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17歳
865 これは夢?(sideカミール)
ひと通り相談という名の惚気話を語って満足したのか。
小さく欠伸をしたルイス様は、なぜか当然のような顔で客室のベッドに寝転がった。ルイス様のあとを追って寝室に入った俺は、眼前の光景に思わず固まってしまう。
ご丁寧に猫ちゃんを枕元に置いたルイス様は「寝ないの?」と俺たちを手招きする。
寝ないのってなに!?
え、ここで!? ここで寝るつもりなのか!?
立ち尽くす俺の横を、テオドールが素知らぬ顔で通過しようとする。そのままルイス様の隣に向かおうとしているらしいが、俺が許すとでも?
咄嗟にテオドールの首を引っ掴んで引き止めておく。ぐえっと呻いたテオドールを睨みつけてから、俺はルイス様に笑顔を向ける。
「ルイス様。朝まで起きておくのでは?」
「あーそれね。俺は寝るから。ふたりは起きててもいいよ」
なんでだよ。
ルイス様が言い出したことだろう。途中で放り出すんじゃない。
そのままベッドをゴロゴロと無意味に転げるルイス様は「一緒に寝てもいいよー」と隣をぽんぽん叩く。
え、なにこれ。俺の夢?
あまりの出来事に、思わず頬をつねった。普通に痛い。ついでにテオドールの足も踏み付けておく。「痛っ!」と叫んだので、やはりこれは現実なのだろう。
「どうしたの? テオドール」
「あ、いえ。なんでも」
俺をチラッと見た後、ルイス様に向けて苦笑するテオドールは「やめろよ」と言わんばかりに肘で小突いてきた。
それを押しやってから俺はどうしたものかと考える。一体なにがどうなったら一緒に寝るという考えに至るのだろうか。ルイス様の企みがよくわからない。
もしや言葉に誘われるがままにベッドに入れば、すかさず悲鳴をあげて俺たちを陥れるつもりなのか。いや、ない。ルイス様に限ってそれはない。
じゃあなんなのか。
もしや本気でなんの他意もなく誘っているのだろうか。
いや俺だって友達同士で盛り上がって寮の部屋で雑魚寝のようなことをすることはある。だが相手はルイス様であり、ここはヴィアン家の屋敷である。前提からしてまず大きく異なっている。俺がここでルイス様と一緒に寝るのはどう考えたっておかしいだろ。
「寝ないの? なんで?」
つらつら考え事をしていると、ルイス様が不思議そうに声をかけてきた。
え、これはどうするべきなんだ。
とりあえずテオドールがルイス様のもとへ行かないよう目を光らせる。
そうして先程のルイス様の発言を思い出す。最近できたという恋人相手に「一緒に寝よう?」と誘ってもダメと言われるとの話である。
テオドールが積極的と言っていたが、もしやルイス様の「一緒に寝よう」は単なる添い寝なのでは?
ベッドを我が物顔で占領するルイス様を見ていると、そんな気がしてきた。お相手さんはどう思っているのだろうか。こんなの生殺しだろ。
一緒に寝ていいよと言いつつも、ベッドのど真ん中を占領しているのはなぜなのか。おまけに腕を大きく広げている。少しは端に寄ったらどうなんだ。いや一緒には寝ないけどさ。
「あの、ルイス様。俺たちはもう少し起きていようと」
「わかった。おやすみ」
「……はい、おやすみなさい」
寝るなよ、という言葉を寸前で飲み込んだ俺は偉い。そのままテオドールの首根っこを掴み、寝室をあとにした。きっちりドアを閉めてから、額を押さえる。
「……どうしてこうなるんだ」
ドア一枚挟んでルイス様がいるという奇妙な状況。小声で苦々しく呟くと、ソファに戻ったテオドールが「じゃあ俺らはここで寝るか?」と楽しそうに提案してきた。
「最悪そうなるけど。え? ルイス様はなんでここで寝るんだよ」
「知らない。けど俺らのことを男として見ていないことはわかったな」
「そこは確かめるまでもなくわかっていたことだろ」
力なくソファに腰をおろして、深々とため息を吐く。
「……なんか同じ部屋に寝て疑われるのも嫌だから、ふたりで俺の部屋に移動する?」
「あー、そうだな」
目を瞬くテオドールは、その手があったかと言わんばかり。俺にも客室が割り当てられている。テオドールと一緒のベッドなんてごめんだが、そんな我儘を言っている場合ではない。
いや、俺に割り当てられた客室なんだから俺がベッドで寝て、テオドールのことはソファに追いやればいいのか。よし、これでいこう。
小さく欠伸をしたルイス様は、なぜか当然のような顔で客室のベッドに寝転がった。ルイス様のあとを追って寝室に入った俺は、眼前の光景に思わず固まってしまう。
ご丁寧に猫ちゃんを枕元に置いたルイス様は「寝ないの?」と俺たちを手招きする。
寝ないのってなに!?
え、ここで!? ここで寝るつもりなのか!?
立ち尽くす俺の横を、テオドールが素知らぬ顔で通過しようとする。そのままルイス様の隣に向かおうとしているらしいが、俺が許すとでも?
咄嗟にテオドールの首を引っ掴んで引き止めておく。ぐえっと呻いたテオドールを睨みつけてから、俺はルイス様に笑顔を向ける。
「ルイス様。朝まで起きておくのでは?」
「あーそれね。俺は寝るから。ふたりは起きててもいいよ」
なんでだよ。
ルイス様が言い出したことだろう。途中で放り出すんじゃない。
そのままベッドをゴロゴロと無意味に転げるルイス様は「一緒に寝てもいいよー」と隣をぽんぽん叩く。
え、なにこれ。俺の夢?
あまりの出来事に、思わず頬をつねった。普通に痛い。ついでにテオドールの足も踏み付けておく。「痛っ!」と叫んだので、やはりこれは現実なのだろう。
「どうしたの? テオドール」
「あ、いえ。なんでも」
俺をチラッと見た後、ルイス様に向けて苦笑するテオドールは「やめろよ」と言わんばかりに肘で小突いてきた。
それを押しやってから俺はどうしたものかと考える。一体なにがどうなったら一緒に寝るという考えに至るのだろうか。ルイス様の企みがよくわからない。
もしや言葉に誘われるがままにベッドに入れば、すかさず悲鳴をあげて俺たちを陥れるつもりなのか。いや、ない。ルイス様に限ってそれはない。
じゃあなんなのか。
もしや本気でなんの他意もなく誘っているのだろうか。
いや俺だって友達同士で盛り上がって寮の部屋で雑魚寝のようなことをすることはある。だが相手はルイス様であり、ここはヴィアン家の屋敷である。前提からしてまず大きく異なっている。俺がここでルイス様と一緒に寝るのはどう考えたっておかしいだろ。
「寝ないの? なんで?」
つらつら考え事をしていると、ルイス様が不思議そうに声をかけてきた。
え、これはどうするべきなんだ。
とりあえずテオドールがルイス様のもとへ行かないよう目を光らせる。
そうして先程のルイス様の発言を思い出す。最近できたという恋人相手に「一緒に寝よう?」と誘ってもダメと言われるとの話である。
テオドールが積極的と言っていたが、もしやルイス様の「一緒に寝よう」は単なる添い寝なのでは?
ベッドを我が物顔で占領するルイス様を見ていると、そんな気がしてきた。お相手さんはどう思っているのだろうか。こんなの生殺しだろ。
一緒に寝ていいよと言いつつも、ベッドのど真ん中を占領しているのはなぜなのか。おまけに腕を大きく広げている。少しは端に寄ったらどうなんだ。いや一緒には寝ないけどさ。
「あの、ルイス様。俺たちはもう少し起きていようと」
「わかった。おやすみ」
「……はい、おやすみなさい」
寝るなよ、という言葉を寸前で飲み込んだ俺は偉い。そのままテオドールの首根っこを掴み、寝室をあとにした。きっちりドアを閉めてから、額を押さえる。
「……どうしてこうなるんだ」
ドア一枚挟んでルイス様がいるという奇妙な状況。小声で苦々しく呟くと、ソファに戻ったテオドールが「じゃあ俺らはここで寝るか?」と楽しそうに提案してきた。
「最悪そうなるけど。え? ルイス様はなんでここで寝るんだよ」
「知らない。けど俺らのことを男として見ていないことはわかったな」
「そこは確かめるまでもなくわかっていたことだろ」
力なくソファに腰をおろして、深々とため息を吐く。
「……なんか同じ部屋に寝て疑われるのも嫌だから、ふたりで俺の部屋に移動する?」
「あー、そうだな」
目を瞬くテオドールは、その手があったかと言わんばかり。俺にも客室が割り当てられている。テオドールと一緒のベッドなんてごめんだが、そんな我儘を言っている場合ではない。
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追記:読んでくださった皆さま、本当にどうもありがとうございました!!
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