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17歳
877 逆です
「あ、ルイス様。セドリックいましたよ」
先頭を行っていたアロンが陽気な声と共に振り返る。それを受けて、ティアンが慌てたように足を動かす。まだほんのり顔が赤いティアンは、俺から逃げるように前を行ってしまう。なに照れてんだ。
ティアンを追いかけるように、俺も早足になる。
アロンの言葉通り、前方の訓練場にセドリックがいた。なにやら他の騎士たちと話し込んでいた彼は、俺たちの姿を見てから眉を寄せる。いつも通りやる気のない表情だ。
「なにか?」
アロンに短く問いかけるセドリックは、面倒くさいといった本音を隠しもしない。肩をすくめるアロンは「いや、用はないんですけどね」とへらへら笑う。
その横から、ロニーがセドリックに声をかける。仕事の話があると言っていたので、それだろう。
『ねー。ティアンさんとなに話してたの?』
こそこそ寄ってきた綿毛ちゃんが、小声でそんなことを聞いてくる。ロニーの足元に纏わりついていたので、俺たちの会話は聞こえていなかったらしい。
別にたいした話はしていないけど、教えるのはちょっと躊躇ってしまう。
「綿毛ちゃんの悪口だよ」
『そんなぁ。ひどいよぉ』
へにゃっと情けない顔になる綿毛ちゃんは、まさか今の嘘を信じたのだろうか。
「嘘だよ。ティアンは綿毛ちゃんの悪口言うほど、綿毛ちゃんに興味ないから大丈夫だよ」
『坊ちゃんは、オレにトドメを刺そうとしているの?』
そんなわけないだろう。俺は普通に励ましているだけだ。
妙な疑いをかけてくる毛玉を宥めて、俺はセドリックに近寄る。ちょうどロニーとの話し合いも終わったようだし。
「ねー、セドリック」
「はい」
やる気のなさが見てとれるセドリックは、どこか遠くを見つめていた。視線くらい合わせてくれてもよくない?
まぁいいや。細かいことを気にしている場合ではない。
いつの間にか俺の隣を陣取ったアロンが、ニヤニヤした顔でセドリックを眺めている。これはセドリックのことを揶揄う気満々の顔だ。
「ニックがね、セドリックに好きな人ができたって言ってたんだけど。ほんと?」
「……」
無表情を貫くセドリックは、ゆっくりと瞬きをした。そのまま肯定も否定もしない彼は、ただただ沈黙を守っている。
え? なにその反応。
違うなら違うって言えばよくない? え、もしかして違わないのか? そうなの!?
驚く俺の横で、アロンが「なんとか言ったらどうなんですかぁ」と間延びした声でセドリックを小突く。
嫌そうに顔を歪めたセドリックは、アロンから無言で距離をとる。しかし俺たちに注目されて、セドリックも居心地が悪かったのだろう。観念したように、短く息を吐いた。
「逆です」
「逆?」
小さく頷いたセドリックは、先程までの無表情から一転。苦々しい顔で「ここ最近、ずっと付きまとわれているんです」と予想外の言葉を吐いた。
「付きまとわれてるの? でもそれって今に始まったことじゃないよね?」
少なくとも数年前からニックはセドリックのことを追いかけている。そう指摘したのだが、セドリックに「違います」と言われてしまった。
「ニックではありません」
「え、じゃあ誰?」
セドリックの話をまとめると、ここ最近ずっと誰かに付きまとわれているらしい。しかもその相手は、ニックではないのだとか。いや、正確にはニックにも追いかけられているのだが。
「セドリックのストーカーが増えたってこと?」
なんてこった。
とんでもない事態だ。どうしてやる気皆無のセドリックがそんなに追いかけられるんだ。
予想外の事態に、アロンも眉を寄せている。ロニーも「それ本当なんですか?」と驚きの顔でセドリックを問いただしている。
『セドリックさん。人気者なんだねぇ』
綿毛ちゃんが呑気に笑っているけど、これはそういう問題ではないと思うぞ。セドリックによると、相手の素性もいまいちわかっていないらしい。
ずっとニックに追いかけられていると思っていたのに、最近になってニックに加えてあとひとり存在していると気がついたのだとか。どんなホラーだよ。
先頭を行っていたアロンが陽気な声と共に振り返る。それを受けて、ティアンが慌てたように足を動かす。まだほんのり顔が赤いティアンは、俺から逃げるように前を行ってしまう。なに照れてんだ。
ティアンを追いかけるように、俺も早足になる。
アロンの言葉通り、前方の訓練場にセドリックがいた。なにやら他の騎士たちと話し込んでいた彼は、俺たちの姿を見てから眉を寄せる。いつも通りやる気のない表情だ。
「なにか?」
アロンに短く問いかけるセドリックは、面倒くさいといった本音を隠しもしない。肩をすくめるアロンは「いや、用はないんですけどね」とへらへら笑う。
その横から、ロニーがセドリックに声をかける。仕事の話があると言っていたので、それだろう。
『ねー。ティアンさんとなに話してたの?』
こそこそ寄ってきた綿毛ちゃんが、小声でそんなことを聞いてくる。ロニーの足元に纏わりついていたので、俺たちの会話は聞こえていなかったらしい。
別にたいした話はしていないけど、教えるのはちょっと躊躇ってしまう。
「綿毛ちゃんの悪口だよ」
『そんなぁ。ひどいよぉ』
へにゃっと情けない顔になる綿毛ちゃんは、まさか今の嘘を信じたのだろうか。
「嘘だよ。ティアンは綿毛ちゃんの悪口言うほど、綿毛ちゃんに興味ないから大丈夫だよ」
『坊ちゃんは、オレにトドメを刺そうとしているの?』
そんなわけないだろう。俺は普通に励ましているだけだ。
妙な疑いをかけてくる毛玉を宥めて、俺はセドリックに近寄る。ちょうどロニーとの話し合いも終わったようだし。
「ねー、セドリック」
「はい」
やる気のなさが見てとれるセドリックは、どこか遠くを見つめていた。視線くらい合わせてくれてもよくない?
まぁいいや。細かいことを気にしている場合ではない。
いつの間にか俺の隣を陣取ったアロンが、ニヤニヤした顔でセドリックを眺めている。これはセドリックのことを揶揄う気満々の顔だ。
「ニックがね、セドリックに好きな人ができたって言ってたんだけど。ほんと?」
「……」
無表情を貫くセドリックは、ゆっくりと瞬きをした。そのまま肯定も否定もしない彼は、ただただ沈黙を守っている。
え? なにその反応。
違うなら違うって言えばよくない? え、もしかして違わないのか? そうなの!?
驚く俺の横で、アロンが「なんとか言ったらどうなんですかぁ」と間延びした声でセドリックを小突く。
嫌そうに顔を歪めたセドリックは、アロンから無言で距離をとる。しかし俺たちに注目されて、セドリックも居心地が悪かったのだろう。観念したように、短く息を吐いた。
「逆です」
「逆?」
小さく頷いたセドリックは、先程までの無表情から一転。苦々しい顔で「ここ最近、ずっと付きまとわれているんです」と予想外の言葉を吐いた。
「付きまとわれてるの? でもそれって今に始まったことじゃないよね?」
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「セドリックのストーカーが増えたってこと?」
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とんでもない事態だ。どうしてやる気皆無のセドリックがそんなに追いかけられるんだ。
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