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第一章 祓い師
【壱】ー2
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うふふと女性らしい含み笑いを零しながらどこか浮足立っている様子の相手に晴明は名を呼んで釘を刺す。
「貴人。遊びに行くのではありません」
「分かってるわよー。だから普段は目立たないように控え目な格好にしてあげてるじゃない。人間に会わない時くらい許してほしいわ」
「その必要性を感じないのですが」
溜息を吐きながらそう言うと、貴人の白い頬が膨れ上がる。
「まったく晴明は乙女心が分からないんだから! あなたの隣を歩くためにはお洒落は必要不可欠なのよ!」
更に意味が分からなくなった。
右側の艶やかな黒髪を前から後ろへと編み込んで流し露になった漆黒の瞳。それは淡い照明に照らされて強い輝きを放っている。そして薄く血色の良い唇がポカンと僅かに開けられている様は何とも言えない気持ちにさせられるのだ。
他人からそんな風に見られていることなど晴明には分かるはずもないので、ただただ溜息を零すばかりだった。
「……まあ好きにしてください」
仕事に支障がなければ格好など何でもいい。貴人の言う通り“人間”と対面するわけではないのだから。
「明日は真面目にお願いします」
「あら? わたくしはいつも真面目よ。でも珍しいわね……釘を刺すなんて。今回の案件は厄介なの?」
「ええ……少々」
晴明はそれだけ言い残して部屋を後にする。背後でフッと照明の消える気配を感じながら此度の依頼について少し考えていた。
依頼主は大手企業のトップで買い取った廃虚の敷地に別荘を建てる計画をしている。
しかし取り壊し業者が入った辺りから奇妙な現象が起き始めた。
最初は気のせいだと思える程度の物音や何かの気配をただ感じるだけだったのだが、測定などの作業に人の出入りが激しくなってきた辺りでついに怪我人が出てしまった。
「貴人。遊びに行くのではありません」
「分かってるわよー。だから普段は目立たないように控え目な格好にしてあげてるじゃない。人間に会わない時くらい許してほしいわ」
「その必要性を感じないのですが」
溜息を吐きながらそう言うと、貴人の白い頬が膨れ上がる。
「まったく晴明は乙女心が分からないんだから! あなたの隣を歩くためにはお洒落は必要不可欠なのよ!」
更に意味が分からなくなった。
右側の艶やかな黒髪を前から後ろへと編み込んで流し露になった漆黒の瞳。それは淡い照明に照らされて強い輝きを放っている。そして薄く血色の良い唇がポカンと僅かに開けられている様は何とも言えない気持ちにさせられるのだ。
他人からそんな風に見られていることなど晴明には分かるはずもないので、ただただ溜息を零すばかりだった。
「……まあ好きにしてください」
仕事に支障がなければ格好など何でもいい。貴人の言う通り“人間”と対面するわけではないのだから。
「明日は真面目にお願いします」
「あら? わたくしはいつも真面目よ。でも珍しいわね……釘を刺すなんて。今回の案件は厄介なの?」
「ええ……少々」
晴明はそれだけ言い残して部屋を後にする。背後でフッと照明の消える気配を感じながら此度の依頼について少し考えていた。
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しかし取り壊し業者が入った辺りから奇妙な現象が起き始めた。
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