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17歳
綿毛ちゃんの日常29
「綿毛ちゃんって友達いないの?」
『え?』
部屋でいつも通りのんびりしていたところ、なにやら坊ちゃんからすごく失礼なことを言われてしまった。
むすっとしたオレは、『いるもんねー』と間髪入れずに返しておく。
しかしルイス坊ちゃんは疑いの目を向けてくる。オレの発言のどこに疑う要素があったのだろうか。
けれども坊ちゃんが失礼なのは、いつものことでもある。
「誰がいるの?」
『ルイス坊ちゃん』
「俺は綿毛ちゃんの友達じゃないから」
『えっ』
なんか衝撃の発言をされてしまった。オレたち友達じゃないの?
固まっていると、オレの前に仁王立ちした坊ちゃんが鼻で笑った。
「俺は綿毛ちゃんの飼い主だもん」
『オレはペットじゃありませーん』
いまだにオレをペット扱いしてくる坊ちゃんに、やれやれと息を吐く。坊ちゃんはオレのお世話をしているつもりらしいけど、どう考えてもオレが坊ちゃんの面倒を見ていると思う。そもそもオレのほうがずっと歳上だもんね。十七歳なんてオレから見ればまだ生まれて間もないもんね。
やれやれと首を左右に振ると、坊ちゃんが拳を握った。そのまま追いかけ回してくる気配があったので、素早く部屋の隅に逃げておく。
「毛玉のくせに生意気だぞ」
『お子様な坊ちゃんに言われてもぉ』
「お子様はユリスだろ!」
『えぇー?』
ユリス坊ちゃんは、そこまでお子様じゃないと思う。でもルイス坊ちゃんは、ユリス坊ちゃんのことをお子様といって譲らない。どうしても兄ポジションをユリス坊ちゃんに渡したくないようだ。
でも冷静に考えて、ユリス坊ちゃんのほうがお兄さんっぽい。落ち着き方が違うよね。ルイス坊ちゃんは、いまだになんかバタバタしている。
つい先日もブルースくんに怒られていた。
ヴィアン家の兄といえば、不思議とブルースくんの顔が浮かぶ。オーガスくんは、もうちょい頑張ればいいと思う。オレは応援しているよ。
『オレにはユリス坊ちゃんもいるもんねぇ』
「ユリスは綿毛ちゃんのこと友達だって思ってないから。埃くらいにしか思ってないから」
『それは酷すぎない?』
せめて犬だとは思われていたい。犬じゃないけど。
オレには友達がいないと酷い決めつけをするルイス坊ちゃんは、唐突に「俺に任せて!」と宣言した。なんだろう。すごく嫌な予感がする。
「綿毛ちゃんにはエリスちゃんがいるだろ。親友でしょ!?」
『えっと。親友ではないかも』
どちらかと言えば、オレはエリスちゃんに嫌われている。猫パンチされることも多い。
日当たりのいい場所でお昼寝していたエリスちゃんを無遠慮に抱えた坊ちゃん。無理矢理起こされたエリスちゃんは、ちょっと不機嫌そう。
そろそろとエリスちゃんから距離をとるけど、エリスちゃんを抱っこした坊ちゃんがお構いなく近寄ってくる。
「仲間でしょ。仲良くして」
『仲間ってなに?』
オレは猫じゃないもん。
しかし坊ちゃんは、ぐいぐいとエリスちゃんをオレに近付けてくる。やめてぇと主張するけど、坊ちゃんは一歩も引かない。
やがて恐れていたことが起きた。
シャー! と急に威嚇を始めたエリスちゃんが、鋭い猫パンチを繰り出してきた。それが見事にオレの頭に命中した。ぎゃっと悲鳴をあげると、坊ちゃんが「綿毛ちゃん!!」と大声を出した。
いや、叫んでないでエリスちゃんを遠ざけてほしいんだけど。
「やめるんだ、エリスちゃん。綿毛ちゃんとも仲良くして。たしかにちょっとムカつく毛玉だけど」
『ムカつく毛玉ってなに。え、ひどい』
突然の暴言に傷付いてしまう。
えーんえーんと泣き真似しておく。けれどもエリスちゃんに釘付けの坊ちゃんは、オレのことを見ていない。
「綿毛ちゃん! 友達なんだから仲良くして!」
『なんでオレが悪いみたいになってるのぉ?』
オレは頑張ってエリスちゃんに歩み寄ろうとしている。でもエリスちゃんにその気は一切ないのだ。これはもうオレにはどうしようもないと思う。
ふうと息を吐いて、オレはエリスちゃんを抱えた坊ちゃんから離れる。エリスちゃんがあまり寄り付かない入口付近を陣取ってひと息ついた。
『え?』
部屋でいつも通りのんびりしていたところ、なにやら坊ちゃんからすごく失礼なことを言われてしまった。
むすっとしたオレは、『いるもんねー』と間髪入れずに返しておく。
しかしルイス坊ちゃんは疑いの目を向けてくる。オレの発言のどこに疑う要素があったのだろうか。
けれども坊ちゃんが失礼なのは、いつものことでもある。
「誰がいるの?」
『ルイス坊ちゃん』
「俺は綿毛ちゃんの友達じゃないから」
『えっ』
なんか衝撃の発言をされてしまった。オレたち友達じゃないの?
固まっていると、オレの前に仁王立ちした坊ちゃんが鼻で笑った。
「俺は綿毛ちゃんの飼い主だもん」
『オレはペットじゃありませーん』
いまだにオレをペット扱いしてくる坊ちゃんに、やれやれと息を吐く。坊ちゃんはオレのお世話をしているつもりらしいけど、どう考えてもオレが坊ちゃんの面倒を見ていると思う。そもそもオレのほうがずっと歳上だもんね。十七歳なんてオレから見ればまだ生まれて間もないもんね。
やれやれと首を左右に振ると、坊ちゃんが拳を握った。そのまま追いかけ回してくる気配があったので、素早く部屋の隅に逃げておく。
「毛玉のくせに生意気だぞ」
『お子様な坊ちゃんに言われてもぉ』
「お子様はユリスだろ!」
『えぇー?』
ユリス坊ちゃんは、そこまでお子様じゃないと思う。でもルイス坊ちゃんは、ユリス坊ちゃんのことをお子様といって譲らない。どうしても兄ポジションをユリス坊ちゃんに渡したくないようだ。
でも冷静に考えて、ユリス坊ちゃんのほうがお兄さんっぽい。落ち着き方が違うよね。ルイス坊ちゃんは、いまだになんかバタバタしている。
つい先日もブルースくんに怒られていた。
ヴィアン家の兄といえば、不思議とブルースくんの顔が浮かぶ。オーガスくんは、もうちょい頑張ればいいと思う。オレは応援しているよ。
『オレにはユリス坊ちゃんもいるもんねぇ』
「ユリスは綿毛ちゃんのこと友達だって思ってないから。埃くらいにしか思ってないから」
『それは酷すぎない?』
せめて犬だとは思われていたい。犬じゃないけど。
オレには友達がいないと酷い決めつけをするルイス坊ちゃんは、唐突に「俺に任せて!」と宣言した。なんだろう。すごく嫌な予感がする。
「綿毛ちゃんにはエリスちゃんがいるだろ。親友でしょ!?」
『えっと。親友ではないかも』
どちらかと言えば、オレはエリスちゃんに嫌われている。猫パンチされることも多い。
日当たりのいい場所でお昼寝していたエリスちゃんを無遠慮に抱えた坊ちゃん。無理矢理起こされたエリスちゃんは、ちょっと不機嫌そう。
そろそろとエリスちゃんから距離をとるけど、エリスちゃんを抱っこした坊ちゃんがお構いなく近寄ってくる。
「仲間でしょ。仲良くして」
『仲間ってなに?』
オレは猫じゃないもん。
しかし坊ちゃんは、ぐいぐいとエリスちゃんをオレに近付けてくる。やめてぇと主張するけど、坊ちゃんは一歩も引かない。
やがて恐れていたことが起きた。
シャー! と急に威嚇を始めたエリスちゃんが、鋭い猫パンチを繰り出してきた。それが見事にオレの頭に命中した。ぎゃっと悲鳴をあげると、坊ちゃんが「綿毛ちゃん!!」と大声を出した。
いや、叫んでないでエリスちゃんを遠ざけてほしいんだけど。
「やめるんだ、エリスちゃん。綿毛ちゃんとも仲良くして。たしかにちょっとムカつく毛玉だけど」
『ムカつく毛玉ってなに。え、ひどい』
突然の暴言に傷付いてしまう。
えーんえーんと泣き真似しておく。けれどもエリスちゃんに釘付けの坊ちゃんは、オレのことを見ていない。
「綿毛ちゃん! 友達なんだから仲良くして!」
『なんでオレが悪いみたいになってるのぉ?』
オレは頑張ってエリスちゃんに歩み寄ろうとしている。でもエリスちゃんにその気は一切ないのだ。これはもうオレにはどうしようもないと思う。
ふうと息を吐いて、オレはエリスちゃんを抱えた坊ちゃんから離れる。エリスちゃんがあまり寄り付かない入口付近を陣取ってひと息ついた。
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