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17歳
808 遠慮しないで
ロニーは、割とすぐに出てきた。もう仕事の話は終わったのだろうか。
「もういいの?」
「はい。大丈夫ですよ。お待たせいたしました」
にっこり笑ったロニーは、相変わらず優しい。ブルース兄様は部屋に残っているらしく、出てこない。忙しいのかな。
ロニーの手を引いて、どこか人目につかない場所を探してウロウロする。綿毛ちゃんが短い足で必死に歩きながら『ねー、ロニーさん。今度オレと一緒にお出かけしようよぉ』とうざ絡みしている。ロニーが苦笑しているからやめるんだ。
たどり着いたのは、騎士棟建物の隅。人がいないことを確かめてから、ロニーの袖を引いた。ティアンが姿を見せる気配はないので、ユリスが上手く足止めしてくれているのだろう。一体どうやって足止めしているのだろうか。ちょっと気になるな。ユリスはあまりティアンと会話しないから。
「あのね、俺、この前からティアンと付き合ってるんだけど」
「はい。おめでとうございます」
すかさずお祝いしてくれるロニーに、俺はへへっと笑っておく。綿毛ちゃんがロニーの真似をして『おめでとう!』と飛び跳ねている。
俺は以前ロニーに振られたことがあるんだけど、もうロニーとの間に気まずさはない。ロニーは優しくて大人だから。
「それで、ティアンが。えっと」
いざ口にしようとすれば、なんだか照れてしまう。おかしい。先程セドリックを相手に相談した時は、なんとも思わなかったのに。
考えた末に、ティアンとキスしたことは黙っておくことにした。ロニーに未練はないけど、なんとなくロニーにはティアンとキスしたことを知られたくない。なんでだろう。ロニーが優しいからだろうか。ロニーはまともな大人で、俺はロニーに憧れていたりする。だからロニーには、あんまり俺の情けない部分とか生々しい部分を見せたくないと思ってしまう。でも相談はできちゃう。不思議だ。
「ティアンと付き合うことになったんだけど、どうすればいいかわからないんだ」
どうすればいいと思う? と問いかけると、ロニーはちょっと考えるみたいに口を閉じた。その間、俺はロニーの髪を見つめる。今日もきちんとひとつに結んである髪は、やっぱりかっこいい。ティアンは髪伸ばさないのかな。まぁ、別にティアンは今のままでもいいんだけど。
「ルイス様の思うようにしてみたらどうですか?」
柔和な笑みで告げられて、「うーん?」と首を捻る。
「ルイス様に遠慮されると、ティアンも気にするのでは?」
『たしかに』
なぜか俺を差し置いて返事する綿毛ちゃんは『坊ちゃん、いつも我儘だもんね』と失礼なことを言った。
『坊ちゃんが遠慮したら、ティアンさんびっくりしちゃうよ!』
「なんで」
『だって坊ちゃんは昔から我儘だもーん』
ニヤニヤしながら俺の悪口めいたことを口走る綿毛ちゃんは、ひとりで楽しそうにしている。俺ってそんなに我儘だろうか。でも言われてみれば、今までティアンを相手に遠慮したことなんてあまりない気がする。
そもそもティアンは隣にいて息が詰まらないというか、なんというか。そういう気楽な関係性で、その心地よさに惹かれて付き合ったのだ。遠慮してたら意味がないかもしれない。
付き合う前の方が、気楽に接することができていたというのは、なんだか変な感じだ。
「ティアンにさ、もっとちゃんと恋人みたいにしてって言ってもいいかな?」
勢いで頬にキスはしちゃったけど、本音を言えば口がよかった。でもあんまりそういうこと言うと、真面目なティアンは困ってしまうかもしれない。
でも、困らせてもいい気がする。
だって俺は今まで散々ティアンを困らせてきたわけで。それでもティアンは俺のことを好きって言ってくれたわけで。
だったら今更ティアンを相手に遠慮する必要なんて、ないのかもしれない。
「ありがとう、ロニー」
お礼を言えば、ロニーが優しい笑みを見せてくれた。
『それで、ロニーさん。次はいつお休み? オレとお出かけ、いつ行く?』
話がひと段落したのを見計らって、毛玉が割り込んでくる。
「ロニーは忙しいから、綿毛ちゃんとは遊ばないの!」
『なんでぇ? オレとロニーさんは親友だもん』
「違うから!」
すごく図々しい主張を始めた綿毛ちゃんは、ロニーに擦り寄っている。ロニーが毛だらけになってしまう。
慌てて毛玉を抱き上げる俺に、ロニーが苦笑していた。
『ロニーさぁん』
「うん。また今度ね」
『わかった!』
毛玉の言葉にも耳を傾けるロニーは優しい。綿毛ちゃんが目をきらきらさせている。
この様子だと本当にロニーとお出かけしてしまうかもしれない。しばらくの間は、綿毛ちゃんから目を離さないようにしないと。
「もういいの?」
「はい。大丈夫ですよ。お待たせいたしました」
にっこり笑ったロニーは、相変わらず優しい。ブルース兄様は部屋に残っているらしく、出てこない。忙しいのかな。
ロニーの手を引いて、どこか人目につかない場所を探してウロウロする。綿毛ちゃんが短い足で必死に歩きながら『ねー、ロニーさん。今度オレと一緒にお出かけしようよぉ』とうざ絡みしている。ロニーが苦笑しているからやめるんだ。
たどり着いたのは、騎士棟建物の隅。人がいないことを確かめてから、ロニーの袖を引いた。ティアンが姿を見せる気配はないので、ユリスが上手く足止めしてくれているのだろう。一体どうやって足止めしているのだろうか。ちょっと気になるな。ユリスはあまりティアンと会話しないから。
「あのね、俺、この前からティアンと付き合ってるんだけど」
「はい。おめでとうございます」
すかさずお祝いしてくれるロニーに、俺はへへっと笑っておく。綿毛ちゃんがロニーの真似をして『おめでとう!』と飛び跳ねている。
俺は以前ロニーに振られたことがあるんだけど、もうロニーとの間に気まずさはない。ロニーは優しくて大人だから。
「それで、ティアンが。えっと」
いざ口にしようとすれば、なんだか照れてしまう。おかしい。先程セドリックを相手に相談した時は、なんとも思わなかったのに。
考えた末に、ティアンとキスしたことは黙っておくことにした。ロニーに未練はないけど、なんとなくロニーにはティアンとキスしたことを知られたくない。なんでだろう。ロニーが優しいからだろうか。ロニーはまともな大人で、俺はロニーに憧れていたりする。だからロニーには、あんまり俺の情けない部分とか生々しい部分を見せたくないと思ってしまう。でも相談はできちゃう。不思議だ。
「ティアンと付き合うことになったんだけど、どうすればいいかわからないんだ」
どうすればいいと思う? と問いかけると、ロニーはちょっと考えるみたいに口を閉じた。その間、俺はロニーの髪を見つめる。今日もきちんとひとつに結んである髪は、やっぱりかっこいい。ティアンは髪伸ばさないのかな。まぁ、別にティアンは今のままでもいいんだけど。
「ルイス様の思うようにしてみたらどうですか?」
柔和な笑みで告げられて、「うーん?」と首を捻る。
「ルイス様に遠慮されると、ティアンも気にするのでは?」
『たしかに』
なぜか俺を差し置いて返事する綿毛ちゃんは『坊ちゃん、いつも我儘だもんね』と失礼なことを言った。
『坊ちゃんが遠慮したら、ティアンさんびっくりしちゃうよ!』
「なんで」
『だって坊ちゃんは昔から我儘だもーん』
ニヤニヤしながら俺の悪口めいたことを口走る綿毛ちゃんは、ひとりで楽しそうにしている。俺ってそんなに我儘だろうか。でも言われてみれば、今までティアンを相手に遠慮したことなんてあまりない気がする。
そもそもティアンは隣にいて息が詰まらないというか、なんというか。そういう気楽な関係性で、その心地よさに惹かれて付き合ったのだ。遠慮してたら意味がないかもしれない。
付き合う前の方が、気楽に接することができていたというのは、なんだか変な感じだ。
「ティアンにさ、もっとちゃんと恋人みたいにしてって言ってもいいかな?」
勢いで頬にキスはしちゃったけど、本音を言えば口がよかった。でもあんまりそういうこと言うと、真面目なティアンは困ってしまうかもしれない。
でも、困らせてもいい気がする。
だって俺は今まで散々ティアンを困らせてきたわけで。それでもティアンは俺のことを好きって言ってくれたわけで。
だったら今更ティアンを相手に遠慮する必要なんて、ないのかもしれない。
「ありがとう、ロニー」
お礼を言えば、ロニーが優しい笑みを見せてくれた。
『それで、ロニーさん。次はいつお休み? オレとお出かけ、いつ行く?』
話がひと段落したのを見計らって、毛玉が割り込んでくる。
「ロニーは忙しいから、綿毛ちゃんとは遊ばないの!」
『なんでぇ? オレとロニーさんは親友だもん』
「違うから!」
すごく図々しい主張を始めた綿毛ちゃんは、ロニーに擦り寄っている。ロニーが毛だらけになってしまう。
慌てて毛玉を抱き上げる俺に、ロニーが苦笑していた。
『ロニーさぁん』
「うん。また今度ね」
『わかった!』
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追記:読んでくださった皆さま、本当にどうもありがとうございました!!
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