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第一章 祓い師
【伍】ー5
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「あんたも変わらないな」
「それはお互い様だろう」
霊符の設置を済ませた晴明は印を結んで術を発動する。それを遠目で見ながら男は淡々と返した。
「他の連中はどうした? 永遠の忠誠を誓っている割に薄情なことだな。まさかとは思うが……拒まれたのか?」
「……あんたには関係ないだろ。昔とは違う、今はオレたちふたりで十分だ」
「それはどうかな」
「? ……何が言いたい?」
「言いたいことなど山ほどあるが、まずは仲間の事をどうにかするのが先だろう」
指摘され、騰蛇は丸い目をスッと細めて晴明に寄り添う貴人を見た。騰蛇もその異変に気付いている。それも随分前から……。
「それこそ、あんたには関係ないことだ」
「はっ。関係ない……?」
人を食ったような笑いを含んだ声だったが、こっちを見下ろした男の目には怒気の色が孕んでいる。
騰蛇はコクリと唾を飲み込んだ。
自分の姿も蛇ではあるが、蛇に睨まれた蛙の気持ちが良く分かる。
「怒るなよ……。兎に角、あいつのことはこっちでどうにかする」
暫く向けられていた刺すような視線が緩んだことで、騰蛇もひっそりと息を吐く。
「――それで、何があった?」
もう男の視線は晴明に向けられている。切り替えが非常に早い。
男が気にしているのは再会してから曖昧になっている晴明の今の状態だろう。
「夢見が悪かったのはオレも初耳だけど、昨日霊力を使い過ぎたせいで寝過ごしたんだ。体調は戻ってると思うけど多少まだ尾を引いてるんだろうな」
「ずっとそんな状態か?」
「昔と違って今は邪気が蔓延していること自体少ないんだ。瘴気ともなれば尚身体に害を及ぼす。でも最初の頃と比べると耐性も付いて来たから動きも軽くなった方だぞ」
男は説明を聞きながらもそれ以降口を開かず、ただ晴明の動きを目で追っているだけだった。
「それはお互い様だろう」
霊符の設置を済ませた晴明は印を結んで術を発動する。それを遠目で見ながら男は淡々と返した。
「他の連中はどうした? 永遠の忠誠を誓っている割に薄情なことだな。まさかとは思うが……拒まれたのか?」
「……あんたには関係ないだろ。昔とは違う、今はオレたちふたりで十分だ」
「それはどうかな」
「? ……何が言いたい?」
「言いたいことなど山ほどあるが、まずは仲間の事をどうにかするのが先だろう」
指摘され、騰蛇は丸い目をスッと細めて晴明に寄り添う貴人を見た。騰蛇もその異変に気付いている。それも随分前から……。
「それこそ、あんたには関係ないことだ」
「はっ。関係ない……?」
人を食ったような笑いを含んだ声だったが、こっちを見下ろした男の目には怒気の色が孕んでいる。
騰蛇はコクリと唾を飲み込んだ。
自分の姿も蛇ではあるが、蛇に睨まれた蛙の気持ちが良く分かる。
「怒るなよ……。兎に角、あいつのことはこっちでどうにかする」
暫く向けられていた刺すような視線が緩んだことで、騰蛇もひっそりと息を吐く。
「――それで、何があった?」
もう男の視線は晴明に向けられている。切り替えが非常に早い。
男が気にしているのは再会してから曖昧になっている晴明の今の状態だろう。
「夢見が悪かったのはオレも初耳だけど、昨日霊力を使い過ぎたせいで寝過ごしたんだ。体調は戻ってると思うけど多少まだ尾を引いてるんだろうな」
「ずっとそんな状態か?」
「昔と違って今は邪気が蔓延していること自体少ないんだ。瘴気ともなれば尚身体に害を及ぼす。でも最初の頃と比べると耐性も付いて来たから動きも軽くなった方だぞ」
男は説明を聞きながらもそれ以降口を開かず、ただ晴明の動きを目で追っているだけだった。
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