クールな武藤さん

白い恋人

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7話

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 私は今日、中学2年生になった。そして、当然ながらクラス替えが行われた。
 座席は真ん中の列の1番後ろ。そして、当然ながら周りには話せる人がいない。
 だから私はいつもどおり読書に集中する。


「……………武藤さん。ちょっといいですか?」
「っ!………ごめん、どれくらい私を呼んでた?」
 まさか話しかけられるなんて思ってもいなかった。ってこの人って………。
「えっと、今のが2回目です」
「そう。で、用はなに?可能なら手短にお願い」
 しまった。せっかく話しかけてくれたのに冷たくしちゃった!
「え、えと、少し話しませんか?」
「いや、いい」
 うぅ~、ホントは1年くらい他人と話したことないから恥ずかしいだけなのに冷たくしちゃう……。
「り、理由を聞いても?」
「第一に、私と貴方は初対面。そんな人と話す話題なんて無いと思うの」
 違う、違うのに~!なんでもいいから話したいのに~!
「でも、クラス替えしたばっかでせっかく席が隣同士ということもありますし。ていうか、僕は武藤さんと話がしたいんです」
 んなっ……!い、今私と話したいって……。
「あ、貴方、よくそんな恥ずかしいこと言えるわね」
 あ、思えば確かにみたいな顔してる。
「それと、貴方は気づいていないようだけど、私と貴方、ずっと話してるわよ」
 こ、この程度の言葉のキャッチボールで会話してるって言っていいのかな?多分大丈夫………なはず。
「そうだ。貴方の名前聞いてなかったね。なんて言うの?」
「あ、須藤 健二(すどう けんじ)です」
 須藤 健二くん……か。健二くんて呼ぶべきかしら?けど向こうは私のこと苗字呼びだし、初対面で名前呼びはキツイかな。
「そう、須藤くんね。よろしく」
 まずはあいさつよね。あいさつと言ったら握手よね。
「えっと、この手は?」
「握手に決まってるじゃない。友達になった人とはまず握手をする。それが基本でしょ?」
 ……あれ?違うのかしら。
「………そうですね。では、えと、よろしくお願いします」
 ん?なんか反応が微妙ね。
 っ、やっぱり男の子なのね。手ががっしりしてる。しっかりと守ってくれそうな……いや、何を考えてるの。
 って、もしかして今、知り合ったばかりの男の人と手を握り合ってる……?って、気づいたら緊張で……!
「………もうそろそろ離してくれない?」
「え、あ!すみません!」
「それと、敬語で話すのやめてくれない?私たちタメなんだし」
 それに距離も遠い感じがするし……。
「は、はい、わかりまし……じゃなくて、うん、わか…った」
「うん、まだなんかぎこちないけどそっちの方が私も話しやすい。ん、先生が来たね。じゃあ、またね」
「う、うん」

 ………はぁ、緊張した。
 それに友達か……。中学に入ってから初めての友達。………自分で言っておいてなんだけど、これくらいで『友達』って言って良かったのかな。……多分大丈夫よね。
 それより、少し気がかりだったのが、目が1度も合わなかった気がするのだけど………。
 というか、やっぱり彼……よね。
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