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17歳
綿毛ちゃんの日常31
「大変だよ! 綿毛ちゃん!」
『へ?』
ルイス坊ちゃんの大声にびっくりして目を開けた。
日当たりのいい窓際で気持ちよくお昼寝していたオレは、体を起こしてから坊ちゃんを見上げる。今日は珍しくエリスちゃんに邪魔されることなくお昼寝できていたのに。ちょっと文句を言ってやろうと思ったけど、坊ちゃんの顔を見てそんな気分も失せてしまう。
なぜか仁王立ちでオレを見下ろす坊ちゃんは「ちょっと来て」と真面目な様子で告げてきた。
『……』
なんだか冗談を言えないような空気。一体なにがあったというのだろうか。坊ちゃんは、たしか直前まで窓の外を眺めていたはず。外に何か面白いものでも発見したのだろうか。
不思議に思いつつも、オレは黙って坊ちゃんについて行くことにした。
部屋を出る坊ちゃんに、ティアンさんが「どこに行くんですか?」と慌てて声をかけている。ちょうどジャンさんと話し込んでいたらしい。反応の遅れたティアンさんを置いて、坊ちゃんは素早く廊下に出た。そのままドアを閉めてしまった。
『なんで閉めるの? ティアンさんが可哀想だよぉ』
「行くぞ、綿毛ちゃん」
しかしドアを閉めただけでは、ティアンさんを追い払えない。あっさりドアを開けて出てきたティアンさんが「どこに行くんですか」と眉をひそめる。
「ティアンも一緒に行きたいの? どうしてもって言うならいいよ、ついてきて」
なぜか恩着せがましい言い方をした坊ちゃんに、ティアンさんが苦笑している。
そのまま庭に出た坊ちゃんは、きょろきょろと周囲を見渡してから「あっ!」と小さく声をあげた。
「ロニー!」
勢いよく駆け出す坊ちゃんのお目当ては、ロニーさんだった。満面の笑みを見せる坊ちゃんに、ティアンさんがなんとも言えない表情になってしまったのをオレはバッチリ見てしまった。
坊ちゃんは、なんか色々あって結局ティアンさんと付き合うことにしたらしい。しかしそこは自由な坊ちゃんである。
オレは、いつか坊ちゃんがティアンさんの前でロニーさんのこと大好きとか言っちゃわないか心配。だって坊ちゃんだもん。悪気なく言っちゃうね、きっと。もうすでに言っている可能性だってある。
なんだかティアンさんのことが可哀想に思えてきた。ロニーさんに駆け寄る坊ちゃんのことを複雑そうな顔で眺めているティアンさんに『元気出してぇ』と声をかけておく。不思議そうにオレを見下ろすティアンさんに向けて、励ましの言葉をかける。
『坊ちゃんがロニーさんのこと好きなのは昔からだもん。でも深い意味はないよ。だって坊ちゃん、ティアンさんのことが一番好きだもん。たぶんね』
へへっと笑うと、ティアンさんが屈んでオレの頭を撫でてくれた。
「ありがとう。綿毛ちゃん」
『どうもどうも』
そんな会話をしていると、坊ちゃんが走って戻ってきた。
『あれぇ? ロニーさんは?』
一緒じゃないの? と首を傾げるオレに、坊ちゃんはちょっと不満そうに唇を尖らせる。
「ロニーは仕事だって」
『だろうねぇ』
真面目なロニーさんである。庭にいたのだって、仕事で通りかかっただけだろう。絶対にサボりではない。
「まぁいいや。暇だからティアンと遊んであげる」
目を見張ったティアンさんは、けれどもすぐに「ありがとうございます」と微笑んだ。その心底嬉しそうな表情に、こっちまで嬉しくなってしまう。思わず尻尾を振ると、坊ちゃんがオレの尻尾を掴もうと手を伸ばしてきた。
『やめてくださぁい。尻尾には触らないでください』
「ケチ毛玉」
『オレの悪口はやめてくださーい』
むっと眉間に皺を寄せると、ティアンさんが小さく笑っていることに気がついた。
「行こう、ティアン。綿毛ちゃんは置いていこう」
『置いていかないでください。か弱い毛玉をいじめないで』
ティアンさんの手を握って、オレから逃げるように駆け出した坊ちゃん。笑いを堪えているらしいティアンさんは、すごく楽しそう。
坊ちゃんもわかりやすく上機嫌だ。
『仲良しだねぇ』
そんなふたりを、オレはニマニマしながら追いかけた。
『へ?』
ルイス坊ちゃんの大声にびっくりして目を開けた。
日当たりのいい窓際で気持ちよくお昼寝していたオレは、体を起こしてから坊ちゃんを見上げる。今日は珍しくエリスちゃんに邪魔されることなくお昼寝できていたのに。ちょっと文句を言ってやろうと思ったけど、坊ちゃんの顔を見てそんな気分も失せてしまう。
なぜか仁王立ちでオレを見下ろす坊ちゃんは「ちょっと来て」と真面目な様子で告げてきた。
『……』
なんだか冗談を言えないような空気。一体なにがあったというのだろうか。坊ちゃんは、たしか直前まで窓の外を眺めていたはず。外に何か面白いものでも発見したのだろうか。
不思議に思いつつも、オレは黙って坊ちゃんについて行くことにした。
部屋を出る坊ちゃんに、ティアンさんが「どこに行くんですか?」と慌てて声をかけている。ちょうどジャンさんと話し込んでいたらしい。反応の遅れたティアンさんを置いて、坊ちゃんは素早く廊下に出た。そのままドアを閉めてしまった。
『なんで閉めるの? ティアンさんが可哀想だよぉ』
「行くぞ、綿毛ちゃん」
しかしドアを閉めただけでは、ティアンさんを追い払えない。あっさりドアを開けて出てきたティアンさんが「どこに行くんですか」と眉をひそめる。
「ティアンも一緒に行きたいの? どうしてもって言うならいいよ、ついてきて」
なぜか恩着せがましい言い方をした坊ちゃんに、ティアンさんが苦笑している。
そのまま庭に出た坊ちゃんは、きょろきょろと周囲を見渡してから「あっ!」と小さく声をあげた。
「ロニー!」
勢いよく駆け出す坊ちゃんのお目当ては、ロニーさんだった。満面の笑みを見せる坊ちゃんに、ティアンさんがなんとも言えない表情になってしまったのをオレはバッチリ見てしまった。
坊ちゃんは、なんか色々あって結局ティアンさんと付き合うことにしたらしい。しかしそこは自由な坊ちゃんである。
オレは、いつか坊ちゃんがティアンさんの前でロニーさんのこと大好きとか言っちゃわないか心配。だって坊ちゃんだもん。悪気なく言っちゃうね、きっと。もうすでに言っている可能性だってある。
なんだかティアンさんのことが可哀想に思えてきた。ロニーさんに駆け寄る坊ちゃんのことを複雑そうな顔で眺めているティアンさんに『元気出してぇ』と声をかけておく。不思議そうにオレを見下ろすティアンさんに向けて、励ましの言葉をかける。
『坊ちゃんがロニーさんのこと好きなのは昔からだもん。でも深い意味はないよ。だって坊ちゃん、ティアンさんのことが一番好きだもん。たぶんね』
へへっと笑うと、ティアンさんが屈んでオレの頭を撫でてくれた。
「ありがとう。綿毛ちゃん」
『どうもどうも』
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むっと眉間に皺を寄せると、ティアンさんが小さく笑っていることに気がついた。
「行こう、ティアン。綿毛ちゃんは置いていこう」
『置いていかないでください。か弱い毛玉をいじめないで』
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そんなふたりを、オレはニマニマしながら追いかけた。
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