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貴方の顔
しおりを挟む…何かを言っている声が頭に響く
苦しそうな声だけど、マクシミリアン様の声だった。
声が私の胸に染み込んでいく。
マクシミリアン様を庇ったことで刺客に胸を刺され、温かいものが広がる感じがする。
当たりどころが良かったのか、いや刺客としては悪かったのかまだ私の意識はある。
…でも時間の問題だろう。
「…ソフィア!!!!」
ああ、貴方の声がする。
目を開けると自分が刺されたかのように苦しみ歪んだ顔のマクシミリアン様がいた。私を抱きしめる体が震えている。唇を噛み締め、今にも血がでそうだ。
震える手でなんとかマクシミリアンの唇に手を当てて、
「そんなに辛い顔をなさらないで」
と言ってなんとか微笑んだ。
その瞬間マクシミリアン様は驚いたような顔で私を見つめた。
どうしたのかしらと思いつつ、こぼれ落ちる命のタイムリミットを感じる。
なんとか愛の精霊さん。力を貸して。
唇に当てていた手でマクシミリアン様の
服を引っ張って近づいた。
最期くらい何をしても咎められないわ。
そう思うとなんでもできる気がした。
愛おしさを込めてマクシミリアン様の唇に自身の唇をそっと合わせた。
「…マクシミリアン様、…お慕いしております。ずっと昔か…」
言い切れなかったが、伝わっただろう。
命の灯火が消え行くのを感じる。
マクシミリアン様の声が聞こえた気がしたが、だんだん遠ざかっていく。
なんて言っているのか分からず、悔やみながら私は意識を手放した。
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