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「あなたねぇ、わかってるの⁈アタシはあんたに色々嫌がらせしたでしょう!なんでそんなのと友達になんてっ」
「それはそうなんだけど。あなたは転生者よね?日本語ってことはわたしと同じよね?久しぶりに向こうのお話したいわ」
ワナワナ震えているけど、なんだか寂しそうだった。だからついついお話してたんだけど、意外と楽しかったのだった。
彼女は前世、高校生の時に歩道に突っ込んできた車に轢かれて亡くなったらしい。家族からは無視されて友達もできなくて、唯一ゲームだけが彼女の心を癒してくれていたそう。
そこで目当てのウィルを攻略しようと思ったけど彼は裏ルートでしか出なくて、王太子殿下ルート攻略後にあることをすると時間が巻き戻る。そこから攻略できるのだそうだ。
ただ、そのウィルのルートというのが攻略難易度が高くて、学園卒業後に娼館へ行きそこでたまたま買われるのだとか。そこからのスタートになっていて、それ以前は王太子殿下は公爵令嬢と結ばれているらしい。
なるほど、だから色々おかしくなったのか。
よくよく聞いてみると彼女は確かに推しキャラであるウィルのことは推しとして好きだけど、恋愛感情はないらしい。
でもどうしていいかもわからないから、そのまま攻略しようとしていたのだとか。
そこで邪魔になったのがわたしで、嫌がらせを頑張っていたんだって。
「そう、あなたも大変だったのね……わたしは周りに恵まれていたから普通に生活してこれたけど、あなたのおうちも確かあまり環境が良くなかったんじゃなかった?」
「うん。使用人同然の扱いを受けていたよ。ゲームだからって割り切ってたけど、それでも辛かった」
乙女ゲームあるあるで主人公は大概恵まれない環境の子が多い。そんな中に突っ込まれたらどうしていいかわかんないよね。頼れる人もいないし知ってるのはゲームの知識だけで。なら……
「よし、やっぱりお友達になりましょう!わたし女の子の友達いないの」
「あんなに暴言吐いたのに……?」
「あなたがよければ!」
ヒロインちゃんは涙目でわたしの手を掴んでブンブン振ってる。可愛い。
「うん、うんっ」
二人で笑い合っているとバンっと音がして驚いて振り向く。
「貴様……ローズから離れろ!」
「ちょちょちょっ待って!待って!」
扉から現れた主を慌てて止める。もう顔が鬼のようだ。どうやったら……あっ
抱きついて彼の顔を下に向けてちゅってキスをする。
ぴたりと彼の動きが止まった。
「っ、ローズ、どういうことだ」
「お友達になったの!だからもう大丈夫っ」
ウィルは目を見開いて驚いている。彼女の許可を得て話してあげた。
「んー。ならいいやつ紹介してやるよ」
ニヤリと笑ってわたしとヒロインちゃんことルージェを外へ連れ出した。
三人で向かったのはとある居酒屋の個室。夜だから他の店が空いてなかったのもあるけど。
「急にこんなとこ呼び出すなよ。一体なんの……ってその人誰?」
「ルージェ・トリトンと申します。この度は多大なご迷惑を……」
「え?なんで?」
混乱しまくっているマクルトに事情を説明する。世話焼きのマクルトはすぐに彼女と仲良くなっていた。
「じゃあ、俺が面倒見てやるよ。やっと一番手の焼けるのが二人離れたし」
ニヤニヤしながらわたしとウィルを見るマクルトに二人揃って怒った。
ひとまずヒロインちゃんは娼館にある住まいに住んで、お家の事情をどうにかするまでマクルトが手伝うことにしたらしい。
わたしもすっかりヒロインちゃんが気に入って、お手伝いすることに。わたしが手伝うというと嫌な顔をしたウィルだったけど、結果的に手伝ってくれることになった。
ヒロインちゃんの件が丸く収まりつつあり、ふと思った。
わたし、ここにいる必要はもうないよね……? と。元々は得体の知れなかったヒロインちゃんからの攻撃を避けるために一緒にいたわけで、このままここにいる必要はない。
「ねぇウィル。わたしもう家に帰ってもいい?ルージェの件も片付いたし……」
「そう言えばそうだな。いやだが、まだ侯爵令息の件が片付いていない」
「え?なんの話もないからてっきり終わってるものだと……」
「それが何も掴めないんだよ。それはそうと明日王太子殿下と話に行くからな」
え、何サラッと言ってるのかしら……
準備しなきゃ……
そして四人で馬車に乗り込み、この間行った屋敷へ向かった。
屋敷にはもう王太子殿下と公爵令嬢の姿があった。
「来てもらってすまないな。そちらがルージェ嬢か。楽にしていい」
「はい、ありがとうございます」
「そちらの事情は聞いたよ。どうやら彼女は例の件に関しては全く関与していないようだな」
「そのようだ。ローズが懐いたんだ。悪い奴じゃないだろう」
王太子殿下とウィルが話している。なんだかよくわからない話だ。
「ルージェ嬢、君の知っている限りでいい。トリトン男爵家でのことを話してくれないか」
そこからルージェは語り始めた。
「それはそうなんだけど。あなたは転生者よね?日本語ってことはわたしと同じよね?久しぶりに向こうのお話したいわ」
ワナワナ震えているけど、なんだか寂しそうだった。だからついついお話してたんだけど、意外と楽しかったのだった。
彼女は前世、高校生の時に歩道に突っ込んできた車に轢かれて亡くなったらしい。家族からは無視されて友達もできなくて、唯一ゲームだけが彼女の心を癒してくれていたそう。
そこで目当てのウィルを攻略しようと思ったけど彼は裏ルートでしか出なくて、王太子殿下ルート攻略後にあることをすると時間が巻き戻る。そこから攻略できるのだそうだ。
ただ、そのウィルのルートというのが攻略難易度が高くて、学園卒業後に娼館へ行きそこでたまたま買われるのだとか。そこからのスタートになっていて、それ以前は王太子殿下は公爵令嬢と結ばれているらしい。
なるほど、だから色々おかしくなったのか。
よくよく聞いてみると彼女は確かに推しキャラであるウィルのことは推しとして好きだけど、恋愛感情はないらしい。
でもどうしていいかもわからないから、そのまま攻略しようとしていたのだとか。
そこで邪魔になったのがわたしで、嫌がらせを頑張っていたんだって。
「そう、あなたも大変だったのね……わたしは周りに恵まれていたから普通に生活してこれたけど、あなたのおうちも確かあまり環境が良くなかったんじゃなかった?」
「うん。使用人同然の扱いを受けていたよ。ゲームだからって割り切ってたけど、それでも辛かった」
乙女ゲームあるあるで主人公は大概恵まれない環境の子が多い。そんな中に突っ込まれたらどうしていいかわかんないよね。頼れる人もいないし知ってるのはゲームの知識だけで。なら……
「よし、やっぱりお友達になりましょう!わたし女の子の友達いないの」
「あんなに暴言吐いたのに……?」
「あなたがよければ!」
ヒロインちゃんは涙目でわたしの手を掴んでブンブン振ってる。可愛い。
「うん、うんっ」
二人で笑い合っているとバンっと音がして驚いて振り向く。
「貴様……ローズから離れろ!」
「ちょちょちょっ待って!待って!」
扉から現れた主を慌てて止める。もう顔が鬼のようだ。どうやったら……あっ
抱きついて彼の顔を下に向けてちゅってキスをする。
ぴたりと彼の動きが止まった。
「っ、ローズ、どういうことだ」
「お友達になったの!だからもう大丈夫っ」
ウィルは目を見開いて驚いている。彼女の許可を得て話してあげた。
「んー。ならいいやつ紹介してやるよ」
ニヤリと笑ってわたしとヒロインちゃんことルージェを外へ連れ出した。
三人で向かったのはとある居酒屋の個室。夜だから他の店が空いてなかったのもあるけど。
「急にこんなとこ呼び出すなよ。一体なんの……ってその人誰?」
「ルージェ・トリトンと申します。この度は多大なご迷惑を……」
「え?なんで?」
混乱しまくっているマクルトに事情を説明する。世話焼きのマクルトはすぐに彼女と仲良くなっていた。
「じゃあ、俺が面倒見てやるよ。やっと一番手の焼けるのが二人離れたし」
ニヤニヤしながらわたしとウィルを見るマクルトに二人揃って怒った。
ひとまずヒロインちゃんは娼館にある住まいに住んで、お家の事情をどうにかするまでマクルトが手伝うことにしたらしい。
わたしもすっかりヒロインちゃんが気に入って、お手伝いすることに。わたしが手伝うというと嫌な顔をしたウィルだったけど、結果的に手伝ってくれることになった。
ヒロインちゃんの件が丸く収まりつつあり、ふと思った。
わたし、ここにいる必要はもうないよね……? と。元々は得体の知れなかったヒロインちゃんからの攻撃を避けるために一緒にいたわけで、このままここにいる必要はない。
「ねぇウィル。わたしもう家に帰ってもいい?ルージェの件も片付いたし……」
「そう言えばそうだな。いやだが、まだ侯爵令息の件が片付いていない」
「え?なんの話もないからてっきり終わってるものだと……」
「それが何も掴めないんだよ。それはそうと明日王太子殿下と話に行くからな」
え、何サラッと言ってるのかしら……
準備しなきゃ……
そして四人で馬車に乗り込み、この間行った屋敷へ向かった。
屋敷にはもう王太子殿下と公爵令嬢の姿があった。
「来てもらってすまないな。そちらがルージェ嬢か。楽にしていい」
「はい、ありがとうございます」
「そちらの事情は聞いたよ。どうやら彼女は例の件に関しては全く関与していないようだな」
「そのようだ。ローズが懐いたんだ。悪い奴じゃないだろう」
王太子殿下とウィルが話している。なんだかよくわからない話だ。
「ルージェ嬢、君の知っている限りでいい。トリトン男爵家でのことを話してくれないか」
そこからルージェは語り始めた。
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