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17歳
844 お茶会
「本当はティアンとふたりで食べたかった」
『なんかごめんねぇ。じゃあオレは部屋の隅でおとなしくしているので』
今更遠慮する綿毛ちゃんは、そそくさと日当たりのいい窓際に移動する。けれども先にそこを陣取っていたエリスちゃんに睨まれて、ドアの方へと移動した。情けない犬だな。
ティアンへのお土産として買ったお菓子を開封する。ユリスの分は残しておいて、後で渡せば問題はない。
「今度はティアンも一緒に行こうね」
「はい」
なんか俺が勝手に選んでしまったが、ティアンの好きな物もちゃんと知りたい。俺は甘いお菓子だったら割となんでも好きなんだけど。ティアンはどうなんだろうか。
本当はフルーツがのった焼き菓子を購入したかったのだが、日持ちしそうにないので諦めた。代わりに買った物を得意な顔で取り出すと、ティアンが目を丸くした。
「見て。大きいクッキー」
「よくそんなの見つけましたね」
ふらっと入った店で、なんかすごく大きなクッキーを見つけてしまったのだ。これはもう買うしかないだろう。
俺の手のひらよりも大きいクッキーは、見た瞬間にわくわくした。ユリスも同じ物を買っていた。
「はい、これはティアンの分ね」
「ありがとうございます」
皿に置いて、ティアンに差し出しておく。『オレの分はぁ?』と小さい声が足元から聞こえてきたが無視しよう。
「僕の分、綿毛ちゃんに分けてあげても?」
「えー? じゃあ俺のを分けてあげる」
せっかくのティアンへのお土産である。ティアンには遠慮せずに全部食べてほしい。クッキーを少し割って、綿毛ちゃんにあげる。飛びついてきた毛玉は『坊ちゃん、ありがとう』とにこりと笑った。
「俺に感謝して」
『ありがとう』
へらへら笑う綿毛ちゃんは、尻尾を勢いよく振っている。その様子を眺めていたティアンは、口元に笑みを浮かべている。
ティアンが俺と同じテーブルに座ってくれるのは珍しいことだ。なんだか騎士を名乗り始めてからは、俺とは一歩離れた距離にいることが多い。
おそらく騎士としてあるべき姿をまっとうしているのだろう。でも俺は寂しい。だからこうやって、またティアンが一緒に同じおやつを食べてくれるのはすごく嬉しい。
なんだか落ち着かないらしいティアンは、しきりに視線を動かしている。お茶を淹れてくれたジャンが、ティアンの挙動不審に苦笑している。その格好つかない姿をニマニマ眺めていると、ティアンがジャンの手からティーポットを奪ってしまう。
「僕がやりますよ」
一方的に断言したティアンに、ジャンが少しだけ目を丸くした。しかしすぐに引き下がるジャンは「では私は他の用事を済ませてきますので」と言って静かに退出してしまう。
明らかに気を遣われた。ティアンが咳払いで誤魔化している。
今日のティアンはなんだか格好つかないな。別にいいけど。
足元でクッキーを頬張っている綿毛ちゃんを見下ろす。
「綿毛ちゃんもジャンを見習って空気読んで」
『空気。読めるよぉ』
「嘘つかないで」
ドアを指さすと、毛玉がやれやれと言わんばかりに息を吐いた。なんだよ、その偉そうな態度は。
眉を寄せる俺であったが、綿毛ちゃんは『はいはい。もうクッキー食べたから散歩でもしてこようかなぁ』とわざとらしい呟きをこぼした。
『ご飯も食べなきゃいけないし』
今のうちにお腹空かせておかないと! と楽しそうに宣言する綿毛ちゃんは本当に食い意地が張っている。
そうして綿毛ちゃんも部屋を出ると、部屋には俺とティアンのふたりきりになる。いや、正確にはエリスちゃんもいるんだけど、エリスちゃんは静かだから問題はない。
「クッキー美味しい?」
「はい。とても」
にこっと微笑むティアンを見て、俺も笑顔を返す。
そのまま他愛もない話をした。特に面白くもない話だが、俺はすごく楽しい。ティアンが目の前にいて、一緒にクッキー食べて、にこにこしている。これだけですごく楽しいから不思議だ。
『なんかごめんねぇ。じゃあオレは部屋の隅でおとなしくしているので』
今更遠慮する綿毛ちゃんは、そそくさと日当たりのいい窓際に移動する。けれども先にそこを陣取っていたエリスちゃんに睨まれて、ドアの方へと移動した。情けない犬だな。
ティアンへのお土産として買ったお菓子を開封する。ユリスの分は残しておいて、後で渡せば問題はない。
「今度はティアンも一緒に行こうね」
「はい」
なんか俺が勝手に選んでしまったが、ティアンの好きな物もちゃんと知りたい。俺は甘いお菓子だったら割となんでも好きなんだけど。ティアンはどうなんだろうか。
本当はフルーツがのった焼き菓子を購入したかったのだが、日持ちしそうにないので諦めた。代わりに買った物を得意な顔で取り出すと、ティアンが目を丸くした。
「見て。大きいクッキー」
「よくそんなの見つけましたね」
ふらっと入った店で、なんかすごく大きなクッキーを見つけてしまったのだ。これはもう買うしかないだろう。
俺の手のひらよりも大きいクッキーは、見た瞬間にわくわくした。ユリスも同じ物を買っていた。
「はい、これはティアンの分ね」
「ありがとうございます」
皿に置いて、ティアンに差し出しておく。『オレの分はぁ?』と小さい声が足元から聞こえてきたが無視しよう。
「僕の分、綿毛ちゃんに分けてあげても?」
「えー? じゃあ俺のを分けてあげる」
せっかくのティアンへのお土産である。ティアンには遠慮せずに全部食べてほしい。クッキーを少し割って、綿毛ちゃんにあげる。飛びついてきた毛玉は『坊ちゃん、ありがとう』とにこりと笑った。
「俺に感謝して」
『ありがとう』
へらへら笑う綿毛ちゃんは、尻尾を勢いよく振っている。その様子を眺めていたティアンは、口元に笑みを浮かべている。
ティアンが俺と同じテーブルに座ってくれるのは珍しいことだ。なんだか騎士を名乗り始めてからは、俺とは一歩離れた距離にいることが多い。
おそらく騎士としてあるべき姿をまっとうしているのだろう。でも俺は寂しい。だからこうやって、またティアンが一緒に同じおやつを食べてくれるのはすごく嬉しい。
なんだか落ち着かないらしいティアンは、しきりに視線を動かしている。お茶を淹れてくれたジャンが、ティアンの挙動不審に苦笑している。その格好つかない姿をニマニマ眺めていると、ティアンがジャンの手からティーポットを奪ってしまう。
「僕がやりますよ」
一方的に断言したティアンに、ジャンが少しだけ目を丸くした。しかしすぐに引き下がるジャンは「では私は他の用事を済ませてきますので」と言って静かに退出してしまう。
明らかに気を遣われた。ティアンが咳払いで誤魔化している。
今日のティアンはなんだか格好つかないな。別にいいけど。
足元でクッキーを頬張っている綿毛ちゃんを見下ろす。
「綿毛ちゃんもジャンを見習って空気読んで」
『空気。読めるよぉ』
「嘘つかないで」
ドアを指さすと、毛玉がやれやれと言わんばかりに息を吐いた。なんだよ、その偉そうな態度は。
眉を寄せる俺であったが、綿毛ちゃんは『はいはい。もうクッキー食べたから散歩でもしてこようかなぁ』とわざとらしい呟きをこぼした。
『ご飯も食べなきゃいけないし』
今のうちにお腹空かせておかないと! と楽しそうに宣言する綿毛ちゃんは本当に食い意地が張っている。
そうして綿毛ちゃんも部屋を出ると、部屋には俺とティアンのふたりきりになる。いや、正確にはエリスちゃんもいるんだけど、エリスちゃんは静かだから問題はない。
「クッキー美味しい?」
「はい。とても」
にこっと微笑むティアンを見て、俺も笑顔を返す。
そのまま他愛もない話をした。特に面白くもない話だが、俺はすごく楽しい。ティアンが目の前にいて、一緒にクッキー食べて、にこにこしている。これだけですごく楽しいから不思議だ。
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