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17歳
859 隠していたもの
ジェフリーを見送った俺は、急いで部屋に戻った。
帰り際にジェフリーが「あそこにあるので」と言った言葉が気になって仕方がないのだ。一体なにがあるというのか。ジェフリーに訊いても「見てみてください」と言われるばかりで詳しいことは教えてもらえなかった。
ジェフリーが指さしていたカーテン裏に突撃すると、そこにはエリスちゃんがいた。
「エリスちゃん。ちょっと退いて」
眠そうな猫を引っ張り出して、周囲を確認してみる。するとそこに紙が落ちているのを発見した。
手に取ってみると手紙らしきものであるとわかった。
「ジェフリーが言ってたの、これかな?」
「えぇ、それですね」
カーテン裏から出てティアンに手紙を見せてみると、迷いのない肯定が返ってくる。どうやらティアンは、ジェフリーがこれをここに隠す場面をバッチリ目撃していたらしい。内緒にしていてほしいとジェフリーに言われたんだとか。
それがあの時の光景か。
俺はてっきりティアンがジェフリーのことをいじめたんだと。
そうではなくて、手紙を隠している最中に俺が戻ってきたのでジェフリーは驚いただけらしい。
ティアンに変な誤解をしてしまったことを謝って、俺は手紙を開いてみる。几帳面な文字で綴られた文章には、また一緒に遊んでほしい旨とエリスちゃんらしき猫の絵が添えてあった。
「……ジェフリー。絵うまいね」
「そうですね」
一体なにを思い出したのか。
ティアンがジェフリーの絵を見てから思い出し笑いをした。
ティアンの肩を押してやれば「すみません」と、ティアンが笑いながら顔を背ける。
「ルイス様も昔はよく絵を描いていましたよね」
「覚えてない!」
本当は覚えているけど。
俺はたぶんあんまり絵うまくなかったと思う。ブルース兄様とオーガス兄様なんて露骨に下手と言ってきた。今でも覚えているぞ。
俺の絵に比べたらジェフリーは断然うまい。
でもどうして手紙を隠したりしたのだろうか。
ちょっと悪戯したい気分になったのだろうか。俺もそういう時あるから気持ちはわかる。
ふふっと笑って、手紙を大事にしまっておく。
「今度は綿毛ちゃん描いてもらおう」
そう呟いてから、あのうるさい毛玉を寝室に閉じ込めていたことを思い出す。急いで寝室のドアを開けると、綿毛ちゃんは俺のベッドを占領してから呑気に寝ていた。
「カミールは?」
寝室のドアを開けたままにして、ティアンを振り返る。ジェフリーと遊ぶ間、待っていてほしいとお願いしたのだ。客室にいるとのことなので、こちらから足を運ぶことにする。
客室では、カミールとテオドールが一緒にいた。お喋りでもしていたのだろう。俺に気がついて、カミールが立ち上がった。
「ごめんね、待たせて」
「いえいえ」
にこやかに応じてくれるカミールは「こちらこそ突然すみません」と頭をかいた。
「デニスも帰ったよ」
「そのようですね」
なんだか遠い目になってしまうカミールは、やっぱりデニスのことが苦手のようだった。
夕食の時間まで、まだ少しある。
のんびりお喋りして暇を潰すことにした俺は、ソファに腰掛ける。
「ティアンも座れば?」
「いえ」
同行していたティアンを振り返るけど、短く拒否されてしまった。
「ところで授業ってサボって大丈夫なの?」
ずっと気になっていたことを質問すると、カミールが顔を覆ってしまった。その様子から全然大丈夫ではないことが窺える。けれどもテオドールは平然としている。
「大丈夫ですよ」
「いや大丈夫じゃないから。おまえ適当なこと言うなよ」
これはどっちなのだろうか。
なんとなくカミールの方が正しい気がする。
そもそも今回のお出かけは、テオドールの用事にカミールが無理矢理付き合わされた感じらしい。
テオドールって強引なんだな。カミールは振り回されていそうだ。普段からこうなのかな?
仲のよさそうな小競り合いをするふたり。
その様子をぼんやり眺めていた俺は、なんか友達って感じでいいなぁと思う。それと同時に、ふたりとの間に距離を感じてしまい寂しいような気もした。
帰り際にジェフリーが「あそこにあるので」と言った言葉が気になって仕方がないのだ。一体なにがあるというのか。ジェフリーに訊いても「見てみてください」と言われるばかりで詳しいことは教えてもらえなかった。
ジェフリーが指さしていたカーテン裏に突撃すると、そこにはエリスちゃんがいた。
「エリスちゃん。ちょっと退いて」
眠そうな猫を引っ張り出して、周囲を確認してみる。するとそこに紙が落ちているのを発見した。
手に取ってみると手紙らしきものであるとわかった。
「ジェフリーが言ってたの、これかな?」
「えぇ、それですね」
カーテン裏から出てティアンに手紙を見せてみると、迷いのない肯定が返ってくる。どうやらティアンは、ジェフリーがこれをここに隠す場面をバッチリ目撃していたらしい。内緒にしていてほしいとジェフリーに言われたんだとか。
それがあの時の光景か。
俺はてっきりティアンがジェフリーのことをいじめたんだと。
そうではなくて、手紙を隠している最中に俺が戻ってきたのでジェフリーは驚いただけらしい。
ティアンに変な誤解をしてしまったことを謝って、俺は手紙を開いてみる。几帳面な文字で綴られた文章には、また一緒に遊んでほしい旨とエリスちゃんらしき猫の絵が添えてあった。
「……ジェフリー。絵うまいね」
「そうですね」
一体なにを思い出したのか。
ティアンがジェフリーの絵を見てから思い出し笑いをした。
ティアンの肩を押してやれば「すみません」と、ティアンが笑いながら顔を背ける。
「ルイス様も昔はよく絵を描いていましたよね」
「覚えてない!」
本当は覚えているけど。
俺はたぶんあんまり絵うまくなかったと思う。ブルース兄様とオーガス兄様なんて露骨に下手と言ってきた。今でも覚えているぞ。
俺の絵に比べたらジェフリーは断然うまい。
でもどうして手紙を隠したりしたのだろうか。
ちょっと悪戯したい気分になったのだろうか。俺もそういう時あるから気持ちはわかる。
ふふっと笑って、手紙を大事にしまっておく。
「今度は綿毛ちゃん描いてもらおう」
そう呟いてから、あのうるさい毛玉を寝室に閉じ込めていたことを思い出す。急いで寝室のドアを開けると、綿毛ちゃんは俺のベッドを占領してから呑気に寝ていた。
「カミールは?」
寝室のドアを開けたままにして、ティアンを振り返る。ジェフリーと遊ぶ間、待っていてほしいとお願いしたのだ。客室にいるとのことなので、こちらから足を運ぶことにする。
客室では、カミールとテオドールが一緒にいた。お喋りでもしていたのだろう。俺に気がついて、カミールが立ち上がった。
「ごめんね、待たせて」
「いえいえ」
にこやかに応じてくれるカミールは「こちらこそ突然すみません」と頭をかいた。
「デニスも帰ったよ」
「そのようですね」
なんだか遠い目になってしまうカミールは、やっぱりデニスのことが苦手のようだった。
夕食の時間まで、まだ少しある。
のんびりお喋りして暇を潰すことにした俺は、ソファに腰掛ける。
「ティアンも座れば?」
「いえ」
同行していたティアンを振り返るけど、短く拒否されてしまった。
「ところで授業ってサボって大丈夫なの?」
ずっと気になっていたことを質問すると、カミールが顔を覆ってしまった。その様子から全然大丈夫ではないことが窺える。けれどもテオドールは平然としている。
「大丈夫ですよ」
「いや大丈夫じゃないから。おまえ適当なこと言うなよ」
これはどっちなのだろうか。
なんとなくカミールの方が正しい気がする。
そもそも今回のお出かけは、テオドールの用事にカミールが無理矢理付き合わされた感じらしい。
テオドールって強引なんだな。カミールは振り回されていそうだ。普段からこうなのかな?
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