862 / 965
17歳
860 お世話でもしておこう
夕食はテオドールたちと一緒に食べた。
いつもと違い賑やかで楽しかった。ユリスはちょっと嫌そうな顔をしていたけど。
せっかくふたりが泊まってくれるというので、俺は夜更かしする気満々である。テオドールの部屋へ突撃して、寝るまでお喋りでもしようと思う。絶対に楽しいと思う。
一応ユリスのことも誘ってみたのだが、普通に断られてしまった。ユリスはあまりやる気がない。おまけに今日はデニスと会っていたので、それでもう疲れ切ってしまったのだろう。早々に寝るつもりらしい。
エリスちゃんも連れて行こうと思って抱き上げると、すかさず綿毛ちゃんが『オレはぁ?』と寄ってくる。
『オレも夜更かしする』
「綿毛ちゃんはダメだよ。普通の犬じゃないもん」
『普通の犬だよー。どこにでもいる感じの犬だよぉ』
「嘘つかないで」
普段は『犬じゃないから』とうるさいくせに。都合のいい時だけ犬であると主張するのだ。
「綿毛ちゃんは先に寝てて」
『まだ眠くなーい』
うだうだ文句を言う綿毛ちゃんは、『オレだけ仲間はずれなんて酷いよぉ』と泣き真似をする。仕方がないだろう。綿毛ちゃんは普通の犬じゃないんだから。テオドールたちにバレたらびっくりさせてしまう。
エリスちゃんを抱えて客室に向かおうとした俺であったのだが、またもや邪魔が入る。ノックもなしに部屋へ突入してきたアロンが、寝間着姿の俺を見てから眉を寄せた。
「ルイス様。どこ行くんですか」
「テオドールたちのところ」
「なんで」
いや、なんでと言われても。
しかし薄々こうなる気はしていた。こういう時、決まってアロンは文句を言いにくるからだ。
「アロンも一緒に行く?」
「ティアンは?」
俺の問いかけを無視したアロンは、部屋の中を見渡す。
「ティアンは自分の部屋にいると思うけど」
今日はテオドールたちと遊ぶからと言ったところ、ティアンは「夜更かししたらダメですよ」と言って去って行ったのだ。
「へー」
ティアンがいないと知って、途端に笑顔になったアロン。ティアンがいないのが嬉しいのだろうか。謎だ。
「じゃあ俺も一緒に行きますよ」
あ、行くのね。別にいいけど。
にこにこしているアロンに、エリスちゃんを持たせてみる。毛がつくと言って普段はあまり犬猫に触らないアロンなのだが、今日はよほど機嫌がいいのか。あっさりエリスちゃんを受け取った。
「カミールのこといじめないでね」
テオドールはメンタル強いけど、カミールは繊細なのだ。変なこと言って困らせないでねと言い聞かせると、アロンは「しませんよ、そんなこと」と肩をすくめた。
あまり信用はできないが、たぶん大丈夫だと思いたい。まぁ、俺も一緒だから大丈夫だろう。
「じゃあね、綿毛ちゃん。おとなしくしといてね」
『暴れちゃうもんね』
「暴れないで」
むすっとしている不機嫌毛玉は、短い前足で床をペシペシ叩いている。一緒に行きたいらしいけど、無理だろう。綿毛ちゃんはうっかりしているので、テオドールたちの前でお喋りしてしまいそう。おまけに頭には角が生えているのだ。
テオドールはエリスちゃんにも平気な顔で触っていた。あんな感じで綿毛ちゃんにも触れられると、変な角の存在がバレてしまう。
『オレも行きたいよ。オレもお泊まり会したい』
「じゃあユリスとする?」
『しないもーん。ユリス坊ちゃんとは毎日会ってるもーん』
「我儘言わないで」
うるさい毛玉を抱えて、廊下に出る。
綿毛ちゃんは寂しがりなので、部屋にひとりになっちゃうのが嫌なんだろう。
ユリスの部屋に入って、綿毛ちゃんを床に置く。
「ユリス! 綿毛ちゃんあげる」
「いらない」
「そんなこと言わないで!」
床でごろごろする綿毛ちゃんを見下ろして「ユリスとおとなしくしてて」と言い聞かせる。
『仕方ない。オレはユリス坊ちゃんのお世話でもしておこうかなぁ』
「任せたぞ!」
ユリスのお世話ってなんだろう。
そんなの必要ないと思うけど。「おまえら、うるさい」とこっちを睨んでくるユリスに手を振って、ドアを閉める。
綿毛ちゃんをどうにかしたい俺は、ユリスのお世話とやらを綿毛ちゃんに任せることにした。
いつもと違い賑やかで楽しかった。ユリスはちょっと嫌そうな顔をしていたけど。
せっかくふたりが泊まってくれるというので、俺は夜更かしする気満々である。テオドールの部屋へ突撃して、寝るまでお喋りでもしようと思う。絶対に楽しいと思う。
一応ユリスのことも誘ってみたのだが、普通に断られてしまった。ユリスはあまりやる気がない。おまけに今日はデニスと会っていたので、それでもう疲れ切ってしまったのだろう。早々に寝るつもりらしい。
エリスちゃんも連れて行こうと思って抱き上げると、すかさず綿毛ちゃんが『オレはぁ?』と寄ってくる。
『オレも夜更かしする』
「綿毛ちゃんはダメだよ。普通の犬じゃないもん」
『普通の犬だよー。どこにでもいる感じの犬だよぉ』
「嘘つかないで」
普段は『犬じゃないから』とうるさいくせに。都合のいい時だけ犬であると主張するのだ。
「綿毛ちゃんは先に寝てて」
『まだ眠くなーい』
うだうだ文句を言う綿毛ちゃんは、『オレだけ仲間はずれなんて酷いよぉ』と泣き真似をする。仕方がないだろう。綿毛ちゃんは普通の犬じゃないんだから。テオドールたちにバレたらびっくりさせてしまう。
エリスちゃんを抱えて客室に向かおうとした俺であったのだが、またもや邪魔が入る。ノックもなしに部屋へ突入してきたアロンが、寝間着姿の俺を見てから眉を寄せた。
「ルイス様。どこ行くんですか」
「テオドールたちのところ」
「なんで」
いや、なんでと言われても。
しかし薄々こうなる気はしていた。こういう時、決まってアロンは文句を言いにくるからだ。
「アロンも一緒に行く?」
「ティアンは?」
俺の問いかけを無視したアロンは、部屋の中を見渡す。
「ティアンは自分の部屋にいると思うけど」
今日はテオドールたちと遊ぶからと言ったところ、ティアンは「夜更かししたらダメですよ」と言って去って行ったのだ。
「へー」
ティアンがいないと知って、途端に笑顔になったアロン。ティアンがいないのが嬉しいのだろうか。謎だ。
「じゃあ俺も一緒に行きますよ」
あ、行くのね。別にいいけど。
にこにこしているアロンに、エリスちゃんを持たせてみる。毛がつくと言って普段はあまり犬猫に触らないアロンなのだが、今日はよほど機嫌がいいのか。あっさりエリスちゃんを受け取った。
「カミールのこといじめないでね」
テオドールはメンタル強いけど、カミールは繊細なのだ。変なこと言って困らせないでねと言い聞かせると、アロンは「しませんよ、そんなこと」と肩をすくめた。
あまり信用はできないが、たぶん大丈夫だと思いたい。まぁ、俺も一緒だから大丈夫だろう。
「じゃあね、綿毛ちゃん。おとなしくしといてね」
『暴れちゃうもんね』
「暴れないで」
むすっとしている不機嫌毛玉は、短い前足で床をペシペシ叩いている。一緒に行きたいらしいけど、無理だろう。綿毛ちゃんはうっかりしているので、テオドールたちの前でお喋りしてしまいそう。おまけに頭には角が生えているのだ。
テオドールはエリスちゃんにも平気な顔で触っていた。あんな感じで綿毛ちゃんにも触れられると、変な角の存在がバレてしまう。
『オレも行きたいよ。オレもお泊まり会したい』
「じゃあユリスとする?」
『しないもーん。ユリス坊ちゃんとは毎日会ってるもーん』
「我儘言わないで」
うるさい毛玉を抱えて、廊下に出る。
綿毛ちゃんは寂しがりなので、部屋にひとりになっちゃうのが嫌なんだろう。
ユリスの部屋に入って、綿毛ちゃんを床に置く。
「ユリス! 綿毛ちゃんあげる」
「いらない」
「そんなこと言わないで!」
床でごろごろする綿毛ちゃんを見下ろして「ユリスとおとなしくしてて」と言い聞かせる。
『仕方ない。オレはユリス坊ちゃんのお世話でもしておこうかなぁ』
「任せたぞ!」
ユリスのお世話ってなんだろう。
そんなの必要ないと思うけど。「おまえら、うるさい」とこっちを睨んでくるユリスに手を振って、ドアを閉める。
綿毛ちゃんをどうにかしたい俺は、ユリスのお世話とやらを綿毛ちゃんに任せることにした。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。