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相変わらず視線が痛いけど、徐々にそれも緩和されてきている気がする。きっとミーシャ様が色々やってくれてるみたい。だって彼女達ミーシャ様と視線が合うと目に見えてビクッと肩を震わせてるんだもの。わかりやすいというか、なんというか。
周りを観察していたわたしはあることに気づく。シャルル様にとても睨まれている気がする……
思わず視線を逸らしてしまい、そのままテキストに視線を向ける。勉強しなくちゃ……
そうして月日は流れて、体育祭の時期に近づいていった。
どうやらここの体育祭は自由参加らしい。大抵女性は参加せず、男性の活躍を見て楽しむ催しになっているのだとか。ちなみにクロウ様も参加できないらしい。身体能力がずば抜けていて、勝負にならないのだとか。すごいなって思ってたら、「面倒だからちょうどいい」って言ってた。どうやらこういう行事ごとは嫌いなようで、去年もサボってたみたい。
今年はわたしもいるからって観戦するみたいだけど。
そうして私たちは三人で観戦席にいたのだけれど……
「あっ、ここにいたんですねぇ。私も一緒にいいですかぁ?」
言わずもがな、例のあのこである。ぴったりクロウ様に寄り添ってあれやこれやと話しかけている。そんなあのこを無視しているいつも通りの光景だった。
ちょっと騒がしいなって思っていたらお手洗いに行きたくなって、ミーシャ様がついてきてくれた。あの日以来ミーシャ様は必ずついてきてくれて、根拠のない噂を広げている人たちがいれば注意して歩いている。
わたしのためにやってくれていることがありがたくもあり、ちょっと申し訳なかった。
廊下を歩いていると先生に呼び止められた。
「ミーシャ嬢、ちょっときてくれ」
「いえ、アメリアを送ってからでも?」
「すぐ済むから」
「……アメリア、わたしが戻ってくるまでここで待っててくれる?」
「はい」
ミーシャ様が先生に連れられて行ってしまった。けれど、わたしは我慢できなくなって、ついお手洗いに急いでしまう。少しだけ、少しだけ。流石に生理現象まで我慢できない。
お手洗いを済ませてさっきの場所へ戻ろうとした時、何かの匂いが漂ってきて、わたしは意識を失ってしまった。
ん、ここ、どこ……?
真っ暗な部屋の中、小窓からの明かりしか見えない。どこかの、部屋?
周りを見渡すけど、埃っぽいことしかわからない……
手探りで出口を探すと扉のようなものを見つける。扉を開けようと引っ張ったり押したりしてみたけどびくともしない……
これ、閉じ込められた……?
そういえば小説にもこんなことが書いてあったような……
閉じ込められたのはシャルル様で、閉じ込めたのは……
ピンク色の髪の女の子……?
この学園にはいなかったはず。誰が……
あ、れ、わたしの髪の色って……
ピンク色だ。普段はウィッグをかぶっていて、隠しているけど、よく考えたらそうだ。ということは小説の中の悪役って、わたしのこと……?
え、まって……ということは、クロウ様の婚約者でシャルル様をいじめてたのは、わたし……?
でも、わたしはクロウ様と婚約していないしそもそも平民だから貴族とは結婚できないはず……
それにこの状況、どう考えてもわたしの方がいじめられてるんじゃ。
もしかして、死ぬ前にチラリと読んだ流行りの悪役令嬢が活躍して幸せになるやつに変わってきている……?
いやでも、わたし、あんな主人公のように強くもないし、むしろみんなに守ってもらってるし……
どういう、こと……?
訳がわからなくなって、呼吸が浅くなる。なんだかだんだん苦しくなってくる。
あ、これ、過呼吸……? 何か、袋を探さないと……
ああ、頭がだんだんぼやけてくる。
ふと意識が途切れてしまった。
そんなわたしの耳から言葉が聞こえてくる。
『早くいなくなりなさいよ。彼の隣にいるのはわたしなの。それにあなた……あの人ね。どおりで見つけられないと思ってたのよ。早くわたしをいじめなさいよ。じゃないと小説通りに行かないじゃないっ』
どういう意味だろう……
小説通りって、彼女もあの小説を知っている……?
だからその通りに動こうとしてたの……?
だからわたしが邪魔で、こんなことをしてたの……?
誰かに抱きしめられた気がして、意識が浮上する。
「あ、れ……」
「気がついた? 体おかしいところはない?」
「アメリア、ごめんなさい。わたしがあの時離れなければ……」
心配そうにわたしを見るクロウ様に涙をポロポロ流すミーシャ様。
「大、丈夫。ちょっと寝てただけ」
「……医務室に行こうか」
そのままわたしは横抱きにされて医務室へ連れて行かれた。周りが好奇の目で見てきていてちょっと恥ずかしかった。
手早く診察されて、特に異常ないって言われて、そのまま部屋へ帰った。先生にはクロウ様が許可をもらってくれたみたい。
酸欠状態だったのか頭がぼーっとする。
誰かいたような気がしたけど、気のせいかな……
周りを観察していたわたしはあることに気づく。シャルル様にとても睨まれている気がする……
思わず視線を逸らしてしまい、そのままテキストに視線を向ける。勉強しなくちゃ……
そうして月日は流れて、体育祭の時期に近づいていった。
どうやらここの体育祭は自由参加らしい。大抵女性は参加せず、男性の活躍を見て楽しむ催しになっているのだとか。ちなみにクロウ様も参加できないらしい。身体能力がずば抜けていて、勝負にならないのだとか。すごいなって思ってたら、「面倒だからちょうどいい」って言ってた。どうやらこういう行事ごとは嫌いなようで、去年もサボってたみたい。
今年はわたしもいるからって観戦するみたいだけど。
そうして私たちは三人で観戦席にいたのだけれど……
「あっ、ここにいたんですねぇ。私も一緒にいいですかぁ?」
言わずもがな、例のあのこである。ぴったりクロウ様に寄り添ってあれやこれやと話しかけている。そんなあのこを無視しているいつも通りの光景だった。
ちょっと騒がしいなって思っていたらお手洗いに行きたくなって、ミーシャ様がついてきてくれた。あの日以来ミーシャ様は必ずついてきてくれて、根拠のない噂を広げている人たちがいれば注意して歩いている。
わたしのためにやってくれていることがありがたくもあり、ちょっと申し訳なかった。
廊下を歩いていると先生に呼び止められた。
「ミーシャ嬢、ちょっときてくれ」
「いえ、アメリアを送ってからでも?」
「すぐ済むから」
「……アメリア、わたしが戻ってくるまでここで待っててくれる?」
「はい」
ミーシャ様が先生に連れられて行ってしまった。けれど、わたしは我慢できなくなって、ついお手洗いに急いでしまう。少しだけ、少しだけ。流石に生理現象まで我慢できない。
お手洗いを済ませてさっきの場所へ戻ろうとした時、何かの匂いが漂ってきて、わたしは意識を失ってしまった。
ん、ここ、どこ……?
真っ暗な部屋の中、小窓からの明かりしか見えない。どこかの、部屋?
周りを見渡すけど、埃っぽいことしかわからない……
手探りで出口を探すと扉のようなものを見つける。扉を開けようと引っ張ったり押したりしてみたけどびくともしない……
これ、閉じ込められた……?
そういえば小説にもこんなことが書いてあったような……
閉じ込められたのはシャルル様で、閉じ込めたのは……
ピンク色の髪の女の子……?
この学園にはいなかったはず。誰が……
あ、れ、わたしの髪の色って……
ピンク色だ。普段はウィッグをかぶっていて、隠しているけど、よく考えたらそうだ。ということは小説の中の悪役って、わたしのこと……?
え、まって……ということは、クロウ様の婚約者でシャルル様をいじめてたのは、わたし……?
でも、わたしはクロウ様と婚約していないしそもそも平民だから貴族とは結婚できないはず……
それにこの状況、どう考えてもわたしの方がいじめられてるんじゃ。
もしかして、死ぬ前にチラリと読んだ流行りの悪役令嬢が活躍して幸せになるやつに変わってきている……?
いやでも、わたし、あんな主人公のように強くもないし、むしろみんなに守ってもらってるし……
どういう、こと……?
訳がわからなくなって、呼吸が浅くなる。なんだかだんだん苦しくなってくる。
あ、これ、過呼吸……? 何か、袋を探さないと……
ああ、頭がだんだんぼやけてくる。
ふと意識が途切れてしまった。
そんなわたしの耳から言葉が聞こえてくる。
『早くいなくなりなさいよ。彼の隣にいるのはわたしなの。それにあなた……あの人ね。どおりで見つけられないと思ってたのよ。早くわたしをいじめなさいよ。じゃないと小説通りに行かないじゃないっ』
どういう意味だろう……
小説通りって、彼女もあの小説を知っている……?
だからその通りに動こうとしてたの……?
だからわたしが邪魔で、こんなことをしてたの……?
誰かに抱きしめられた気がして、意識が浮上する。
「あ、れ……」
「気がついた? 体おかしいところはない?」
「アメリア、ごめんなさい。わたしがあの時離れなければ……」
心配そうにわたしを見るクロウ様に涙をポロポロ流すミーシャ様。
「大、丈夫。ちょっと寝てただけ」
「……医務室に行こうか」
そのままわたしは横抱きにされて医務室へ連れて行かれた。周りが好奇の目で見てきていてちょっと恥ずかしかった。
手早く診察されて、特に異常ないって言われて、そのまま部屋へ帰った。先生にはクロウ様が許可をもらってくれたみたい。
酸欠状態だったのか頭がぼーっとする。
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