27歳、処女 〜みられて濡れて〜【完結】R18

月村 未来(つきむら みらい)

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第四章 GW 〜揺れて、ほどけて〜

57話 無防備な囁きと甘い余韻





帰宅したケイは部屋に戻り、脱いだ服をベッドの端に掛けると、カバンのポケットから小さな紙袋を取り出した。
──あやが帰り際に差し出してきたもの。

「あの、今日は1日運転ありがとう。大したものじゃないけど……これ、受け取ってもらえる?」

少し照れた声で渡された袋の中には、百貨店のチョコレートの箱と手書きのメッセージカードが添えられていた。





“たくさん運転していただいたので、ちょっとだけ糖分補給です。お口に合うと嬉しいです”

包装を破るのがもったいなくて、ケイはふっと微笑む。
敬語で書かれた丁寧な言葉に、心が甘く満たされる。





風呂上がり、ケイはあやにLINEを送った。

📱
「チョコありがとう。
ゆっくり食べてるけどすごく美味しい。
今日は楽しかったよ。
また会えるの、楽しみにしてる。」

眠る前、スマホの画面を何度も見返す。
彼の文字が胸にじんわりと染みていく。

あのとき、吊り橋の上で足がふらついて、彼に腕を掴まれた瞬間の温もり。
自然な距離感とそのぬくもりに、心が揺れていた。


あやも、『わたしも楽しかった』と送る前に、ほんの一瞬、口元がゆるんだ。








そして、静かな夜。
ケイはソファに寄りかかりながら、彼女のことを考えていた。

数日前、ゆうたがぽつりと言っていた言葉を思い出す。

「ああいう子は、無防備にぽろっと言うセリフがやばいんだよな」

その意味が今、胸にじわりと響いていた。

お店での穏やかな会話、
敬語じゃなくなったこと、
吊り橋で震えていたあの儚げな横顔、
そして帰り際、助手席であやが照れながらぽろっと言ったこと。

『ごめんね、これ…生で入れてて』

すぐに意味を察し、クスッと笑ってしまった自分。
彼女は慌てて「そういう意味じゃないから!」と耳まで赤くしていた。

胸の奥が熱くなる。
守ってやりたい――それは自然な感情だった。

「……あやちゃんのこと、好きなんだよな」

独り言のように呟き、ケイは小さく笑う。
もう、心の中では答えが決まっていた。


──好きだ。完全に。


だけど、彼女の気持ちはまだ掴めず、少しの不安もあった。

彼女のそばには、中学の同級生・りょうがいること。
彼女が何気なく話した「もったいないって言われた」――
あれは、りょうが彼女を女として見ている証拠だと感じていた。

「……ああいうの、わりと嫌なんだよな」

嫉妬に似たざらつきを感じながらも、ケイは焦らず、彼女のペースを大事にしたいと思った。

「好きだって、言いたいな」

けれど今は胸の内にしまい込み、彼女にもう少し優しく触れられる日を待つ。

部屋の灯りを消し、ベッドに横たわりながら、何度も彼女の名前を呼んだ。

会いたい。触れたい。
でも急ぎたくはない。
……誰にも渡したくない。

そんな矛盾した想いに揺られながら、ケイはその夜を過ごした。




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