を見上げた
「……あ~オペラ~……上見て?」
「?上、ですか?」
オペラが上を見上げると大きな顔がギョロリと2人を観て蠢いていた。
「どうやら倒さないといけないみたいですね」
オペラはクリームを観た
「はぁ~あ~アレ、クリーム達じゃないと無理な敵じゃんヤダヤダ、でもアレ倒すとなるとオペラあの魔法ーー」
クリームは心配そうな顔でオペラを観た
「大丈夫です、少しなら」オペラが持っている魔笛は姿を変え大きな縦笛になっていた。
「じゃあクリームもキラキラプリティーな歌じゃなくて、起源も斜めだし荒っぽく歌ってみよ!」
そういうとクリームはステッキを投げ呪文を叫んだ
「キラキラクリーム!ロックロクになぁ~れ!」
するとクリームをホイップクリームのようなベールで包まれ中からドレス姿からダボッとしたズボンスタイルに変わったクリームが出てきた。
「良く似合ってますよ」
オペラはニコリと微笑んだ
「クリームだからどんな衣装でも似合うけどやっぱフリフリプリティーな服が好きだなぁ」
落ちてきた長く足も着いたマイクステッキを受け取り
クリームはオペラに目配せした。
「こんな姿、オペラ達にしか見られたくないから早く消えろよ顔面が!!!」
心を強く打つオペラの演奏にクリームはワイルドにセッションしていく。




 「ココは礼拝堂か」
ロキとアリアは礼拝堂に到着した
「……速く見つけよう」アリアはどこか震えた瞳をしていた
「お前さっきからどうしたんだよ」
ロキはアリアの手を振り払うことなく進んでいく
すると遠くから鎖を引きずる音がした
「!!」アリアは酷く怯えた顔でその場にしゃがみ込んでしまった
「大丈夫だ音は礼拝堂の外からだ」
「シスターはいないかぁ~~?おぉ~~?火山の民の血を引くシスターはぁ~」
野太く下品な声にロキの声は消されてしまった
「こ~こ~こだぁ」
耳を澄ませていたロキの肩がピクリと動きアリアを抱き締め懺悔室に入った
「これで、よし」外から鍵を掛ける魔法をし、この礼拝堂には誰も居ないよう工作した。
アリアはフルフルと震えていた、だが表情は憤怒と恐怖が入り交じった顔だ。
「火山の民…躰のどこかに火山の紋章がある…生き残りなんて今は禁忌地区にしかいないはず…」
ロキは微かな隙間から外を見ている。
「あいつの名前はギルクラ、火山の民の女性を売り捌いてた指名手配の大悪人」
アリアは落ち着きを取り戻し暗い懺悔室の中で深呼吸をする。
「ギル…あいつは谷底に落ちてそれっきり!」
ロキは驚きアリアに振り返る。
「谷底には落ちたよ、温泉が湧き出る場所にね満身創痍のあいつを救ったのは火山の民のシスターだった」
アリアは右胸に両手をあてながら話す
「俺はまともに表だって生きてきてなかったから大抵の悪党、ファミリーは知ってるぜ?だがギルクラは火山の民のしかも女性を何故狙うんだ?」
「少しだけ、昔の話をするね…誰にも言えなかった、秘密」アリアはロキに切り出した。




 火山の民、湿度と気温が高い活火山の近くに住む種族
女性は躰のどこかに火山の民の紋章がある、男性の場合は感情が高ぶると背中一面に紋章が浮き出る。
アリアは火山の民と普通の民との間に産まれたのである
「プリメル、本当に火山の民以外と結婚すると言うの?」
ガーネットのウェーブ、優しい微笑みのプリメル。
プリメルこそアリアの実の母親なのだ。
「えぇ私は彼を愛しているわ」
火山の民には2つの呪いがある
1つは短命の呪い、子を妊った状態で川や水が流れている自然の場所に行くと女性は短命の呪いを受けてしまい本来の力が出せなくなる。
呪いを解くには火山の民以外の者との結婚のみ。
「結婚すれば呪いは解けるが火山の民の血は薄くなりいずれ途絶える」
友人から不安気に告げられたがプリメルは微笑みを絶やさない。
「私はね火山の民ということにこだわっていなの、もっと外の世界を知りたいし綺麗な女性のまま一生を終えたい」
2つは種難の呪い、火山の民以外の者との子を成すのが難しくなること。
「大抵の民は種難の呪いで短命で子供を育てることなく終わってしまう」
プリメルは空を見上げながら言う
「プリメル様~お話聞かせてください、お話を」
プリメルの元に年下の女性が集まってきた。
「…私のこと忘れないでね、プリメル」
「もちろんよ、マルシェ」
プリメルはマルシェに手を振りマルシェはその場を後にした。
「プリメル様、私達も火山の民以外と結婚したい!」
「あたしも!」
少女達は小声でプリメルに話している。
昔、現在よりも閉鎖的な空間で火山の民は暮らしており
外の世界に憧れ火山の地を後にする者が増えていった。
「ふふっ私の主人に人を紹介できるか聞いてきてあげる」
「ありがとう!プリメル様!」
少女達はニコニコとプリメルを見た
 
 「プリメル……会えては嬉しいよ……」
「あぁ……私もよニール」
プリメルは夜中に火山のふもとまで降りてゆきニールという男と密会を重ねていった。
「ん……他の少女達も火山の民以外の者との結婚を望んでいるの」
ニールの手がプリメルの腰から脇に滑る。
「あぁ新しい世界を見るのは大事なことさ」
ニールの手はプリメルの体中を滑る、統べる。
「今日も……頑張りましょ?」
使われていない小屋も2人にとっては逢瀬の聖域である
「っ……ぁ」
種難の呪いなど気にしないかのように2人は激しく躰を重ねる
「ね、え、プリメルはいつも体力っ凄いなっ」
プリメルの左尻に火山の紋章。
ニールは競うようにプリメルに応える
「火山の民の体力は凄いのよっ私はぁっ民の前でいつも舞っているのよっ」
火山の民は一定の期間、火山に宿る紙について向かって
女性が舞う、その舞をプリメルは歌いながら舞うのだ
「そっだったなっくっ!」
ニールとプリメルは同時に頂点に達した。
「プリメル、逃げようココから魔法学校ですらかなりの距離がある俺が仲間を呼んでいるさぁ」
ニールの真っ直ぐな瞳がプリメルの心を熱くさせ2人は逃亡した。
 「プリメル、ただいま」
「ニール、お帰りなさい」
2人はクスクスと笑いあっていたプリメルは逃亡してからすぐに妊り一人娘ができた。
「アリアは?」
「寝ているわぐっすりとね」
プリメルの微笑みは結婚しても変わらずニールしか見ていなかった。

 「じゃあなギルクラ、このキングを怒らせすぎたからだ谷底で精々無様にジタバタしてな」
「どこかで声がーー」
プリメルは火山の地を懐かしみながら帰ろうとすると
熱い泉の中へと上から落ちてくる男を見た。
「だ、大丈夫!?」
プリメルは慌てて男を引っ張りあけだ、そうギルクラを。
「くそっ!キングめ!絶対にぶち殺してやる!」
怒り心頭のギルクラはプリメルを見てハッと気がついた
「……ハハッそうか、お前が……」
ギルクラは濡れたジャケットを捨てビショビショになった服を絞りながらプリメルを見た。
「あの、大丈夫ですか?」
「えぇ大丈夫ですよ?あなたプリメルさんですよね?私はニールと知り合いでしてね是非とも火山の民の女性の他婚を応援したく思っているのです」
「まぁ!それはそれは!」
プリメルはニールの知り合いと聞くとギルクラを信じてしまった。
「プリメル様~!プリメル様!」
プリメルの姿を見た火山の民の女性がプリメルの後を追いかけてきたのだ。
「皆さんは火山の民以外の者との結婚を考えているのですよね?なら時間は速い方が良い!さぁ行こう!」
少々達はギルクラについて行ってしまった。
 だがその晩を境にニールとプリメルの住居にギルクラの手下が忍び寄ってきた。
「……アリアはきっと大切に育てることなどできない」
そう言うとニールは街の教会の前にまだ赤ん坊だったアリアを置いていった簡潔なメモと一緒に。
ニールはギルクラの手下でありギルクラには気に入られていた
「ニール~でかしたなぁ種難の呪いはともかく子供はいないのか?」
ギルクラは大きな椅子に座り火山の民の女性の太股を撫でながらニールに厭らしく聞く
「……種難の呪いはやはり強力です5日間と頑張りましたが無理でした、あのプリメルはドコに?」
ニールはギルクラを真っ直ぐ見ながら聴いた。
「強力な呪いだなぁ…だが“産まれた子供は”何かしらで強力な力を持っていると聞いている、プリメルはお前の女房だお前の部屋に閉じ込めてる」
ギルクラは太股を抓りながらニールを見た
「まぁ“楽しんだら”また戻ってこい俺の自室だ」
「……はい」
ニールはその部屋を後にすると急いで自室に行った
「おかえりなさい」
プリメルはニールを抱き締めた
「怒っていないのか?俺を」
「怒ってなんかいないわ、私に外の世界を見せてくれて出産とはどんなものか教えてくれた貴男を心の底から愛してるわ」
最早2人の間には2人の愛しかなくアリアの事など頭の中に無かったのだ。
2人は簡易な二段ベッドの上で激しく愛し合う
「俺はギルクラの手下だっそれでも俺を愛せるのか?」
ニールはプリメルに覆い被さりプリメルの豊満な躰を堪能する
「っえっえぇニールさえいればっそれで良いわっ」
プリメルはニールの腰を掴みながら答えた。
「俺はっ子供など、もうどうでも良いお前と愛し合っていきたい!」
「私もよっぁあっ」
2人は果て、ニールはギルクラの部屋に行った。

 「俺も今さっき終わったところだ火山の民は子供がデキたら民全体で育てるらしいな“行為その物”も俺達が思う感覚とは違っている」
ギルクラは満足したのか鼻の下が延びている
「火山の民の女を売り飛ばす」
「!?本当にやるのですかっ!?先の件のキングが今度こそ黙っていません!」
ニールはギルクラに驚きを隠せなかった
「売った後は知らん、館に売られるか愛玩とされるかだが高く売れる」
ニールは絶望した最早自分には為す術が無いと。
「んっ…ギルちゃん……っ」
絶望していたニールを気にせず先ほど太股を撫でられていた火山の民の女がギルクラに倒れ込んだ。
「話は以上だ安心しろ、手下の女以外だ、じゃあな」
女の手を万歳の形にし女は楽しそうにギルクラを寝室に誘う
「おぉ~がんばりまちょ~ね~」
ギルクラは赤ん坊をあやすように寝室に行った。

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