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17歳
800 いたずら(side綿毛)
ルイス坊ちゃんとユリス坊ちゃんは、いつも楽しそうである。今日はティアンさんに悪戯することにしたらしい。巻き込まれるティアンさんは大変だねぇ。
『ユリス坊ちゃん、がんばってぇ』
「……」
『無視はやめよう?』
オレを抱っこしたユリス坊ちゃんは、スタスタ歩いてティアンさんの部屋に向かう。ルイス坊ちゃんに成りすましてティアンさんを揶揄うつもりなのだ。普段は色々と腰の重いユリス坊ちゃんである。唐突にやる気が湧いてくるのは、どういう理由なのだろうか。
『もっと笑ったほうがいいかもよ?』
「……」
『無視はやめよう?』
ひと言も発しないユリス坊ちゃん。大丈夫だろうか。やがてティアンさんの部屋に到着して、ユリス坊ちゃんが遠慮なくノックした。すごい。一切の躊躇がないね。
「はい?」
少し間を置いてから出てきたティアンさんは、「ん?」と面食らう。あれ? これもうバレてるよね?
ドアを開いたままの格好で固まるティアンさんは、ユリス坊ちゃんのことを凝視している。これ絶対に気が付かれてるよ。ユリス坊ちゃんの腕をちょっと叩いてみるけど、坊ちゃんは素知らぬ顔をしている。
「入るぞ」
「え」
無表情で告げたユリス坊ちゃんは、室内への侵入を試みる。ルイス坊ちゃんはそんな口調じゃないよ。
これに慌てたのはティアンさんだ。ルイス坊ちゃんだと思ってドアを開けたのに、そこにいたのはユリス坊ちゃん。そりゃあ困惑するよね。
『ティアンさん、こんばんは』
とりあえず間に入っておこうと思う。笑いながら挨拶すれば、ユリス坊ちゃんがオレを床に放り出した。え、ひどい。
綺麗に着地したオレは、とりあえずティアンさんの足元をすり抜けて部屋に入ってみた。「あ、ちょっと」と言われたけど、笑って誤魔化しておく。
オレを捕まえようとティアンさんが動いた瞬間、ユリス坊ちゃんも部屋に入ってきた。
「え? あの」
目に見えて困惑するティアンさんは、ユリス坊ちゃんを前にどう対応すればいいのか迷っている。
「なぜルイスを部屋に入れてやらないんだ? 何か見られて困るようなものでも?」
あ、もうルイス坊ちゃんのふりをするのはやめたの?
ティアンさんの部屋は別に普通だった。あまり物がないかも。アロンさんの部屋はちょっとごちゃごちゃしていて生活感にあふれているのに。
ぐるっとまわって、部屋を観察してみた。特に変なものはない。もう寝るところだったのだろうか。ゆったりした寝巻き姿のティアンさんは、ユリス坊ちゃんの問いに眉を寄せた。
「いや、なぜと言われましても」
「僕のことは簡単に入れるのに」
「入れてませんよ。勝手に入ってこられたんでしょ」
たしかにね。
ティアンさんの隙をついて上手いこと入ってきただけである。
「ルイスがおまえの部屋に入りたいと言っているのは、普通に言葉通りだ。あいつは誰の部屋にでも入りたがるから」
『たしかにぃ』
ルイス坊ちゃんは、割と気軽にいろんな人のお部屋にお邪魔している。あれは単に好奇心からだ。ユリス坊ちゃんの言うように、深い意味はないと思う。
無言のティアンさんに、ユリス坊ちゃんが遠慮なく詰め寄っている。
「夜はともかく。昼間だったら別にいいだろ」
「いえ」
小さく発したティアンさんは、首を左右に振った。
「ルイスが、おまえに嫌われているんじゃないかと気にしている」
「嫌いなわけ」
「避けられているように見えるんだろ」
きっぱり言っちゃうユリス坊ちゃんは、どうやらルイス坊ちゃんのことを気にかけているらしい。普段から素っ気ない態度の目立つユリス坊ちゃんだけど、実はルイス坊ちゃんのことをよく見ていて、なおかつ色々と手を貸してあげている。ちゃんとお兄ちゃんやってるユリス坊ちゃんに、オレは思わずにこっとしちゃう。
なにかを考えるように黙ってしまうティアンさんは、少しバツが悪そうに頬をかいた。
「避けているわけでは、ないんですが」
ティアンさんは、ティアンさんなりに考えているのだろう。付き合えたはいいけど、どこまで進んでいいのか迷っているのだろう。ティアンさんは真面目だもんねぇ。
「だったらそれなりに相手をしてやれ。今までと何も態度を変えずに恋人を名乗るだけなのは、ちょっと無責任だろ」
強い言葉で詰め寄るユリス坊ちゃんの足元で、オレはふたりを見比べる。
「覚悟もないのに告白なんてするなよ」
吐き捨てるユリス坊ちゃんは、腕を組んでティアンさんを見据えている。その強い視線を受けても、ティアンさんは怯まない。逆にユリス坊ちゃんを見つめて「覚悟はしてますよ」と言った。淡々とした声だけど、ティアンさんの思いは伝わってくる。
「それならいいんだが」
意外とあっさり引き下がるユリス坊ちゃんは、なにやら満足そうに頷いた。
「じゃあ僕はもう寝るから」
「はい。おやすみなさい」
オレをおいてスタスタ帰ってしまうユリス坊ちゃん。
『ティアンさん! おやすみぃ』
「おやすみ」
にこりと笑ってくれるティアンさんと別れて、オレはユリス坊ちゃんを追いかけた。
『ユリス坊ちゃん、がんばってぇ』
「……」
『無視はやめよう?』
オレを抱っこしたユリス坊ちゃんは、スタスタ歩いてティアンさんの部屋に向かう。ルイス坊ちゃんに成りすましてティアンさんを揶揄うつもりなのだ。普段は色々と腰の重いユリス坊ちゃんである。唐突にやる気が湧いてくるのは、どういう理由なのだろうか。
『もっと笑ったほうがいいかもよ?』
「……」
『無視はやめよう?』
ひと言も発しないユリス坊ちゃん。大丈夫だろうか。やがてティアンさんの部屋に到着して、ユリス坊ちゃんが遠慮なくノックした。すごい。一切の躊躇がないね。
「はい?」
少し間を置いてから出てきたティアンさんは、「ん?」と面食らう。あれ? これもうバレてるよね?
ドアを開いたままの格好で固まるティアンさんは、ユリス坊ちゃんのことを凝視している。これ絶対に気が付かれてるよ。ユリス坊ちゃんの腕をちょっと叩いてみるけど、坊ちゃんは素知らぬ顔をしている。
「入るぞ」
「え」
無表情で告げたユリス坊ちゃんは、室内への侵入を試みる。ルイス坊ちゃんはそんな口調じゃないよ。
これに慌てたのはティアンさんだ。ルイス坊ちゃんだと思ってドアを開けたのに、そこにいたのはユリス坊ちゃん。そりゃあ困惑するよね。
『ティアンさん、こんばんは』
とりあえず間に入っておこうと思う。笑いながら挨拶すれば、ユリス坊ちゃんがオレを床に放り出した。え、ひどい。
綺麗に着地したオレは、とりあえずティアンさんの足元をすり抜けて部屋に入ってみた。「あ、ちょっと」と言われたけど、笑って誤魔化しておく。
オレを捕まえようとティアンさんが動いた瞬間、ユリス坊ちゃんも部屋に入ってきた。
「え? あの」
目に見えて困惑するティアンさんは、ユリス坊ちゃんを前にどう対応すればいいのか迷っている。
「なぜルイスを部屋に入れてやらないんだ? 何か見られて困るようなものでも?」
あ、もうルイス坊ちゃんのふりをするのはやめたの?
ティアンさんの部屋は別に普通だった。あまり物がないかも。アロンさんの部屋はちょっとごちゃごちゃしていて生活感にあふれているのに。
ぐるっとまわって、部屋を観察してみた。特に変なものはない。もう寝るところだったのだろうか。ゆったりした寝巻き姿のティアンさんは、ユリス坊ちゃんの問いに眉を寄せた。
「いや、なぜと言われましても」
「僕のことは簡単に入れるのに」
「入れてませんよ。勝手に入ってこられたんでしょ」
たしかにね。
ティアンさんの隙をついて上手いこと入ってきただけである。
「ルイスがおまえの部屋に入りたいと言っているのは、普通に言葉通りだ。あいつは誰の部屋にでも入りたがるから」
『たしかにぃ』
ルイス坊ちゃんは、割と気軽にいろんな人のお部屋にお邪魔している。あれは単に好奇心からだ。ユリス坊ちゃんの言うように、深い意味はないと思う。
無言のティアンさんに、ユリス坊ちゃんが遠慮なく詰め寄っている。
「夜はともかく。昼間だったら別にいいだろ」
「いえ」
小さく発したティアンさんは、首を左右に振った。
「ルイスが、おまえに嫌われているんじゃないかと気にしている」
「嫌いなわけ」
「避けられているように見えるんだろ」
きっぱり言っちゃうユリス坊ちゃんは、どうやらルイス坊ちゃんのことを気にかけているらしい。普段から素っ気ない態度の目立つユリス坊ちゃんだけど、実はルイス坊ちゃんのことをよく見ていて、なおかつ色々と手を貸してあげている。ちゃんとお兄ちゃんやってるユリス坊ちゃんに、オレは思わずにこっとしちゃう。
なにかを考えるように黙ってしまうティアンさんは、少しバツが悪そうに頬をかいた。
「避けているわけでは、ないんですが」
ティアンさんは、ティアンさんなりに考えているのだろう。付き合えたはいいけど、どこまで進んでいいのか迷っているのだろう。ティアンさんは真面目だもんねぇ。
「だったらそれなりに相手をしてやれ。今までと何も態度を変えずに恋人を名乗るだけなのは、ちょっと無責任だろ」
強い言葉で詰め寄るユリス坊ちゃんの足元で、オレはふたりを見比べる。
「覚悟もないのに告白なんてするなよ」
吐き捨てるユリス坊ちゃんは、腕を組んでティアンさんを見据えている。その強い視線を受けても、ティアンさんは怯まない。逆にユリス坊ちゃんを見つめて「覚悟はしてますよ」と言った。淡々とした声だけど、ティアンさんの思いは伝わってくる。
「それならいいんだが」
意外とあっさり引き下がるユリス坊ちゃんは、なにやら満足そうに頷いた。
「じゃあ僕はもう寝るから」
「はい。おやすみなさい」
オレをおいてスタスタ帰ってしまうユリス坊ちゃん。
『ティアンさん! おやすみぃ』
「おやすみ」
にこりと笑ってくれるティアンさんと別れて、オレはユリス坊ちゃんを追いかけた。
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