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17歳
862 そういうこと!?(sideカミール)
アロン子爵の背中を押して部屋から追い出そうとするルイス様。しかしアロン子爵は「邪魔はしませんよ」と愛想笑いでやんわりルイス様から距離を取った。
そのままソファを占領するアロン子爵は、背もたれに背中を預けて腕を組む。邪魔はしないと言っていたが、なんとも存在感がある。
引きつりそうな顔を懸命に堪えて、ルイス様へと向き直る。よくわからないが、アロン子爵のことはなるべく視界に入れないようにしよう。俺の心の平穏のためには、それしかない。
俺と目が合うなりルイス様はにこりと微笑んだ。笑顔だけは本当に天使のような尊さである。
「今日は朝まで起きておこうね」
可愛い顔ですごく無茶をおっしゃる。
無邪気に「お泊まり会だからね」と言うルイス様は、寝ないと言いつつ寝間着姿であった。寝る準備バッチリじゃないか。
え? これ本当に眠れない感じなのか?
困惑する俺の横で、テオドールが元気に「いいですね!」と頷いている。一体なにがいいんだよ。適当に返事してるんじゃないぞ、この馬鹿。
正直気疲れしていた俺は、今すぐにでも休みたい気分であった。けれども嬉々としてソファに座るルイス様を前にして「先に寝ます」とは言えない。腕を組んでこちらを睨みつけるように監視しているアロン子爵の前で、そんなこと言えない。
結果、俺は曖昧に笑っておくことしかできない。
「エリスちゃんも一緒だよ! 綿毛ちゃんは置いてきちゃった」
「へ、へぇー。そうなんですね」
綿毛ちゃんという名前に反応して、俺の頭を背の高いお兄さんの姿がよぎった。
姿が見えないと思っていたのだが、どうやらあのお兄さんはまだルイス様のペットをやっているらしい。一体なにがどうなったら美少年のペットなんていう危ない立場を入手できるのだろうか。
考えても仕方のないことが、頭の中にとりとめなく浮かんでくる。頭を振ってその考えを必死に追い出した。
「でね! テオドールは恋人できた?」
にこっと無邪気に問いかけられたテオドールが、動きを止めた。話題が唐突過ぎないか? なぜ突然テオドールの恋人。
面食らったのはテオドールも同じらしい。けれども彼は図太いところがある。
「あぁ、いえ。俺はルイス様一筋ですから」
さらっと大嘘を吐いたテオドール。言っておくが、おまえに一途って言葉は似合わないからな。誰彼構わず告白している男がよく言ったものだ。
テオドールの言葉に、ルイス様の隣を陣取っていたアロン子爵の目が鋭くなった。
今更だが、アロン子爵は一体どういう立場としてこの場に同席しているのだろうか。
なるべく子爵を視界に入れないように気をつけながら、俺は全力で愛想笑いを浮かべておく。
そっか、と。テオドールの発言を軽く流したルイス様は、ここにきて今日一番の笑みを見せた。
照れ笑いのような表情で俺とテオドールを見比べたルイス様の口から、「俺は恋人できたよ」という衝撃の発言が飛び出してきた。
「え!?」
勢いよく立ち上がったテオドールは「俺は?」と言わんばかりの表情。どうして本気で焦ることができるのだろうか。出会った当初から、おまえにチャンスなんてなかったからな。
しかしお綺麗なルイス様である。おまけに大公家の三男。そりゃ恋人くらい普通にできるだろう。
もしやずっとその話をしたかったのだろうか。は? 可愛すぎかよ。
うきうきと喜びをあらわにするルイス様は膝にのせた猫を撫でながら「いいでしょー」と満面の笑みだ。
可愛い。恋人できて浮かれているルイス様がすごく可愛い。「言っちゃった!」と小声で言ってから両手で頬を包んでいる。なにその可愛い仕草。
「その、お相手は……?」
おずおずと尋ねるテオドールは本気で悔しそうな顔をしている。おまえ、よくそんな悔しがれたな。これまで散々振られただろうが。
「えー? それは内緒」
内緒なんだ。
けれども俺は見てしまった。
ルイス様の隣に座るアロン子爵が、わかりやすくドヤ顔しているのを。
……え、まさかこの人?
思わずルイス様とアロン子爵を素早く見比べた。
するとそれに気がついたらしいアロン子爵が、ニヤッと口角を持ち上げてからさりげなくルイス様の手を握った。
握られたルイス様はというと、何も気にせずそのままにしている。
え!? マジで!?
あ、あぁー? それで? それでこの場に同席しているのか。
納得した俺は、仲良さげなおふたりを眺めた。楽しそうで何よりである。
そのままソファを占領するアロン子爵は、背もたれに背中を預けて腕を組む。邪魔はしないと言っていたが、なんとも存在感がある。
引きつりそうな顔を懸命に堪えて、ルイス様へと向き直る。よくわからないが、アロン子爵のことはなるべく視界に入れないようにしよう。俺の心の平穏のためには、それしかない。
俺と目が合うなりルイス様はにこりと微笑んだ。笑顔だけは本当に天使のような尊さである。
「今日は朝まで起きておこうね」
可愛い顔ですごく無茶をおっしゃる。
無邪気に「お泊まり会だからね」と言うルイス様は、寝ないと言いつつ寝間着姿であった。寝る準備バッチリじゃないか。
え? これ本当に眠れない感じなのか?
困惑する俺の横で、テオドールが元気に「いいですね!」と頷いている。一体なにがいいんだよ。適当に返事してるんじゃないぞ、この馬鹿。
正直気疲れしていた俺は、今すぐにでも休みたい気分であった。けれども嬉々としてソファに座るルイス様を前にして「先に寝ます」とは言えない。腕を組んでこちらを睨みつけるように監視しているアロン子爵の前で、そんなこと言えない。
結果、俺は曖昧に笑っておくことしかできない。
「エリスちゃんも一緒だよ! 綿毛ちゃんは置いてきちゃった」
「へ、へぇー。そうなんですね」
綿毛ちゃんという名前に反応して、俺の頭を背の高いお兄さんの姿がよぎった。
姿が見えないと思っていたのだが、どうやらあのお兄さんはまだルイス様のペットをやっているらしい。一体なにがどうなったら美少年のペットなんていう危ない立場を入手できるのだろうか。
考えても仕方のないことが、頭の中にとりとめなく浮かんでくる。頭を振ってその考えを必死に追い出した。
「でね! テオドールは恋人できた?」
にこっと無邪気に問いかけられたテオドールが、動きを止めた。話題が唐突過ぎないか? なぜ突然テオドールの恋人。
面食らったのはテオドールも同じらしい。けれども彼は図太いところがある。
「あぁ、いえ。俺はルイス様一筋ですから」
さらっと大嘘を吐いたテオドール。言っておくが、おまえに一途って言葉は似合わないからな。誰彼構わず告白している男がよく言ったものだ。
テオドールの言葉に、ルイス様の隣を陣取っていたアロン子爵の目が鋭くなった。
今更だが、アロン子爵は一体どういう立場としてこの場に同席しているのだろうか。
なるべく子爵を視界に入れないように気をつけながら、俺は全力で愛想笑いを浮かべておく。
そっか、と。テオドールの発言を軽く流したルイス様は、ここにきて今日一番の笑みを見せた。
照れ笑いのような表情で俺とテオドールを見比べたルイス様の口から、「俺は恋人できたよ」という衝撃の発言が飛び出してきた。
「え!?」
勢いよく立ち上がったテオドールは「俺は?」と言わんばかりの表情。どうして本気で焦ることができるのだろうか。出会った当初から、おまえにチャンスなんてなかったからな。
しかしお綺麗なルイス様である。おまけに大公家の三男。そりゃ恋人くらい普通にできるだろう。
もしやずっとその話をしたかったのだろうか。は? 可愛すぎかよ。
うきうきと喜びをあらわにするルイス様は膝にのせた猫を撫でながら「いいでしょー」と満面の笑みだ。
可愛い。恋人できて浮かれているルイス様がすごく可愛い。「言っちゃった!」と小声で言ってから両手で頬を包んでいる。なにその可愛い仕草。
「その、お相手は……?」
おずおずと尋ねるテオドールは本気で悔しそうな顔をしている。おまえ、よくそんな悔しがれたな。これまで散々振られただろうが。
「えー? それは内緒」
内緒なんだ。
けれども俺は見てしまった。
ルイス様の隣に座るアロン子爵が、わかりやすくドヤ顔しているのを。
……え、まさかこの人?
思わずルイス様とアロン子爵を素早く見比べた。
するとそれに気がついたらしいアロン子爵が、ニヤッと口角を持ち上げてからさりげなくルイス様の手を握った。
握られたルイス様はというと、何も気にせずそのままにしている。
え!? マジで!?
あ、あぁー? それで? それでこの場に同席しているのか。
納得した俺は、仲良さげなおふたりを眺めた。楽しそうで何よりである。
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