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17歳
886 俺の勝ち
ベッドに寝転んでしばらく笑っていた俺であるが、ティアンに肩を叩かれて顔を背ける。
「嫌だ!」
「まだなにも言っていませんよ」
ティアンはそう言って困ったような声を出すが、どうせ部屋に帰れと言いたいのだろう。ティアンの言いそうなことは、なんとなく理解できてしまう。
「俺、今日はここで寝るもん」
「ダメですって。何度も言わせないでください」
「いーやーだー」
「ちょっと、ルイス様」
俺の肩をやんわり掴むティアンは、困りきった雰囲気。だが、俺だって困っている。
「少しだけって約束でしたよね?」
「そうだっけ?」
ベッドにあがって、枕元にエリスちゃんと綿毛ちゃんを綺麗に並べる。むにゃむにゃ言ってる綿毛ちゃんは、寝ぼけながら布団の中に潜り込もうとしてくる。
それを枕元に戻して、「動かないで!」と注意しておく。小声で『ひどい』と返ってきたので、綿毛ちゃんは起きている。寝たふりしてるのか?
ベッドの真ん中を陣取って「おやすみ!」と宣言する。これで俺の勝ち。
『……坊ちゃんって、一緒に寝ようって言いながら毎回ベッドのど真ん中を占領するのはどうしてなのぉ? 一緒に寝る気ないよねぇ』
「綿毛ちゃん。うるさい」
『うるさくないもん。ティアンさん、困ってるよ』
薄目を開けて、ティアンを確認してみる。
ベッドの傍らで立ち尽くすティアンは、綿毛ちゃんの言う通り困っていた。
ちょっと考えて、俺は端に寄った。
「いいよ、ここに寝て」
空いたスペースをティアンに譲るが、肝心のティアンは「寝ませんよ」と断ってきた。
「なんで? なんで俺の誘いを断るの?」
「一緒に寝るのはダメだって言いましたよね?」
「なんで? 恋人なのに?」
「……」
黙り込むティアンは、部屋をうろうろし始める。落ち着きのない様子に、俺はちょっと不安になってきた。
体を起こして、ティアンを呼ぶ。
「僕は、ルイス様のことを大切にしたいと思っているので」
「どうも。俺もティアンのこと大事だよ」
「あ、いえ。こちらこそ」
ありがとうございますと早口にお礼を言ったティアンは、「なのでご自分の部屋で寝てください」と急に突き放してくる。
今のは一緒に寝る流れだろう。
むすっと頬を膨らませるが、ティアンは一向に折れてくれない。なんて頑ななのだ。意地を張っても仕方がないだろうに。
「ティアン。いい加減にして。諦めて」
「諦めるのはルイス様ですよ」
「さっきから全然話が前に進まない!」
「それぞれの部屋で寝ましょうって結論になりましたよね?」
「なってない!」
勝手に決めるなんて卑怯だぞと叫んでから、再びベッドに倒れ込んだ。
「俺は絶対にここで寝るもん。綿毛ちゃんだけずるい」
「綿毛ちゃんも連れて帰ってください」
「……」
「ルイス様」
無視して目を閉じると、ため息が降ってくる。
しばらく悩むように歩き回る気配がする。
「ティアン。もう寝ようよ」
「いや、ですから。なんでこうなるんですか」
ぶつぶつ言ってるティアンは、いつもの余裕がない。
勝手に動く綿毛ちゃんが、布団の中に潜り込んでくる。
『ティアンさーん。寝ようよぉ』
綿毛ちゃんの言う通りだ。明日もどうせ早起きなんだ。もう寝ないと。夜更かしはダメなんだよと綿毛ちゃんと一緒になって主張する。
「……今日だけですよ」
するとようやく諦めたのか。
ティアンが、投げやりに言い放ってからベッドに上がってくる。
「綿毛ちゃん。俺の勝ちだね」
綿毛ちゃんに向けて囁くと、ティアンが「はいはい。僕の負けです」と応じてきた。
くすくす笑って、ティアンを見る。天井に顔を向けて、頑なにこっちを見ないティアン。けれどもすぐ隣にティアンがいることが嬉しくて、俺は満足。
「ティアン」
「……なんですか」
「おやすみ」
「はい。おやすみなさい」
優しく返事してくれたティアンは、それきり黙ってしまう。ティアンのほうに少し体を寄せた俺も、そのまま眠りについた。
「嫌だ!」
「まだなにも言っていませんよ」
ティアンはそう言って困ったような声を出すが、どうせ部屋に帰れと言いたいのだろう。ティアンの言いそうなことは、なんとなく理解できてしまう。
「俺、今日はここで寝るもん」
「ダメですって。何度も言わせないでください」
「いーやーだー」
「ちょっと、ルイス様」
俺の肩をやんわり掴むティアンは、困りきった雰囲気。だが、俺だって困っている。
「少しだけって約束でしたよね?」
「そうだっけ?」
ベッドにあがって、枕元にエリスちゃんと綿毛ちゃんを綺麗に並べる。むにゃむにゃ言ってる綿毛ちゃんは、寝ぼけながら布団の中に潜り込もうとしてくる。
それを枕元に戻して、「動かないで!」と注意しておく。小声で『ひどい』と返ってきたので、綿毛ちゃんは起きている。寝たふりしてるのか?
ベッドの真ん中を陣取って「おやすみ!」と宣言する。これで俺の勝ち。
『……坊ちゃんって、一緒に寝ようって言いながら毎回ベッドのど真ん中を占領するのはどうしてなのぉ? 一緒に寝る気ないよねぇ』
「綿毛ちゃん。うるさい」
『うるさくないもん。ティアンさん、困ってるよ』
薄目を開けて、ティアンを確認してみる。
ベッドの傍らで立ち尽くすティアンは、綿毛ちゃんの言う通り困っていた。
ちょっと考えて、俺は端に寄った。
「いいよ、ここに寝て」
空いたスペースをティアンに譲るが、肝心のティアンは「寝ませんよ」と断ってきた。
「なんで? なんで俺の誘いを断るの?」
「一緒に寝るのはダメだって言いましたよね?」
「なんで? 恋人なのに?」
「……」
黙り込むティアンは、部屋をうろうろし始める。落ち着きのない様子に、俺はちょっと不安になってきた。
体を起こして、ティアンを呼ぶ。
「僕は、ルイス様のことを大切にしたいと思っているので」
「どうも。俺もティアンのこと大事だよ」
「あ、いえ。こちらこそ」
ありがとうございますと早口にお礼を言ったティアンは、「なのでご自分の部屋で寝てください」と急に突き放してくる。
今のは一緒に寝る流れだろう。
むすっと頬を膨らませるが、ティアンは一向に折れてくれない。なんて頑ななのだ。意地を張っても仕方がないだろうに。
「ティアン。いい加減にして。諦めて」
「諦めるのはルイス様ですよ」
「さっきから全然話が前に進まない!」
「それぞれの部屋で寝ましょうって結論になりましたよね?」
「なってない!」
勝手に決めるなんて卑怯だぞと叫んでから、再びベッドに倒れ込んだ。
「俺は絶対にここで寝るもん。綿毛ちゃんだけずるい」
「綿毛ちゃんも連れて帰ってください」
「……」
「ルイス様」
無視して目を閉じると、ため息が降ってくる。
しばらく悩むように歩き回る気配がする。
「ティアン。もう寝ようよ」
「いや、ですから。なんでこうなるんですか」
ぶつぶつ言ってるティアンは、いつもの余裕がない。
勝手に動く綿毛ちゃんが、布団の中に潜り込んでくる。
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「綿毛ちゃん。俺の勝ちだね」
綿毛ちゃんに向けて囁くと、ティアンが「はいはい。僕の負けです」と応じてきた。
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「ティアン」
「……なんですか」
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