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17歳
823 おしゃれなの
「ふたりで内緒話か? なぜ僕を除け者にする。僕の悪口でも言ってたのか」
ユリスの部屋に戻ると、偉そうに腕を組んだユリスが不機嫌そうに出迎えた。急にユリスを置いて、俺とマーティーがこそこそ出て行ったから怒っているらしい。
「全然戻ってこないし」
ぼそっとそんなことを呟くユリスは、ようするに俺たちがなかなか戻ってこなくて寂しかったようだ。なんか悪いことをした。
「ごめんね。オーガス兄様の部屋に行ってたから」
「は? なぜ僕も呼ばない」
「だからごめんね。でもオーガス兄様には会ってないよ。ニックに追い出されたから」
「ふーん」
忙しいからと相手してもらえなかったのだと説明すれば、ユリスが納得したように引き下がった。
ユリスは面白いことが大好きなので、自分抜きで俺たちが兄様のところに突撃したのがちょっと許せないのだろう。今度はユリスも誘うねと言えば、ユリスはそっぽを向いてしまった。まだ不機嫌なのか?
そんな妙な空気の中、へらへらした綿毛ちゃんがユリスの足元に寄っていく。
『あのねぇ、マーティーくんがユリス坊ちゃんの悪口言ってたよぉ』
「僕はそんなこと言ってないだろ!」
毛玉による突然の裏切り発言を、マーティーが大きな声で否定している。びっくりしたらしいマーティーは、綿毛ちゃんを睨んで「なんでそんなルイスみたいに適当なことを言うんだ!」と口走った。
は? なんで俺。
「俺は適当なことなんて言ってないけど」
いつも真剣な俺である。マーティーによる失礼な発言に、思わずティアンに視線をやる。しかしティアンは、ちょっと顔を逸らして俺と顔を合わせない。その肩が小刻みに動いている。これ絶対に笑ってるだろ。
「なんで笑うの」
ティアンに詰め寄るが、うまいこと顔を逸らされてしまう。やがてティアンが「すみません」とすんごい小さな声で謝ってきた。その声は、笑いを堪えているために震えていた。
綿毛ちゃんの発言に眉を吊り上げたユリスは、マーティーを思い切り睨んでいる。それにたじろいだマーティーは、情けない。
しかしガブリエルの存在を思い出したのだろう。咳払いで取り繕うと、ユリスと対峙した。お子様マーティーがすごく頑張っている。
「僕はなにも。そこの犬が適当言ってるだけだろう」
『犬じゃないよ。綿毛ちゃんって呼んでね。可愛いでしょ?』
にこにこしながら、綿毛ちゃんは自身の頭をマーティーに見せている。そこには先程俺が温室でさした花がある。
『今日のオレは、おしゃれなのぉ』
嬉しそうに尻尾を振る綿毛ちゃん。つられたジャンもにこにこしている。
ひと通り花を自慢した綿毛ちゃんは、『それでね』と話を戻す。
『ユリス坊ちゃんが変なことしてるって。マーティーくんが言ってたよ』
「言ってないだろ!」
すかさず大声で否定するマーティーは、焦っていた。ちらちらとユリスの顔を窺っている。そんな風に弱気だから、ユリスに負けるんだぞ。
ユリスに勝つには、強気で行くのが大事だ。それでブルース兄様はユリスに勝っている。一方のオーガス兄様は、弱気なのでいつもユリスに負けるのだ。
「違う! 僕はそんなこと言っていない」
「では言っていないという証拠を出せ」
「無茶を言うな」
アロンみたいなことを言い出すユリスは、マーティーを徐々に追い詰めている。可哀想なので、俺が助けてあげようと思う。綿毛ちゃんを回収してからジャンに預けておく。
「マーティーをいじめるな!」
「いじめてない。生意気だから叩いてやろうと思っただけだ」
「そういうのをいじめてるって言うんだよ」
マーティーの腕を掴んで、ユリスから引き離しておく。物理的に距離を取れば、マーティーがユリスに叩かれることはない。
「マーティーは、俺の心配をしてくれたんだから。いじめないで」
「なんでマーティーがルイスの心配を?」
訝しむユリスに、マーティーは気まずそうに目を伏せている。まぁユリスに関して色々言ったからね。詳しくは説明できないよね。
「仕方がない。どんぐりあげるから仲直りして」
「なんだって?」
今度はマーティーが怪訝な顔になってしまった。
「どんぐり? どんぐりって言ったのか?」
「言ったけど」
しきりにどんぐりかどうかを確認してくるマーティーは、どうやらどんぐりに興味津々らしい。
「綿毛ちゃんの宝物なんだけど。譲ってあげる」
『オレはどんぐりなんて宝物にしないもんね!』
ふんふん言い返してくる綿毛ちゃんを無視して、マーティーが俺に呆れたような目を向けた。
「おまえ、どんぐりなんて集めているのか?」
「……」
なんだか馬鹿にしたような響きを察知した俺は、咄嗟に首を左右に振ってそれを否定した。
「違うよ。アロンの友達にどんぐりもらって。たくさんあるからマーティーにもあげる」
「どんな友達だよ」
「俺の友達じゃないよ。アロンの友達だってば」
必死に訂正する俺に、マーティーがものすごく呆れているのがわかる。なんで? どんぐり持ってたらダメなのか?
でも俺も戸棚の奥に押し込んでるだけだから。別にどんぐり眺めたりとかしてないから。
ユリスの部屋に戻ると、偉そうに腕を組んだユリスが不機嫌そうに出迎えた。急にユリスを置いて、俺とマーティーがこそこそ出て行ったから怒っているらしい。
「全然戻ってこないし」
ぼそっとそんなことを呟くユリスは、ようするに俺たちがなかなか戻ってこなくて寂しかったようだ。なんか悪いことをした。
「ごめんね。オーガス兄様の部屋に行ってたから」
「は? なぜ僕も呼ばない」
「だからごめんね。でもオーガス兄様には会ってないよ。ニックに追い出されたから」
「ふーん」
忙しいからと相手してもらえなかったのだと説明すれば、ユリスが納得したように引き下がった。
ユリスは面白いことが大好きなので、自分抜きで俺たちが兄様のところに突撃したのがちょっと許せないのだろう。今度はユリスも誘うねと言えば、ユリスはそっぽを向いてしまった。まだ不機嫌なのか?
そんな妙な空気の中、へらへらした綿毛ちゃんがユリスの足元に寄っていく。
『あのねぇ、マーティーくんがユリス坊ちゃんの悪口言ってたよぉ』
「僕はそんなこと言ってないだろ!」
毛玉による突然の裏切り発言を、マーティーが大きな声で否定している。びっくりしたらしいマーティーは、綿毛ちゃんを睨んで「なんでそんなルイスみたいに適当なことを言うんだ!」と口走った。
は? なんで俺。
「俺は適当なことなんて言ってないけど」
いつも真剣な俺である。マーティーによる失礼な発言に、思わずティアンに視線をやる。しかしティアンは、ちょっと顔を逸らして俺と顔を合わせない。その肩が小刻みに動いている。これ絶対に笑ってるだろ。
「なんで笑うの」
ティアンに詰め寄るが、うまいこと顔を逸らされてしまう。やがてティアンが「すみません」とすんごい小さな声で謝ってきた。その声は、笑いを堪えているために震えていた。
綿毛ちゃんの発言に眉を吊り上げたユリスは、マーティーを思い切り睨んでいる。それにたじろいだマーティーは、情けない。
しかしガブリエルの存在を思い出したのだろう。咳払いで取り繕うと、ユリスと対峙した。お子様マーティーがすごく頑張っている。
「僕はなにも。そこの犬が適当言ってるだけだろう」
『犬じゃないよ。綿毛ちゃんって呼んでね。可愛いでしょ?』
にこにこしながら、綿毛ちゃんは自身の頭をマーティーに見せている。そこには先程俺が温室でさした花がある。
『今日のオレは、おしゃれなのぉ』
嬉しそうに尻尾を振る綿毛ちゃん。つられたジャンもにこにこしている。
ひと通り花を自慢した綿毛ちゃんは、『それでね』と話を戻す。
『ユリス坊ちゃんが変なことしてるって。マーティーくんが言ってたよ』
「言ってないだろ!」
すかさず大声で否定するマーティーは、焦っていた。ちらちらとユリスの顔を窺っている。そんな風に弱気だから、ユリスに負けるんだぞ。
ユリスに勝つには、強気で行くのが大事だ。それでブルース兄様はユリスに勝っている。一方のオーガス兄様は、弱気なのでいつもユリスに負けるのだ。
「違う! 僕はそんなこと言っていない」
「では言っていないという証拠を出せ」
「無茶を言うな」
アロンみたいなことを言い出すユリスは、マーティーを徐々に追い詰めている。可哀想なので、俺が助けてあげようと思う。綿毛ちゃんを回収してからジャンに預けておく。
「マーティーをいじめるな!」
「いじめてない。生意気だから叩いてやろうと思っただけだ」
「そういうのをいじめてるって言うんだよ」
マーティーの腕を掴んで、ユリスから引き離しておく。物理的に距離を取れば、マーティーがユリスに叩かれることはない。
「マーティーは、俺の心配をしてくれたんだから。いじめないで」
「なんでマーティーがルイスの心配を?」
訝しむユリスに、マーティーは気まずそうに目を伏せている。まぁユリスに関して色々言ったからね。詳しくは説明できないよね。
「仕方がない。どんぐりあげるから仲直りして」
「なんだって?」
今度はマーティーが怪訝な顔になってしまった。
「どんぐり? どんぐりって言ったのか?」
「言ったけど」
しきりにどんぐりかどうかを確認してくるマーティーは、どうやらどんぐりに興味津々らしい。
「綿毛ちゃんの宝物なんだけど。譲ってあげる」
『オレはどんぐりなんて宝物にしないもんね!』
ふんふん言い返してくる綿毛ちゃんを無視して、マーティーが俺に呆れたような目を向けた。
「おまえ、どんぐりなんて集めているのか?」
「……」
なんだか馬鹿にしたような響きを察知した俺は、咄嗟に首を左右に振ってそれを否定した。
「違うよ。アロンの友達にどんぐりもらって。たくさんあるからマーティーにもあげる」
「どんな友達だよ」
「俺の友達じゃないよ。アロンの友達だってば」
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