陰陽転化

煙々茸

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第二章 人形の怪

【参】ー6

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「心配してくれているのかい? 君は優しいな」
「そうじゃないっ。妖は人を欺き弄ぶことが大好きなんだ。そうせずにはいられないのさ。仲良くしようなんて思うな。いつか後悔するぞ」
「もちろん私だって全てを信じるわけではないよ。それでも、疑って後悔するより信じて後悔する方がずっといい」
 終始穏やかな川が流れるように晴明の態度は変わらなかった。
 もう飽きたとばかりに妖狐はそっぽを向く。
「はっ……。どこまでもお人好しだな。まあ好きにしたらいいさ」
「うん、そうするよ。ーーして、君のことはなんと呼んだらいいかな?」
「………」
 キッと睨んでくる妖狐に晴明はニコニコ顔で首を傾げた。


 *****


 夜が更けた頃――。
 眠る晴明の布団がもそもそと何かが這うように動く。
 それは小さな隙間を作って布団から抜け出すと外の気配を探るように動きを止めた。
「妙だな……」
 そう独り言ちたのは白蛇の騰蛇だった。
 布団を振り返れば深い眠りに落ちている御屋敷晴明の寝息が聞こえてくる。
 今日は何度も封印を施したことで霊力を消耗したからきっと簡単には起きないだろう。
 叩いたりして刺激を与えれば別だが、極力休ませてやりたい。
 ――仕方ない。
 少し様子を見てこようと部屋を抜け出し、スルスルと廊下の端を滑っていく。
 僅かな照明が点いているだけの廊下を進み、二度ほど突き当たりを曲がって受付の方へと近付く。この先に妙な気配がするのだ。
 ――強い力を持った何者かが泊まりに来たのか?
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