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いじめ
バットが顎にクリーンヒット
しおりを挟む中学生活が始まって
みんな、初めての部活動にワクワクしていた。
ちなみに私はソフトボール部に入部を決めていた。
お母さんもお父さんも中学生のとき
ソフトボール部だったから。
しかし、私は校内最強と言ってもいいほど
運動音痴だった。
100m走は20秒代。
しっかり走れよ!!と言われるが
精一杯走っている。
特にボールを投げるのは下手くそで
一緒に入部した同級生達からは
すぐに嫌われた。
2人1組でキャッチボールをするのだが
私が暴投ばかりするので
誰も私とキャッチボールしてくれなくなった。
先輩達にも嫌われた。
特に先輩達は、絵里子と同じクラスの子が多く
私の持病がバレるまで
そう時間はかからなかった。
しんどい練習。
それ以上にみんなが私を避ける。
それが辛かった。
そんなある日、
初めての5教科テストがあった。
期末テストとかそういう感じの
成績に関わるやつだ。
部活動では、このテストで合計300点以下の者がいた場合
1週間、部停にする。と伝えられた。
部停になったりしたら
三年生の先輩達に大迷惑がかかる。
後日、そのテストの結果発表があった。
私は492点を取った。
学年1位だった。
後、8点だったのに。
と思う気持ちと
私が部停にしなくて良かったと
救われた気持ちだった。
その日の放課後、
いつも通り部活にいく。
部室が見えてきたとき
なんだか中が騒がしい。
「どうしてくれんだよ!!お前のせいで!!」
部室のドアを静かに開けると
イライラしている先輩達の顔が
飛び込んできた。
「ごめんなさい、、ヒクッ、、、グスッ」
泣いていたのは
同級生の真琴(まこ)という子だった。
なんと5教科の合計が100点以下だったらしい。
あれま。
その日は、みんなで運動場の外周を10周させられた。
連帯責任らしい。
6周目くらい走ったかな、というところで
顧問の先生に
私と真琴だけが呼び出された。
「田中が100本ノックしてやれ。」
なんと私が100本、球を打ち
真琴がそれをグローブで止めて回るという
メジャーやタッチでありそうな
熱烈練習シーンだった。
仕方ないから打ちまくった。
真琴は、なんでこんなやつが打ったボールを
受けなきゃいけないんだと
不服そうな顔をしながら
仕方なしにやっていた。
なんとか100本ノックが終わり
周りも薄暗くなってきた。
みんなも外周を走り終わり
みんな疲れ切っていた。
顧問「よし、今日は100本ノックのボール集めをして練習終わりや!明日から1週間は部停だからな!」と言い残し
職員室に戻っていった。
みんなは疲れ切った顔でボール集めを始めた。
バットを持ちながらダルそうに
ボールを集めまわる真琴の近くで
私もボール集めをしていた。
すると、
「はぁ。」
大きなため息が聞こえた。
真琴だった。
私は大丈夫?と声をかけた。
が、これが間違いだった。
急に真琴は私に近づいてきて
「なんで私が!!!」
と叫んだと思ったら
私の顎に衝撃と痛みが走った。
びっくりして私は、倒れ込んだ。
首に水が伝って流れる感覚がした。
首に手を当てると
手が血祭りになった。
周りのみんながびっくりして近寄ってくる。
誰かが先生を呼びにいったが
私の介抱は誰もせず。
私はひたすら顎付近から垂れてくる
血をひたすら体操服で拭っていた。
遠くから走ってくる顧問の姿が見えた。
「誰がやった!?
誰がやったんじゃ。ゴラァァ!!」と
叫びながら
すごい顔をしてやって来た。
みんなが真琴の顔を揃って見る。
顧問の先生がその瞬間、
真琴の胸ぐらを掴んで
近くにあった体育館の壁まで
真琴を追いやった。
お前は何をやっとるんや!?
こいつ(私)の頭にでも当たったらどうするんや!?
お前は責任取れるんか!?
などと言って真子を罵声していた。
私は、思った。
はやく誰か私の手当てをしてください。
結局、真琴はこっぴどく叱られた後
泣きながら帰っていった。
私は、やっと手当てしてもらい
血も止まった。
後から思えば、
誰かに守ってもらうとか
私をいじめる人を叱ってくれたのは
この顧問の先生が初めてでした。
そして家に帰り
親に今日の話しをした。
大丈夫か?と言われたが
すぐに今日のテスト結果はどうだった?と
そちらの方が心配だったようだ。
テストの結果を見せたら
「お。次も頑張れ。」
いつも通りの反応だった。
褒めはしない。
次も頑張れよ。
それだけだった。
自分の部屋に行き
クタクタの身体をベッドに沈める。
涙が溢れた。
声を押し殺し泣く。
血の味がする。
バットで殴られたこと、
テストは次も頑張ること、
色々考えた。
なんだか虚しくなって泣き
いつのまにか眠りについた。
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