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17歳
799 ポジティブ
なんとなく寝る前にユリスの部屋でごろごろしていた。ユリスのベッドに転がって、犬と猫を両側に置く。意味もなく天井を眺めて、両脇にいる毛玉をもふもふする。エリスちゃんは目を閉じて既に寝ている。綿毛ちゃんも寝ている。
「おい。僕のベッドを毛まみれにするんじゃない」
険しい声を飛ばしたユリス。顔をそちらに向けた俺は、隣で寝ていた綿毛ちゃんの背中を揺らした。
「綿毛ちゃん。絶対に毛を落とすなよ」
『えー、そんな難しいこと言われてもぉ』
困っちゃうねぇ、と笑う綿毛ちゃんに、ユリスが眉を吊り上げる。綿毛ちゃん、起きてたのか。
「僕はもう寝るんだ。部屋に戻れ」
「一緒に寝よう」
「断る」
冷たいユリスは、散らかしていた本を棚に戻す。それを横目に、足をジタバタさせる俺は枕を抱えた。
「ねー、聞いてよ。ティアンがね、一緒に寝るのはダメって言うんだ。ひどいよね」
「なぜ一緒に寝る必要がある」
「……恋人だから?」
目を細めたユリスは、やれやれと息を吐く。
なんだその偉そうな態度は。
「付き合ってるのに、あんまり変わらないんだよね」
俺としては、もっと恋人らしいことがしたい。今日の昼間にデートしてみたけど、なんか違うと思う。ティアンは「仕事中なので」と繰り返すばかりで少し距離を感じてしまう。
「なんでだと思う?」
ユリスに質問してみると、なぜか隣の毛玉が『ティアンさん、真面目だもんねぇ』とわかったような口をきく。毛玉の意見はきいていない。
腕を組んで仁王立ちしたユリスは、やがてこちらに寄ってきた。ベッドの端に腰を下ろすと、すごく真剣な面持ちで口を開いた。
「ルイスの顔があまりに綺麗で緊張しているんじゃないか?」
「え!」
急にポジティブ。思わず自分の顔を両手で包む。たしかに、俺は可愛い顔をしている。
「なるほど。ティアンは照れているのか」
『なるほどぉ』
しきりに頷く綿毛ちゃんをユリスがさりげなく押している。どうやらベッドから落とそうとしているらしい。小さい毛玉が『やめてください』と小声でユリスに抗議している。
「仕方のないことだな。今更ルイスの顔をどうにかするのは無理だ」
「なるほどね」
うんうん聞いていた俺は、納得する。
ユリスの言うことは一理あるような気がした。
『ふたり揃ってポジティブだねぇ』
呑気に呟く綿毛ちゃんは、欠伸をもらした。
ティアンが時折ぎこちないのは、照れているからなのだろう。そう考えると、嬉しいかもしれない。
ジタバタとベッドの上で暴れる俺に、ユリスが「いい加減に出ていけ」と冷たいことを言う。
「えー、いいじゃん。一緒に寝ようよ」
「ティアンのところにでも行けばいいだろ」
「だからダメなんだって。部屋に入れてくれないもん」
唇を尖らせる俺に、ユリスがハッとした表情になる。これは余計なことを思いついたときの顔だ。ニヤリと笑ったユリスは、立ち上がる。
「じゃあ僕が、おまえのふりをしてティアンの部屋に突撃してみる」
「なんでそうなるんだよ」
驚く俺をよそに、ユリスはせっせと準備を始めてしまう。なぜか髪をぐちゃぐちゃにするユリス。まさかそれ俺の真似か? 俺、そんなに髪型崩れてないぞ。
とはいえ顔は同じである。黙っておけば、意外とバレないかもしれない。悩む俺に、綿毛ちゃんが『なんだか面白そうだねぇ』と起き上がった。
これは、なんだろうか。
ティアンを騙して遊ぶつもりなのか。なんのために。しかし綿毛ちゃんの言う通り、面白そうなのは事実だ。
ベッドからおりた俺は、適当にユリスの寝巻きを崩してみる。よしよし。これでだいぶ俺っぽくなった。ついでに綿毛ちゃんを抱っこしておけば完璧だろう。
「そのやる気のない目はやめた方がいいよ。もっと元気出して!」
「悪かったな。目が死んでて」
誰もそこまで言ってないだろう。
半眼となるユリスに、綿毛ちゃんを持たせる。尻尾を振る綿毛ちゃんは『えー、なんかドキドキするねぇ』とにんまり笑っている。ユリスの背中を押して「いってらっしゃい」と部屋を追い出した。俺が同行したら意味ないので、ここで待機しておく。はたしてユリスは、きちんと俺の演技ができるのだろうか。前にもこういう悪戯をやったことあるけど、意外とみんなあっさり気が付いてしまう。顔は同じだけど、雰囲気が全然違うらしいのだ。俺は元気だけど、ユリスは妙にやる気ないからな。
こうして、なぜかユリスが俺のふりをしてティアンの部屋に乗り込むことになった。
「おい。僕のベッドを毛まみれにするんじゃない」
険しい声を飛ばしたユリス。顔をそちらに向けた俺は、隣で寝ていた綿毛ちゃんの背中を揺らした。
「綿毛ちゃん。絶対に毛を落とすなよ」
『えー、そんな難しいこと言われてもぉ』
困っちゃうねぇ、と笑う綿毛ちゃんに、ユリスが眉を吊り上げる。綿毛ちゃん、起きてたのか。
「僕はもう寝るんだ。部屋に戻れ」
「一緒に寝よう」
「断る」
冷たいユリスは、散らかしていた本を棚に戻す。それを横目に、足をジタバタさせる俺は枕を抱えた。
「ねー、聞いてよ。ティアンがね、一緒に寝るのはダメって言うんだ。ひどいよね」
「なぜ一緒に寝る必要がある」
「……恋人だから?」
目を細めたユリスは、やれやれと息を吐く。
なんだその偉そうな態度は。
「付き合ってるのに、あんまり変わらないんだよね」
俺としては、もっと恋人らしいことがしたい。今日の昼間にデートしてみたけど、なんか違うと思う。ティアンは「仕事中なので」と繰り返すばかりで少し距離を感じてしまう。
「なんでだと思う?」
ユリスに質問してみると、なぜか隣の毛玉が『ティアンさん、真面目だもんねぇ』とわかったような口をきく。毛玉の意見はきいていない。
腕を組んで仁王立ちしたユリスは、やがてこちらに寄ってきた。ベッドの端に腰を下ろすと、すごく真剣な面持ちで口を開いた。
「ルイスの顔があまりに綺麗で緊張しているんじゃないか?」
「え!」
急にポジティブ。思わず自分の顔を両手で包む。たしかに、俺は可愛い顔をしている。
「なるほど。ティアンは照れているのか」
『なるほどぉ』
しきりに頷く綿毛ちゃんをユリスがさりげなく押している。どうやらベッドから落とそうとしているらしい。小さい毛玉が『やめてください』と小声でユリスに抗議している。
「仕方のないことだな。今更ルイスの顔をどうにかするのは無理だ」
「なるほどね」
うんうん聞いていた俺は、納得する。
ユリスの言うことは一理あるような気がした。
『ふたり揃ってポジティブだねぇ』
呑気に呟く綿毛ちゃんは、欠伸をもらした。
ティアンが時折ぎこちないのは、照れているからなのだろう。そう考えると、嬉しいかもしれない。
ジタバタとベッドの上で暴れる俺に、ユリスが「いい加減に出ていけ」と冷たいことを言う。
「えー、いいじゃん。一緒に寝ようよ」
「ティアンのところにでも行けばいいだろ」
「だからダメなんだって。部屋に入れてくれないもん」
唇を尖らせる俺に、ユリスがハッとした表情になる。これは余計なことを思いついたときの顔だ。ニヤリと笑ったユリスは、立ち上がる。
「じゃあ僕が、おまえのふりをしてティアンの部屋に突撃してみる」
「なんでそうなるんだよ」
驚く俺をよそに、ユリスはせっせと準備を始めてしまう。なぜか髪をぐちゃぐちゃにするユリス。まさかそれ俺の真似か? 俺、そんなに髪型崩れてないぞ。
とはいえ顔は同じである。黙っておけば、意外とバレないかもしれない。悩む俺に、綿毛ちゃんが『なんだか面白そうだねぇ』と起き上がった。
これは、なんだろうか。
ティアンを騙して遊ぶつもりなのか。なんのために。しかし綿毛ちゃんの言う通り、面白そうなのは事実だ。
ベッドからおりた俺は、適当にユリスの寝巻きを崩してみる。よしよし。これでだいぶ俺っぽくなった。ついでに綿毛ちゃんを抱っこしておけば完璧だろう。
「そのやる気のない目はやめた方がいいよ。もっと元気出して!」
「悪かったな。目が死んでて」
誰もそこまで言ってないだろう。
半眼となるユリスに、綿毛ちゃんを持たせる。尻尾を振る綿毛ちゃんは『えー、なんかドキドキするねぇ』とにんまり笑っている。ユリスの背中を押して「いってらっしゃい」と部屋を追い出した。俺が同行したら意味ないので、ここで待機しておく。はたしてユリスは、きちんと俺の演技ができるのだろうか。前にもこういう悪戯をやったことあるけど、意外とみんなあっさり気が付いてしまう。顔は同じだけど、雰囲気が全然違うらしいのだ。俺は元気だけど、ユリスは妙にやる気ないからな。
こうして、なぜかユリスが俺のふりをしてティアンの部屋に乗り込むことになった。
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