910 / 966
17歳
903 俺!
「俺、ちょっとお出かけしてくるね」
「どこに?」
眉を寄せるブルース兄様は「街に行きたいならティアンも連れて行けよ」と一方的に話を終わらせてしまう。勝手に行き先を決めるんじゃない。
「旅行に行ってくるね」
「……あ?」
簡潔に告げると、兄様の仕事の手が止まった。
目を見開いて、まじまじと俺を見つめてくる兄様。
「待て。なんだ旅行って。どうして急にそんな話が出てくる」
「いいじゃん。ティアンも連れて行くから」
「いいわけないだろう。旅行ってなんだ。どこまで行くつもりだ。護衛がティアンだけで足りるわけがないだろ」
「ユリスとタイラーも行くよ。アロンも行くって。あとジェフリーも連れて行くから、アーキア公爵家も護衛とかいろいろ手配してくれるってさ」
「待て。なんでそんなに話が進んでいるんだ。聞いてないぞ」
怖い顔になるブルース兄様は、執務机から立ち上がってこちらに回り込んでくる。
「一体いつの間に話がそこまで進んだ。誰がアーキア公爵家と話をつけたんだ」
「俺!」
「……」
ドヤ顔で手をあげたところ、ブルース兄様が盛大に顔をしかめた。
そうして何事かを考えるように少し黙った兄様は、やがて「何かの間違いじゃないのか?」と失礼なことを口走る。
「間違いじゃないよ。ちゃんとジェフリーとデニスと話し合ったもん」
「その話し合いはちゃんと意味のあるものだったのか? 遊びじゃなくて?」
「どういう意味? ちゃんと計画立てたもん」
なぜか俺のことを疑うブルース兄様は、眉間に皺を寄せている。
「とりあえず俺からもアーキア公爵家に確認してみる。話はそれからだ」
「なんで信じてくれないの!」
普通に失礼だぞ。
ハドリーが無事にフランシスの居場所を突き止めてくれたのだ。なんでも現在は国境近くの割と大きな街に滞在しているらしい。あと数日はその街にいて、それから屋敷に帰るらしい。
国境からフランシスの屋敷までは、結構長い道のり。しかし通るであろうルートは決まっているのだとか。というわけで、俺はフランシスが辿ってくるであろう帰り道をずっと旅することにした。そうすれば、どこかでフランシスと鉢合わせできる。
デニスに相談したところ、ジェフリーも連れて行っていいと言ってくれた。アーキア公爵にもちゃんと話を通してある。公爵は、俺とジェフリーが仲良くしていることを喜んでいるらしい。一緒に旅行したいと伝えたところ、馬車や護衛など必要なものは公爵家で用意してくれると宣言してくれた。旅の途中でも、公爵家の伝手で宿を用意してくれるらしい。
そういった話をブルース兄様にも説明するのだが、兄様はいまいち信じてくれない。自分でも公爵家に確認しないと気が済まないらしい。なんて失礼な兄なんだ。もう少し俺を信用してほしい。
「デニスは行かないんだって。ユリスが行くから本当は行きたいらしいけど。なんか忙しいんだって」
「だろうな。あれでも公爵家の跡継ぎだからな」
「ふーん?」
まぁ、確かにオーガス兄様も忙しそうにしている。デニスもデニスで、やるべきことがたくさんあるのだろう。
「それにしても急だな」
「ごめんね。俺ね、どうしても旅行したくて」
「いや、まぁそうだな。屋敷にこもっていても仕方がないからな」
「うん」
一応の理解を示してくれる兄様は、行き先を詳しく教えろと言ってくる。特に目的地があるわけではないのだが、国境に向けてずっと進んでいくつもりだ。
「……俺も行くか」
「えっ!?」
眉間を揉んだブルース兄様が、そんなことを言った。忙しい兄様である。同行する可能性なんて考えてもいなかったので、びっくりしてしまう。
目を見開く俺に、ブルース兄様は「いや、ちょうどそっち方面に用があったんだ」とため息を吐いた。
「どうせ近々行く予定だったんだ。だったらおまえたちと一緒に行った方が色々と都合がいいだろう」
「ほーん」
ブルース兄様は、時折遠出をしている。オーガス兄様と違って、フットワークの軽いブルース兄様である。王立騎士団の人手が足りない時など、エリックに頼まれて国境近くまで赴くことも多い。
兄様がいれば、旅行も安心安全なものになるのでは?
なんだか急に楽しくなってきた俺は、笑顔になる。
「え、いいよ! 一緒に行こうね!」
「いや、まずは公爵家に確認してから」
「だからもう話はまとまってるの! 俺がちゃんとやったもん」
公爵にも、ジェフリーのことを頼むと言われているのだ。
「どこに?」
眉を寄せるブルース兄様は「街に行きたいならティアンも連れて行けよ」と一方的に話を終わらせてしまう。勝手に行き先を決めるんじゃない。
「旅行に行ってくるね」
「……あ?」
簡潔に告げると、兄様の仕事の手が止まった。
目を見開いて、まじまじと俺を見つめてくる兄様。
「待て。なんだ旅行って。どうして急にそんな話が出てくる」
「いいじゃん。ティアンも連れて行くから」
「いいわけないだろう。旅行ってなんだ。どこまで行くつもりだ。護衛がティアンだけで足りるわけがないだろ」
「ユリスとタイラーも行くよ。アロンも行くって。あとジェフリーも連れて行くから、アーキア公爵家も護衛とかいろいろ手配してくれるってさ」
「待て。なんでそんなに話が進んでいるんだ。聞いてないぞ」
怖い顔になるブルース兄様は、執務机から立ち上がってこちらに回り込んでくる。
「一体いつの間に話がそこまで進んだ。誰がアーキア公爵家と話をつけたんだ」
「俺!」
「……」
ドヤ顔で手をあげたところ、ブルース兄様が盛大に顔をしかめた。
そうして何事かを考えるように少し黙った兄様は、やがて「何かの間違いじゃないのか?」と失礼なことを口走る。
「間違いじゃないよ。ちゃんとジェフリーとデニスと話し合ったもん」
「その話し合いはちゃんと意味のあるものだったのか? 遊びじゃなくて?」
「どういう意味? ちゃんと計画立てたもん」
なぜか俺のことを疑うブルース兄様は、眉間に皺を寄せている。
「とりあえず俺からもアーキア公爵家に確認してみる。話はそれからだ」
「なんで信じてくれないの!」
普通に失礼だぞ。
ハドリーが無事にフランシスの居場所を突き止めてくれたのだ。なんでも現在は国境近くの割と大きな街に滞在しているらしい。あと数日はその街にいて、それから屋敷に帰るらしい。
国境からフランシスの屋敷までは、結構長い道のり。しかし通るであろうルートは決まっているのだとか。というわけで、俺はフランシスが辿ってくるであろう帰り道をずっと旅することにした。そうすれば、どこかでフランシスと鉢合わせできる。
デニスに相談したところ、ジェフリーも連れて行っていいと言ってくれた。アーキア公爵にもちゃんと話を通してある。公爵は、俺とジェフリーが仲良くしていることを喜んでいるらしい。一緒に旅行したいと伝えたところ、馬車や護衛など必要なものは公爵家で用意してくれると宣言してくれた。旅の途中でも、公爵家の伝手で宿を用意してくれるらしい。
そういった話をブルース兄様にも説明するのだが、兄様はいまいち信じてくれない。自分でも公爵家に確認しないと気が済まないらしい。なんて失礼な兄なんだ。もう少し俺を信用してほしい。
「デニスは行かないんだって。ユリスが行くから本当は行きたいらしいけど。なんか忙しいんだって」
「だろうな。あれでも公爵家の跡継ぎだからな」
「ふーん?」
まぁ、確かにオーガス兄様も忙しそうにしている。デニスもデニスで、やるべきことがたくさんあるのだろう。
「それにしても急だな」
「ごめんね。俺ね、どうしても旅行したくて」
「いや、まぁそうだな。屋敷にこもっていても仕方がないからな」
「うん」
一応の理解を示してくれる兄様は、行き先を詳しく教えろと言ってくる。特に目的地があるわけではないのだが、国境に向けてずっと進んでいくつもりだ。
「……俺も行くか」
「えっ!?」
眉間を揉んだブルース兄様が、そんなことを言った。忙しい兄様である。同行する可能性なんて考えてもいなかったので、びっくりしてしまう。
目を見開く俺に、ブルース兄様は「いや、ちょうどそっち方面に用があったんだ」とため息を吐いた。
「どうせ近々行く予定だったんだ。だったらおまえたちと一緒に行った方が色々と都合がいいだろう」
「ほーん」
ブルース兄様は、時折遠出をしている。オーガス兄様と違って、フットワークの軽いブルース兄様である。王立騎士団の人手が足りない時など、エリックに頼まれて国境近くまで赴くことも多い。
兄様がいれば、旅行も安心安全なものになるのでは?
なんだか急に楽しくなってきた俺は、笑顔になる。
「え、いいよ! 一緒に行こうね!」
「いや、まずは公爵家に確認してから」
「だからもう話はまとまってるの! 俺がちゃんとやったもん」
公爵にも、ジェフリーのことを頼むと言われているのだ。
あなたにおすすめの小説
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」
星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。
ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。
番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。
あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、
平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。
そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。
――何でいまさら。オメガだった、なんて。
オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。
2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。
どうして、いまさら。
すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。
ハピエン確定です。(全10話)
2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
【完結/番外編準備中】
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
----------
追記:読んでくださった皆さま、本当にどうもありがとうございました!!
完結しましたが回収しきれていないエピソードが私の中でいくつかあるので笑、後日番外編をアップしたいなと現在準備中です。
詳しい更新日まだ未定ですが、もしよろしかったらゼヒまた覗いてやってくださいねー!
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。