23歳泣き虫ママ

いじめ

鏡の中の救世主

全身の血が引くのがわかった。


部室の中には、
鏡の破片が散らばっていた。


部室にはみんなに１つずつ
与えられた身の高さほどのロッカーが並んでいるのだが

そのロッカーの扉の外側に付いている鏡が
全て破れて床に散乱していた。





青ざめた顔の先輩達が口々に話し出した。


李乃亜のロッカーの鏡に

おじいさんが映って...

えっ！？ってなって...

見て！って私がみんなに言って...それで

急に鏡が落ちて割れて...

それと同時に全員のロッカーの鏡が

誰も触ってもないのに割れて...それで.....





と、みんなモゴモゴと震えた声で代わる代わる喋るから、もう何が何だか。



唖然として話しを聞いていた私に

何人かの先輩達や同級生達が


ごめんね！
もうしないから！
いままでちょっとからかってただけで、、
冗談だったの。



など、何故か始まる言い訳大会。



私はこの時、本当に訳がわからず
いや、別に怒ってないよ？と愛想笑いをしながらみんなを落ち着かせ帰宅した。








家に帰ると父方のおばあちゃんが
ご飯を作りながら待っていた。



あら？今日は部活なかったの？と聞かれたので

おばあちゃんにだけ、全てを話した。

さすがにいじめの事は言えないので
ちょっと部活で嫌なことがあったんだけど、その後、まるで私の恨み辛みを返すかのように
部室の鏡が割れたのだと。

しかも、おじいさんが映っただの
みんなおかしな事いってさー。と説明し終えると



おばあちゃんが驚いた顔をして

おじいちゃん...と呟いた。




きっと亡くなったおじいちゃんが
あんたを守ってくれたんやね。と
付け加えて言ってきた。



嘘だと言われれば仕方ないが
今日はたまたま、おじいちゃんの月命日だった。




ありがとう。おじいちゃん。