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17歳
873 ノート
しかしオーガス兄様にノートを返す前に、ちょっとだけ中身を見てみようと思う。だって気になるもん。
廊下の端に寄って、壁に背中を預けた俺はパラパラとノートを捲る。ティアンが「ダメですよ。勝手に見たら」と眉を寄せるけど、気にしない。だってユリスも読んでいたのだ。俺が読んでも問題はないだろう。
困り顔のティアンの隣で、適当に目を通す。
しかしそこに書かれているのは日々の出来事をメモした感じの素っ気ない単語の羅列だけ。何時に誰と会ったとか、どこへ行ったとか。何かを貰ったという記載や、逆にこれをあげたなど。
「これは日記っていうの?」
「さぁ?」
ユリスが面白くないと言っていたが、本当に面白くない。ちょっと期待していたのと違った。
しかし謎なのは、オーガス兄様がこれをどこかに隠していたということである。ユリスが勝手に持ってきたので、具体的な隠し場所は知らない。
こんな面白くもない日記、隠す必要なんてないと思うけど。
パタンとノートを閉じて、再びオーガス兄様の部屋を目指す。兄様は、ソファに座ってぼんやりしていた。
「あ、ルイス。何か用?」
「オーガス兄様、これ返すね」
ノートを押し付けると、表紙を見た兄様が「あぁ」とやる気のない様子で頷いた。
「これ探してたんだ。ルイスが持ってたの?」
「ううん。ユリスが持ってた」
「ユリス。いつ持って行ったんだか」
困ったねと苦笑するオーガス兄様は、慌てる様子がない。やはりこれは隠す必要なんてないノートだったのだ。
「それなに?」
「これ? これは日々の出来事を忘れないようにメモしてるんだよ」
「なんで?」
「え、なんでって言われても。忘れたら困ることとかあるから」
「ふーん?」
たぶん仕事や人間関係の都合で記録しているのだろう。オーガス兄様は何も考えていないように見えて、意外とあれこれ考えているんだな。
感心していると、オーガス兄様が「なんか失礼なこと考えてない?」と疑いの目を向けてくる。
慌てて首を左右に振って否定しておく。
「ユリスがね。隠すならもっとマシな場所に隠せって言ってたよ」
「隠した覚えはないけど」
目を瞬くオーガス兄様は、心当たりがないといった感じの表情だ。ユリスのやつ、一体どこから持ってきたのだろうか。
オーガス兄様の向かいに腰をおろして、背もたれに背中を預けておく。そのまましばらくぼんやりしていると、兄様が「まだ何か用事?」と冷たい言葉を投げかけてくる。用事がないと来ちゃダメなのか?
「友達は帰ったの?」
「帰ったよ。サンドイッチが美味しいって言ってた」
「へー、そうなんだ」
パラパラとノートを見返しながら相槌を打つ兄様は、ふうと息を吐く。ニックの姿は見当たらない。どうせセドリックの追っかけだろうと考えて、思い出してしまった。
「そういえば、ニックが」
「うん?」
顔を上げたオーガス兄様は、「ニックがどうしたの?」と興味津々だ。
「セドリックに好きな人ができたって騒いでたけど、ほんとなの?」
「え?」
眉間にぎゅっと力を入れたオーガス兄様は、すかさず「嘘だと思うよ」と言った。
「それかニックの勘違いだね」
「やっぱりオーガス兄様もそう思う?」
俺もそう思う。
だってあのセドリックである。極度の面倒くさがりの彼が、人を好きになるなんて考えられない。恋愛とか絶対に興味なさそうだもん。
「ニックは適当なことばっかり言うから」
ニックのことを散々悪く言うオーガス兄様は、たぶんニックに恨みでもあるんだと思う。常に仕事をサボっているからね。オーガス兄様が文句を言いたくなる気持ちはよくわかるよ。
「ニックのことはどうでもいいんだよ。それよりルイスの友達だよ。なにしてたの?」
やたらとテオドールとカミールに興味を示す兄様は、俺たちが何をして遊んでいたのかと根掘り葉掘り尋ねてくる。
「普通に遊んだよ」
「ルイスの言う普通ってなに?」
「猫触ったり、お喋りしたり」
「普通だね」
だから普通だと言っているでしょうが。
「ルイスのことだから。もっと派手な遊びをしているのかと」
「派手な遊びってなに?」
「噴水に飛び込んだりとか」
「そんなことしないよ」
オーガス兄様は、俺のことをいくつの子供だと思っているのだろうか。流石にもうそんなことはしない。
廊下の端に寄って、壁に背中を預けた俺はパラパラとノートを捲る。ティアンが「ダメですよ。勝手に見たら」と眉を寄せるけど、気にしない。だってユリスも読んでいたのだ。俺が読んでも問題はないだろう。
困り顔のティアンの隣で、適当に目を通す。
しかしそこに書かれているのは日々の出来事をメモした感じの素っ気ない単語の羅列だけ。何時に誰と会ったとか、どこへ行ったとか。何かを貰ったという記載や、逆にこれをあげたなど。
「これは日記っていうの?」
「さぁ?」
ユリスが面白くないと言っていたが、本当に面白くない。ちょっと期待していたのと違った。
しかし謎なのは、オーガス兄様がこれをどこかに隠していたということである。ユリスが勝手に持ってきたので、具体的な隠し場所は知らない。
こんな面白くもない日記、隠す必要なんてないと思うけど。
パタンとノートを閉じて、再びオーガス兄様の部屋を目指す。兄様は、ソファに座ってぼんやりしていた。
「あ、ルイス。何か用?」
「オーガス兄様、これ返すね」
ノートを押し付けると、表紙を見た兄様が「あぁ」とやる気のない様子で頷いた。
「これ探してたんだ。ルイスが持ってたの?」
「ううん。ユリスが持ってた」
「ユリス。いつ持って行ったんだか」
困ったねと苦笑するオーガス兄様は、慌てる様子がない。やはりこれは隠す必要なんてないノートだったのだ。
「それなに?」
「これ? これは日々の出来事を忘れないようにメモしてるんだよ」
「なんで?」
「え、なんでって言われても。忘れたら困ることとかあるから」
「ふーん?」
たぶん仕事や人間関係の都合で記録しているのだろう。オーガス兄様は何も考えていないように見えて、意外とあれこれ考えているんだな。
感心していると、オーガス兄様が「なんか失礼なこと考えてない?」と疑いの目を向けてくる。
慌てて首を左右に振って否定しておく。
「ユリスがね。隠すならもっとマシな場所に隠せって言ってたよ」
「隠した覚えはないけど」
目を瞬くオーガス兄様は、心当たりがないといった感じの表情だ。ユリスのやつ、一体どこから持ってきたのだろうか。
オーガス兄様の向かいに腰をおろして、背もたれに背中を預けておく。そのまましばらくぼんやりしていると、兄様が「まだ何か用事?」と冷たい言葉を投げかけてくる。用事がないと来ちゃダメなのか?
「友達は帰ったの?」
「帰ったよ。サンドイッチが美味しいって言ってた」
「へー、そうなんだ」
パラパラとノートを見返しながら相槌を打つ兄様は、ふうと息を吐く。ニックの姿は見当たらない。どうせセドリックの追っかけだろうと考えて、思い出してしまった。
「そういえば、ニックが」
「うん?」
顔を上げたオーガス兄様は、「ニックがどうしたの?」と興味津々だ。
「セドリックに好きな人ができたって騒いでたけど、ほんとなの?」
「え?」
眉間にぎゅっと力を入れたオーガス兄様は、すかさず「嘘だと思うよ」と言った。
「それかニックの勘違いだね」
「やっぱりオーガス兄様もそう思う?」
俺もそう思う。
だってあのセドリックである。極度の面倒くさがりの彼が、人を好きになるなんて考えられない。恋愛とか絶対に興味なさそうだもん。
「ニックは適当なことばっかり言うから」
ニックのことを散々悪く言うオーガス兄様は、たぶんニックに恨みでもあるんだと思う。常に仕事をサボっているからね。オーガス兄様が文句を言いたくなる気持ちはよくわかるよ。
「ニックのことはどうでもいいんだよ。それよりルイスの友達だよ。なにしてたの?」
やたらとテオドールとカミールに興味を示す兄様は、俺たちが何をして遊んでいたのかと根掘り葉掘り尋ねてくる。
「普通に遊んだよ」
「ルイスの言う普通ってなに?」
「猫触ったり、お喋りしたり」
「普通だね」
だから普通だと言っているでしょうが。
「ルイスのことだから。もっと派手な遊びをしているのかと」
「派手な遊びってなに?」
「噴水に飛び込んだりとか」
「そんなことしないよ」
オーガス兄様は、俺のことをいくつの子供だと思っているのだろうか。流石にもうそんなことはしない。
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追記:読んでくださった皆さま、本当にどうもありがとうございました!!
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