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17歳
952 嫉妬かな
ティアンから逃げるように離れた俺は、ユリスの隣にぴたりと引っ付く。古本を眺めていたユリスが「なんだ。鬱陶しい」と眉を寄せた。
「ユリス。聞いてぇ」
「うるさい」
「そんな酷いこと言わないで」
軽く肩をすくめたユリスは、タイラーたちが待つ店の外に行ってしまう。どうやらお目当ての本はなかったらしい。ユリスが好きなのは、魔法に関する話が登場するものだ。魔法関連であれば、難しそうな専門書でも子供向けの絵本でもいいのだという。
俺もユリスを追いかけて外に出る。ジェフリーとフランシスはまだ店内を見ている。
当然のようにティアンもついてくる。
外に出た途端、アロンが「もういいんですか?」と不思議そうに問いかけてくる。
「うん」
正直、店内を見る余裕はなかった。
ティアンが少し離れた位置にいることを確認してから、俺はユリスの腕を掴んだ。
「ねぇ、聞いてぇ」
「だからなんだ。さっさと言えばいいだろ」
眉を寄せるユリスに、俺はちらっとティアンを振り返った。
「ティアンがね、ベネットのこと見るなって言うの」
「へー」
ユリスにこそこそと耳打ちすれば、そんな興味のなさそうな相槌が返ってきた。もっと真剣に聞いてほしい。
「どう思う?」
「面倒な男だなと」
「もう!」
俺が聞きたいのはそういうことではない。
ユリスの肩をペシッと叩いて、頬を膨らませた。
「嫉妬かな? これって嫉妬してるのかな?」
どう思う? と小声で問えば、ユリスが「知らない」と素っ気なく言う。
「気になるなら本人に聞けばいいだろ」
露骨に面倒といった顔になったユリスが、ティアンを呼んだ。慌てる俺とは対照的に、ティアンは落ち着き払っている。先程のキスをもう忘れてしまったのだろうか。キスと言っても、手にだったけど。それでも俺はドキドキした。
「なんですか?」
首を傾げるティアン。
面白いことが起きる気配を察したのか。アロンが寄ってくる。
それを鬱陶しそうに眺めたティアンに、ユリスが「おい」と声をかけた。
「ルイスがベネットのことばかり見るから面白くないのか?」
直球の質問に、ティアンが顔を引きつらせた。
タイラーがあららと言わんばかりに苦笑している。アロンはアロンで、ニヤッと意地の悪い笑みを浮かべた。
「ルイス様、こんな余裕のない男はやめましょうよ」
俺の隣に立ったアロンが、にこりと笑ってそう言った。
ちょっぴり苛立った様子のティアンが、俺とアロンの間へと強引に割り込んできた。先輩であるアロンを容赦なく睨みつけたティアンに、俺はなんだか照れ臭い気分になってくる。
本当に嫉妬してくれたのだろうか。だったら嬉しいかもしれない。
咳払いで誤魔化したティアンは、この話は終わりと言わんばかりにアロンをもう一度睨んだ。へらへらしているアロンは「面白いからブルース様にも教えてあげよ」と笑う。
「やめてくださいよ。なんでブルース様に言う必要があるんですか」
「だって普通に知りたいでしょ。ブルース様、ルイス様のこと気にかけてるし」
「余計なことは言わないでください」
「それはどうだろうか」
ちょっと言い合いを始めてしまうアロンとティアン。
ぼんやり眺めていると、フランシスとジェフリーが店から出てきた。
「ん? どうしたの」
言い争うふたりを見て、フランシスが不思議そうに首を傾げた。
「ルイスを巡って争っている。実に醜い争いだな」
「適当なこと言うなよ、ユリス」
「どこが適当なんだ。事実だろ」
雑な返事するユリスは、絶対にこの状況を面白がっていた。
「ユリス。聞いてぇ」
「うるさい」
「そんな酷いこと言わないで」
軽く肩をすくめたユリスは、タイラーたちが待つ店の外に行ってしまう。どうやらお目当ての本はなかったらしい。ユリスが好きなのは、魔法に関する話が登場するものだ。魔法関連であれば、難しそうな専門書でも子供向けの絵本でもいいのだという。
俺もユリスを追いかけて外に出る。ジェフリーとフランシスはまだ店内を見ている。
当然のようにティアンもついてくる。
外に出た途端、アロンが「もういいんですか?」と不思議そうに問いかけてくる。
「うん」
正直、店内を見る余裕はなかった。
ティアンが少し離れた位置にいることを確認してから、俺はユリスの腕を掴んだ。
「ねぇ、聞いてぇ」
「だからなんだ。さっさと言えばいいだろ」
眉を寄せるユリスに、俺はちらっとティアンを振り返った。
「ティアンがね、ベネットのこと見るなって言うの」
「へー」
ユリスにこそこそと耳打ちすれば、そんな興味のなさそうな相槌が返ってきた。もっと真剣に聞いてほしい。
「どう思う?」
「面倒な男だなと」
「もう!」
俺が聞きたいのはそういうことではない。
ユリスの肩をペシッと叩いて、頬を膨らませた。
「嫉妬かな? これって嫉妬してるのかな?」
どう思う? と小声で問えば、ユリスが「知らない」と素っ気なく言う。
「気になるなら本人に聞けばいいだろ」
露骨に面倒といった顔になったユリスが、ティアンを呼んだ。慌てる俺とは対照的に、ティアンは落ち着き払っている。先程のキスをもう忘れてしまったのだろうか。キスと言っても、手にだったけど。それでも俺はドキドキした。
「なんですか?」
首を傾げるティアン。
面白いことが起きる気配を察したのか。アロンが寄ってくる。
それを鬱陶しそうに眺めたティアンに、ユリスが「おい」と声をかけた。
「ルイスがベネットのことばかり見るから面白くないのか?」
直球の質問に、ティアンが顔を引きつらせた。
タイラーがあららと言わんばかりに苦笑している。アロンはアロンで、ニヤッと意地の悪い笑みを浮かべた。
「ルイス様、こんな余裕のない男はやめましょうよ」
俺の隣に立ったアロンが、にこりと笑ってそう言った。
ちょっぴり苛立った様子のティアンが、俺とアロンの間へと強引に割り込んできた。先輩であるアロンを容赦なく睨みつけたティアンに、俺はなんだか照れ臭い気分になってくる。
本当に嫉妬してくれたのだろうか。だったら嬉しいかもしれない。
咳払いで誤魔化したティアンは、この話は終わりと言わんばかりにアロンをもう一度睨んだ。へらへらしているアロンは「面白いからブルース様にも教えてあげよ」と笑う。
「やめてくださいよ。なんでブルース様に言う必要があるんですか」
「だって普通に知りたいでしょ。ブルース様、ルイス様のこと気にかけてるし」
「余計なことは言わないでください」
「それはどうだろうか」
ちょっと言い合いを始めてしまうアロンとティアン。
ぼんやり眺めていると、フランシスとジェフリーが店から出てきた。
「ん? どうしたの」
言い争うふたりを見て、フランシスが不思議そうに首を傾げた。
「ルイスを巡って争っている。実に醜い争いだな」
「適当なこと言うなよ、ユリス」
「どこが適当なんだ。事実だろ」
雑な返事するユリスは、絶対にこの状況を面白がっていた。
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