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第一章 祓い師
【参】ー5
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晴明は上着のポケットを探り、懐中電灯から小型のナイフに持ち替える。
「こんなところに餓鬼、ですか……」
餓鬼は餓鬼道、つまり地獄により近い世界にいるはずのモノだ。それが人間道にこんなに沢山現れるのは異常事態すぎる。
手にしたナイフを揃えた二本の指でサッと撫でつけ、向こう見ずに飛び掛かって来る餓鬼を切りつける。
霊力を注いだナイフはそれなりに効果があり、餓鬼程度の相手ならば簡単に退かせることが出来る。ただ数が多いのが厄介だが……。
少しでも刃が届けば浄化作用により一時的に動きを封じることができる。
正面に来た敵を一振りで撃退し、次いで横から来た敵を振り向きざまにナイフを手の中で返し真っ直ぐ薄い胸に突き立てた。
ギャア! と耳障りな悲鳴を間近で聞いた晴明は堪らず眉を寄せた。
一歩踏み込んで体重を掛けた分かなり深くまでナイフが刺さっている。
それを一気に引き抜こうと力を込めた晴明の手を最後の悪あがきと餓鬼が掴んだことで一瞬遅れを取った。
複数の餓鬼が一斉に飛び掛かって来る――。
「何やってるんだ!」
騰蛇は晴明に憤慨するなり身体から完全に離れると彼の周囲を囲むように自分の全身で円を描き纏う炎を強く燃え上がらせた。
壁となって阻む熱に餓鬼たちの悲鳴が空気を揺らす。
炎の輪の中に血の付いたナイフを手に一人佇む晴明。そんな彼を炎の向こう側で餓鬼たちが行ったり来たりしながら睨みを利かせている。
同胞の悲痛な悲鳴と炎に焼かれた骸を目の当たりにし、怒っているのか恐怖しているのか……恐らく両方だろう、足踏みしては攻撃の機会を窺っているようだ。
「長くは持たないぞ……一旦戻って対策を練った方がいいんじゃないか?」
騰蛇の言葉を聞きながらも餓鬼に注目していた晴明は違うことを考えていた。
見た目は知っている姿と相違ないが、餓鬼たちの行動は明らかに奴等らしくない。というのも、我が先行する性質で仲間意識など持ち合わせていないはずなのだ。
「こんなところに餓鬼、ですか……」
餓鬼は餓鬼道、つまり地獄により近い世界にいるはずのモノだ。それが人間道にこんなに沢山現れるのは異常事態すぎる。
手にしたナイフを揃えた二本の指でサッと撫でつけ、向こう見ずに飛び掛かって来る餓鬼を切りつける。
霊力を注いだナイフはそれなりに効果があり、餓鬼程度の相手ならば簡単に退かせることが出来る。ただ数が多いのが厄介だが……。
少しでも刃が届けば浄化作用により一時的に動きを封じることができる。
正面に来た敵を一振りで撃退し、次いで横から来た敵を振り向きざまにナイフを手の中で返し真っ直ぐ薄い胸に突き立てた。
ギャア! と耳障りな悲鳴を間近で聞いた晴明は堪らず眉を寄せた。
一歩踏み込んで体重を掛けた分かなり深くまでナイフが刺さっている。
それを一気に引き抜こうと力を込めた晴明の手を最後の悪あがきと餓鬼が掴んだことで一瞬遅れを取った。
複数の餓鬼が一斉に飛び掛かって来る――。
「何やってるんだ!」
騰蛇は晴明に憤慨するなり身体から完全に離れると彼の周囲を囲むように自分の全身で円を描き纏う炎を強く燃え上がらせた。
壁となって阻む熱に餓鬼たちの悲鳴が空気を揺らす。
炎の輪の中に血の付いたナイフを手に一人佇む晴明。そんな彼を炎の向こう側で餓鬼たちが行ったり来たりしながら睨みを利かせている。
同胞の悲痛な悲鳴と炎に焼かれた骸を目の当たりにし、怒っているのか恐怖しているのか……恐らく両方だろう、足踏みしては攻撃の機会を窺っているようだ。
「長くは持たないぞ……一旦戻って対策を練った方がいいんじゃないか?」
騰蛇の言葉を聞きながらも餓鬼に注目していた晴明は違うことを考えていた。
見た目は知っている姿と相違ないが、餓鬼たちの行動は明らかに奴等らしくない。というのも、我が先行する性質で仲間意識など持ち合わせていないはずなのだ。
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