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初デュエル
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ココロ先生はため息をつき、教卓に頬杖をつく。
しかし、誰も口を開こうとはせず教室は静寂が包み込む。だからといって、俺が何かを言える立場じゃない。1通りのルールは分かったが、誰かどんな魔術を得意としているかすら分からない。そんな奴が何かを言ったところで、結局はココロ先生のやったことと同じだ。誰か、このクラスをよく知っているやつがこの場を仕切らないといけない。
恐らく、それをみんな分かっているのだ。分かったうえで、誰も何も言わないのだ。
でしゃばって結果を残せ無かったら、責められるのは自分になるのだ。
──やっぱり能力のある人だけでやれば良かったんだ。
くっそ……。俺は……結局口だけだ。何も出来やしない。
何も出来ない自分に腹が立ち、きつく拳を握りしめる。
あまり伸びていないのに、爪が皮膚にくい込んでいくのがわかる。
「分かった、私がやるわ」
俺の拳を一瞥したマリアが、堅い表情を浮かべ立ち上がる。
「……いいのか?」
自分で言い出したこととはいえ、責任を問われるのはマリアになるだろう。だから俺は、視線をマリアに向ける。マリアは極小の動きで頷きを見せる。
「それじゃあ、重量魔術からね。えっと、3人だったわね?」
マリアは視線を動かし、ココロ先生を捉える。ココロ先生はゆっくりと瞼を閉じて、そうよ、と答える。
「出たいって子いる?」
マリアは教室全体を見渡して訊く。だが、誰も手を挙げない。だがそれもそうだろう。ここで手を挙げて結果を残せなかったのならば、と考えると手を挙げる自信などあるわけが無い。
「だから俺らに任せときゃいいんだろうが」
目に少しかかる漆黒の髪を持つ男がそれを弄りながら、俺らを嘲笑うように言う。
「ざけんなよ。アンタらだけで勝って何が楽しい?」
「いいだろ? 勝てる可能性が高くなるんだから。それに、たかが転入生がイキがってんじゃねぇーよ」
髪と同じ漆黒の瞳を細め、俺に向ける。
「あぁ!? テメェこそAクラスに入れてねぇーってことは、結局平凡なんだろが! どんぐりの背比べしてんじゃねぇーよ」
「ど、どんぐりの背比べ? なんだそれ」
そっか。俺らの世界の言葉なのか、これ。
「同じレベルで争うなってことだよ。先生、この学校ってどんな入学試験やるんだ?」
突然話を振られたココロ先生は、目を見開いてから、え……、えっと、と言葉を紡ぐ。
「試験は全部で2つ行われるわ。一次試験は、筆記テスト。で、二次試験は実技試験よ」
「ふーん。ならテスト結果みたいなのあるか?」
「あるはあると思うけど……。見せることなんて出来ないわよ」
「見せることはできない、か。ってことは、アンタは見れるわけだよな?」
そう言うや、ココロ先生の表情が固まる。
「じゃあ見てくれ。んで、各競技の魔術が得意なやつをピックアップしてくれ」
なんでここまで本気になってんだろ?
自分でも驚くほどだ。でも、ここまでやったからには絶対に勝ちたい。それを視線に乗せて蒼穹の瞳をココロ先生に向ける。
頼む……。教えてくれ……。
するとココロ先生は、はぁー、とため息をついてから分かったわよ、と告げ教室を出た。
「はぁー、ったく。他所モンが調子コキやがって」
瞬間──その男、空気が変わった。
「や、やめときなよ……スス」
俺に突っかかってきた男──ススの隣に座る灰色の髪を持つ気の強そうな女が言う。
「せっかくアイツが先生を外させたんだ。俺の勝手にさせろよ、ムム」
「だからって……」
ココロ先生の指名を受けていた一人が同じく指名を受けたススを止める。
「テメェこそ、平凡なくせに調子に乗んなよ」
ガンッ、と机を蹴り音を立てる。
「へぇ、随分と自分に自信があるようだな」
「テメェには言われたくねぇーよ」
口端を釣り上げ不敵に笑ってやる。それが面白く無いのだろう。ススは机の上に足をあげ、今にも俺に飛びかかろうとしている。
「落ち着けって!」
筋肉が程よくついた殴り合いをしたならば、絶対負けるだろうと思われる茶毛と赤いピアスが特徴の男──カントがその体を抑える。
「カーミヤくんも落ち着いて!」
マリアが俺の顔をしっかりと見据えて言う。だが、俺はマリアに目線を合わせて小さく笑う。
「十分落ち着いてるよ」
出来るだけ優しく、棘のない言葉で紡ぐ。
「こうなったら……、デュエルしかねぇーだろ」
低く唸るような声で、ススは俺に言った。
デュエル……? 1VS1の対戦か?
知らない言葉に俺が目を点にすると、ススは鼻で笑う。
「んなことも知らねぇのかよ。ほんと胸クソ悪い」
「悪ぃかよ」
キッと、強い視線をススに向ける。しかし、ススは怯む様子もなく教卓の方へと向かう。
「かかってこいよ」
「あぁ」
***
俺とススは、教卓の前に立っていた。二人の距離はおよそ三メートル。その周りをクラスメイトが囲んでいる。ほとんどは好奇の目だ。だが数人は、心配の目を向けている。
ルールは簡単。魔術や、魔法を使って相手を参ったと言わせたら勝ちらしい。だが、相手を殺すまたは大怪我を負わせるような魔術、魔法を使った、または使おうとした場合はその場で失格となる。
向き合って分かったことがある。スス、こいつは強い……。
向き合ってなお、目が据わってる。怯えた様子がない。
「ふぅー。やるしかねぇーか」
魔術や魔法。そんなものを俺は使うことが出来ないのだ。唯一使えるのは、遊空魔法くらい。故に戦闘になれば、頼れるのは己の腕っぷしだけだ。
胸中でため息をつく。勝てるのか……?
やはり不安になる。だが──勝つしかない。ここで見せつけなければならない。
「いつでもいいぜ?」
震えそうになる声をぐっと、押し込み言うと、ススは返す。
「なら遠慮なくッ!」
そうして戦いの火蓋は切って落とされた。
「空間を切り裂く雷鳴よ」
ススは右手を広げ、俺に向ける。そしてそう唱えた瞬間、空間を煌めく一閃が迸る。
一筋の光がうねりを見せて俺に向かってくる。避けられるか?
そう思案した刹那。一筋の稲妻はスピードを速めた。
「なっ!?」
目を丸くする。──避けられない。
俺はそう思った。同時に稲妻は、俺に触れた。
──負けた……。
悔しいという気持ちが溢れ出る。辺りはその稲妻の名残りとして煙幕が上がる。
俺たちを囲んでいたクラスメイトたちからは、やっぱりススだよなー、という声があがる。
何がススだよな、だよ。ふざけんなよ! 俺は……勝てる、と思ってたんだよ……。
だが、次の瞬間──クラスメイトたちからえっ、という声が洩れた。
それが何なのか。俺には分からなかったが、視界がやけに高い。倒れて……ない?
下を向く。やはりいつもの視線の位置と変わらない。しかし、制服には焦げ目が付いている。
ということは避けられてないのだ。が、俺自身にはダメージがない。これは、フフとの時もあった。一体どういう原理なんだ……?
「へぇー、避けたのか」
だが、ススは俺がギリギリで避けたと思ったらしく関心した表情を浮かべる。
まぁ、これに乗らない理由はないな。そう考え、
「まぁな」
と、不敵に答える。そして、俺は脚に力を込めて床を一気に蹴り飛ばす。
初速度はそこそこ。遅くも速くもない。だが、ススは先ほどの一撃で決めようと思っていたらしく一瞬のスキがあった為に懐へと入り込むことが出来た。
魔術、魔法を使うことは出来ない。ならどうする……?
直接殴るしかねぇーだろ! それが一番気も晴れる!
「うぉぉぉぉ!!」
咆哮を轟かせ、きつく握り締めた拳をススの腹部にいれる。
「グハッ!」
ススは白目を向き、唾液を飛ばす。一メートルほど後方へと飛んだススは体勢を崩しながら、先ほどと同じように右掌を俺に向けて声を上げる。
余裕のない焦った声音だ。
「桜雪の輝よ!」
瞬間、広げた手の周りに白い光を持った粒子が集まり始める。あれが一体何なのか。それは俺には分からない。しかし──まともに受けたらやべぇーよな!
そう感じ、俺は大きく後ろへ飛ぶ。
だが、それは間に合わない。光の粒子はそれぞれが形持ったものとなり、それらをピンク色に染め上げる。さながら桜の花びらのようだ。
その一片が俺の右脚に触れる。……冷たい?
桜の花びらのようなそれは、恐らく雪だ。
くっそ! 俺は慌てて宙で脚を振る。考えるより先に脳が危険たと判断したんだ。
「邂逅せよ!」
ススはそう叫んだ。直後、散り散りだった桜色の雪は俺の右脚目掛けて飛んでくる。
ど、どうする!
一瞬とは思えないほど、幾多の思考を巡らせる。しかし、答えは出ることなくそれらは俺の右脚に纏わりついた。
「ふっ、残念だったな。これでお前は動け──」
ススは余裕を取り戻したようで、不敵に笑った。だが
その笑顔は一瞬で消えた。俺が桜色の雪を纏った脚を地面につけた途端、それらが音もなく消え去ったのだ。
何だか分からんが、ラッキー!
再度床を蹴り、何が起こっているのか分からないススの懐へと入り込むや、拳をつくる。
ススは咄嗟に腹の辺りで腕を交差させる。
「それで防御してるつもりかよ」
そう吐き捨て、俺は右脚でススの脚を刈る。それによってススは体勢を崩し、転げかける。俺は、そのタイミングでススの顔面に拳を入れた。
ドンッ、という強く鈍い音がした。そして、
「こ、降参する」
クラス三強の一人、ススが俺に対して敗北宣言をした。
しかし、誰も口を開こうとはせず教室は静寂が包み込む。だからといって、俺が何かを言える立場じゃない。1通りのルールは分かったが、誰かどんな魔術を得意としているかすら分からない。そんな奴が何かを言ったところで、結局はココロ先生のやったことと同じだ。誰か、このクラスをよく知っているやつがこの場を仕切らないといけない。
恐らく、それをみんな分かっているのだ。分かったうえで、誰も何も言わないのだ。
でしゃばって結果を残せ無かったら、責められるのは自分になるのだ。
──やっぱり能力のある人だけでやれば良かったんだ。
くっそ……。俺は……結局口だけだ。何も出来やしない。
何も出来ない自分に腹が立ち、きつく拳を握りしめる。
あまり伸びていないのに、爪が皮膚にくい込んでいくのがわかる。
「分かった、私がやるわ」
俺の拳を一瞥したマリアが、堅い表情を浮かべ立ち上がる。
「……いいのか?」
自分で言い出したこととはいえ、責任を問われるのはマリアになるだろう。だから俺は、視線をマリアに向ける。マリアは極小の動きで頷きを見せる。
「それじゃあ、重量魔術からね。えっと、3人だったわね?」
マリアは視線を動かし、ココロ先生を捉える。ココロ先生はゆっくりと瞼を閉じて、そうよ、と答える。
「出たいって子いる?」
マリアは教室全体を見渡して訊く。だが、誰も手を挙げない。だがそれもそうだろう。ここで手を挙げて結果を残せなかったのならば、と考えると手を挙げる自信などあるわけが無い。
「だから俺らに任せときゃいいんだろうが」
目に少しかかる漆黒の髪を持つ男がそれを弄りながら、俺らを嘲笑うように言う。
「ざけんなよ。アンタらだけで勝って何が楽しい?」
「いいだろ? 勝てる可能性が高くなるんだから。それに、たかが転入生がイキがってんじゃねぇーよ」
髪と同じ漆黒の瞳を細め、俺に向ける。
「あぁ!? テメェこそAクラスに入れてねぇーってことは、結局平凡なんだろが! どんぐりの背比べしてんじゃねぇーよ」
「ど、どんぐりの背比べ? なんだそれ」
そっか。俺らの世界の言葉なのか、これ。
「同じレベルで争うなってことだよ。先生、この学校ってどんな入学試験やるんだ?」
突然話を振られたココロ先生は、目を見開いてから、え……、えっと、と言葉を紡ぐ。
「試験は全部で2つ行われるわ。一次試験は、筆記テスト。で、二次試験は実技試験よ」
「ふーん。ならテスト結果みたいなのあるか?」
「あるはあると思うけど……。見せることなんて出来ないわよ」
「見せることはできない、か。ってことは、アンタは見れるわけだよな?」
そう言うや、ココロ先生の表情が固まる。
「じゃあ見てくれ。んで、各競技の魔術が得意なやつをピックアップしてくれ」
なんでここまで本気になってんだろ?
自分でも驚くほどだ。でも、ここまでやったからには絶対に勝ちたい。それを視線に乗せて蒼穹の瞳をココロ先生に向ける。
頼む……。教えてくれ……。
するとココロ先生は、はぁー、とため息をついてから分かったわよ、と告げ教室を出た。
「はぁー、ったく。他所モンが調子コキやがって」
瞬間──その男、空気が変わった。
「や、やめときなよ……スス」
俺に突っかかってきた男──ススの隣に座る灰色の髪を持つ気の強そうな女が言う。
「せっかくアイツが先生を外させたんだ。俺の勝手にさせろよ、ムム」
「だからって……」
ココロ先生の指名を受けていた一人が同じく指名を受けたススを止める。
「テメェこそ、平凡なくせに調子に乗んなよ」
ガンッ、と机を蹴り音を立てる。
「へぇ、随分と自分に自信があるようだな」
「テメェには言われたくねぇーよ」
口端を釣り上げ不敵に笑ってやる。それが面白く無いのだろう。ススは机の上に足をあげ、今にも俺に飛びかかろうとしている。
「落ち着けって!」
筋肉が程よくついた殴り合いをしたならば、絶対負けるだろうと思われる茶毛と赤いピアスが特徴の男──カントがその体を抑える。
「カーミヤくんも落ち着いて!」
マリアが俺の顔をしっかりと見据えて言う。だが、俺はマリアに目線を合わせて小さく笑う。
「十分落ち着いてるよ」
出来るだけ優しく、棘のない言葉で紡ぐ。
「こうなったら……、デュエルしかねぇーだろ」
低く唸るような声で、ススは俺に言った。
デュエル……? 1VS1の対戦か?
知らない言葉に俺が目を点にすると、ススは鼻で笑う。
「んなことも知らねぇのかよ。ほんと胸クソ悪い」
「悪ぃかよ」
キッと、強い視線をススに向ける。しかし、ススは怯む様子もなく教卓の方へと向かう。
「かかってこいよ」
「あぁ」
***
俺とススは、教卓の前に立っていた。二人の距離はおよそ三メートル。その周りをクラスメイトが囲んでいる。ほとんどは好奇の目だ。だが数人は、心配の目を向けている。
ルールは簡単。魔術や、魔法を使って相手を参ったと言わせたら勝ちらしい。だが、相手を殺すまたは大怪我を負わせるような魔術、魔法を使った、または使おうとした場合はその場で失格となる。
向き合って分かったことがある。スス、こいつは強い……。
向き合ってなお、目が据わってる。怯えた様子がない。
「ふぅー。やるしかねぇーか」
魔術や魔法。そんなものを俺は使うことが出来ないのだ。唯一使えるのは、遊空魔法くらい。故に戦闘になれば、頼れるのは己の腕っぷしだけだ。
胸中でため息をつく。勝てるのか……?
やはり不安になる。だが──勝つしかない。ここで見せつけなければならない。
「いつでもいいぜ?」
震えそうになる声をぐっと、押し込み言うと、ススは返す。
「なら遠慮なくッ!」
そうして戦いの火蓋は切って落とされた。
「空間を切り裂く雷鳴よ」
ススは右手を広げ、俺に向ける。そしてそう唱えた瞬間、空間を煌めく一閃が迸る。
一筋の光がうねりを見せて俺に向かってくる。避けられるか?
そう思案した刹那。一筋の稲妻はスピードを速めた。
「なっ!?」
目を丸くする。──避けられない。
俺はそう思った。同時に稲妻は、俺に触れた。
──負けた……。
悔しいという気持ちが溢れ出る。辺りはその稲妻の名残りとして煙幕が上がる。
俺たちを囲んでいたクラスメイトたちからは、やっぱりススだよなー、という声があがる。
何がススだよな、だよ。ふざけんなよ! 俺は……勝てる、と思ってたんだよ……。
だが、次の瞬間──クラスメイトたちからえっ、という声が洩れた。
それが何なのか。俺には分からなかったが、視界がやけに高い。倒れて……ない?
下を向く。やはりいつもの視線の位置と変わらない。しかし、制服には焦げ目が付いている。
ということは避けられてないのだ。が、俺自身にはダメージがない。これは、フフとの時もあった。一体どういう原理なんだ……?
「へぇー、避けたのか」
だが、ススは俺がギリギリで避けたと思ったらしく関心した表情を浮かべる。
まぁ、これに乗らない理由はないな。そう考え、
「まぁな」
と、不敵に答える。そして、俺は脚に力を込めて床を一気に蹴り飛ばす。
初速度はそこそこ。遅くも速くもない。だが、ススは先ほどの一撃で決めようと思っていたらしく一瞬のスキがあった為に懐へと入り込むことが出来た。
魔術、魔法を使うことは出来ない。ならどうする……?
直接殴るしかねぇーだろ! それが一番気も晴れる!
「うぉぉぉぉ!!」
咆哮を轟かせ、きつく握り締めた拳をススの腹部にいれる。
「グハッ!」
ススは白目を向き、唾液を飛ばす。一メートルほど後方へと飛んだススは体勢を崩しながら、先ほどと同じように右掌を俺に向けて声を上げる。
余裕のない焦った声音だ。
「桜雪の輝よ!」
瞬間、広げた手の周りに白い光を持った粒子が集まり始める。あれが一体何なのか。それは俺には分からない。しかし──まともに受けたらやべぇーよな!
そう感じ、俺は大きく後ろへ飛ぶ。
だが、それは間に合わない。光の粒子はそれぞれが形持ったものとなり、それらをピンク色に染め上げる。さながら桜の花びらのようだ。
その一片が俺の右脚に触れる。……冷たい?
桜の花びらのようなそれは、恐らく雪だ。
くっそ! 俺は慌てて宙で脚を振る。考えるより先に脳が危険たと判断したんだ。
「邂逅せよ!」
ススはそう叫んだ。直後、散り散りだった桜色の雪は俺の右脚目掛けて飛んでくる。
ど、どうする!
一瞬とは思えないほど、幾多の思考を巡らせる。しかし、答えは出ることなくそれらは俺の右脚に纏わりついた。
「ふっ、残念だったな。これでお前は動け──」
ススは余裕を取り戻したようで、不敵に笑った。だが
その笑顔は一瞬で消えた。俺が桜色の雪を纏った脚を地面につけた途端、それらが音もなく消え去ったのだ。
何だか分からんが、ラッキー!
再度床を蹴り、何が起こっているのか分からないススの懐へと入り込むや、拳をつくる。
ススは咄嗟に腹の辺りで腕を交差させる。
「それで防御してるつもりかよ」
そう吐き捨て、俺は右脚でススの脚を刈る。それによってススは体勢を崩し、転げかける。俺は、そのタイミングでススの顔面に拳を入れた。
ドンッ、という強く鈍い音がした。そして、
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クラス三強の一人、ススが俺に対して敗北宣言をした。
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