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17歳
821 好きな人いる?
内緒話も終わったので、部屋に戻ろうと決めた。
マーティーは俺のことを心配してくれていただけらしい。それなら普通に嬉しい。ありがとうとお礼を言うと、マーティーが「ふん」とそっぽを向いた。照れ隠しなのだろうか。素っ気ない態度である。
「マーティーは好きな人いないの?」
「なんでおまえと恋愛話なんてしないといけないんだ」
苦々しい顔で呟くマーティーであるが、綿毛ちゃんは興味津々である。足元をくるくる回りながら『誰ぇ? オレの知ってる人?』とうざ絡みしている。
たぶんだけど綿毛ちゃんが知っている人が出てくる可能性は低いと思う。だって綿毛ちゃんはマーティー周りの人間をあまり知らないだろう。俺だってマーティーが誰と仲良しなのかいまいち知らないもん。
「俺だって教えたじゃん。マーティーだけ教えないのは不公平だと思う」
「ルイスが勝手に暴露したんだろ」
正確には俺じゃなくてユリスだけどね。
ユリスは、俺とティアンのことをどう思っているのかよくわからない。そこまで真剣に反対はされないけど、今日みたいに揶揄うような素振りを見せることが多々ある。
けれども一方的に俺の恋愛事情だけバラすのは不公平だと思う。
「教えて。わかった! ガブリエルだ!」
「なんでそうなる」
真顔で否定するマーティーは、やれやれと肩をすくめた。こういう芝居がかった仕草はエリックそっくりである。
「ところでエリックは何しに来たの?」
「気晴らしだと言っていたが」
「ふーん」
うちの兄様たちに会うのが気晴らしになるのか。疑問ではある。
「ところでルイス。ジェフリーはどうなったんだ」
「え。なに急に」
マーティーにジェフリーのこと教えたっけ。考える俺であるが、どうやらマーティーは噂で聞いたらしい。
「えー? 噂があるの? どんな」
なんだか変な風に噂されていそう。ちょっとドキドキしながら問えば、マーティーが眉を寄せた。
「ジェフリーがルイスのこと好きだって。だいぶ前から噂になっているが」
「へー!?」
そうなんだ。
まぁ、ジェフリーは俺への好意をあまり隠していなかった。そんな噂が広まるのも無理はない気がする。
びっくりする俺の足元で、綿毛ちゃんも『えー!?』と忙しなく驚いている。ちょこまか動いて非常に忙しそうである。
『ジェフリーくん、やるねぇ』
なにがだ。
適当な感想を並べる綿毛ちゃんは、なんだかわくわくしていた。尻尾がぶんぶん揺れている。綿毛ちゃんはこういう恋愛話が好きだ。いつも嬉々として首を突っ込もうとしている。毛玉なのに。
『それでぇ? マーティーくんは誰が好きなの?』
マーティーがせっかく逸らした話題を容赦なく引き戻す綿毛ちゃんは、たぶん悪意はない。純粋に気になって質問しているのだろう。マーティーの顔がわかりやすく引きつった。
「どうでもいいだろう。僕のことなんて」
「え? 気になる」
『気になるぅ! 教えてぇ』
お願いとぐるぐるする綿毛ちゃんは、どうしても知りたいらしい。俺も気になる。マーティーは、あまりこういう話をしないから。
それにしても、マーティーは「好きな人なんていない」とは言わなかった。こりゃいるんだな。好きな子がいるんだな?
わくわくとマーティーに詰め寄るが「うるさい!」と突っぱねられてしまう。なんで俺に対してはそんなに強気なんだ。これがユリス相手であれば、マーティーは途端におとなしくなるのだ。なんだか理不尽である。
「ガブリエルなの? 本当はガブリエルなんでしょ!」
「違うと言っているだろう。なんでそんなガブリエルとくっつけたがるんだ」
別にガブリエルを応援しているわけではない。
単にマーティーの近くにいる人間がそれしか思い浮かばないだけである。
「あ! もし好きな人がいないならロレッタとかいいんじゃない?」
「誰なんだよ」
マーティーは、ロレッタのことを知らないらしい。ロレッタとは、ティアンの婚約者だと言い張ってうちにやって来た女の子である。最終的には俺とユリスとブルース兄様にも結婚を申し込んで帰っていった。なんか面白い人である。
「なんでそんな変な奴を勧めるんだ」
「面白いよ」
「僕は結婚相手に面白さは求めていない」
「へー、俺と一緒だね」
じゃあマーティーは何を求めているのだろうか。訊いてみるけど、マーティーは答えてくれない。なんでこんなに口が堅いんだ。
マーティーは俺のことを心配してくれていただけらしい。それなら普通に嬉しい。ありがとうとお礼を言うと、マーティーが「ふん」とそっぽを向いた。照れ隠しなのだろうか。素っ気ない態度である。
「マーティーは好きな人いないの?」
「なんでおまえと恋愛話なんてしないといけないんだ」
苦々しい顔で呟くマーティーであるが、綿毛ちゃんは興味津々である。足元をくるくる回りながら『誰ぇ? オレの知ってる人?』とうざ絡みしている。
たぶんだけど綿毛ちゃんが知っている人が出てくる可能性は低いと思う。だって綿毛ちゃんはマーティー周りの人間をあまり知らないだろう。俺だってマーティーが誰と仲良しなのかいまいち知らないもん。
「俺だって教えたじゃん。マーティーだけ教えないのは不公平だと思う」
「ルイスが勝手に暴露したんだろ」
正確には俺じゃなくてユリスだけどね。
ユリスは、俺とティアンのことをどう思っているのかよくわからない。そこまで真剣に反対はされないけど、今日みたいに揶揄うような素振りを見せることが多々ある。
けれども一方的に俺の恋愛事情だけバラすのは不公平だと思う。
「教えて。わかった! ガブリエルだ!」
「なんでそうなる」
真顔で否定するマーティーは、やれやれと肩をすくめた。こういう芝居がかった仕草はエリックそっくりである。
「ところでエリックは何しに来たの?」
「気晴らしだと言っていたが」
「ふーん」
うちの兄様たちに会うのが気晴らしになるのか。疑問ではある。
「ところでルイス。ジェフリーはどうなったんだ」
「え。なに急に」
マーティーにジェフリーのこと教えたっけ。考える俺であるが、どうやらマーティーは噂で聞いたらしい。
「えー? 噂があるの? どんな」
なんだか変な風に噂されていそう。ちょっとドキドキしながら問えば、マーティーが眉を寄せた。
「ジェフリーがルイスのこと好きだって。だいぶ前から噂になっているが」
「へー!?」
そうなんだ。
まぁ、ジェフリーは俺への好意をあまり隠していなかった。そんな噂が広まるのも無理はない気がする。
びっくりする俺の足元で、綿毛ちゃんも『えー!?』と忙しなく驚いている。ちょこまか動いて非常に忙しそうである。
『ジェフリーくん、やるねぇ』
なにがだ。
適当な感想を並べる綿毛ちゃんは、なんだかわくわくしていた。尻尾がぶんぶん揺れている。綿毛ちゃんはこういう恋愛話が好きだ。いつも嬉々として首を突っ込もうとしている。毛玉なのに。
『それでぇ? マーティーくんは誰が好きなの?』
マーティーがせっかく逸らした話題を容赦なく引き戻す綿毛ちゃんは、たぶん悪意はない。純粋に気になって質問しているのだろう。マーティーの顔がわかりやすく引きつった。
「どうでもいいだろう。僕のことなんて」
「え? 気になる」
『気になるぅ! 教えてぇ』
お願いとぐるぐるする綿毛ちゃんは、どうしても知りたいらしい。俺も気になる。マーティーは、あまりこういう話をしないから。
それにしても、マーティーは「好きな人なんていない」とは言わなかった。こりゃいるんだな。好きな子がいるんだな?
わくわくとマーティーに詰め寄るが「うるさい!」と突っぱねられてしまう。なんで俺に対してはそんなに強気なんだ。これがユリス相手であれば、マーティーは途端におとなしくなるのだ。なんだか理不尽である。
「ガブリエルなの? 本当はガブリエルなんでしょ!」
「違うと言っているだろう。なんでそんなガブリエルとくっつけたがるんだ」
別にガブリエルを応援しているわけではない。
単にマーティーの近くにいる人間がそれしか思い浮かばないだけである。
「あ! もし好きな人がいないならロレッタとかいいんじゃない?」
「誰なんだよ」
マーティーは、ロレッタのことを知らないらしい。ロレッタとは、ティアンの婚約者だと言い張ってうちにやって来た女の子である。最終的には俺とユリスとブルース兄様にも結婚を申し込んで帰っていった。なんか面白い人である。
「なんでそんな変な奴を勧めるんだ」
「面白いよ」
「僕は結婚相手に面白さは求めていない」
「へー、俺と一緒だね」
じゃあマーティーは何を求めているのだろうか。訊いてみるけど、マーティーは答えてくれない。なんでこんなに口が堅いんだ。
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