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最終章 はじめての日
🩷117話 はじめての、終わり
「……かわいくて、たまらない……あや……」
ケイの唇が、あやのこめかみにそっと触れる。
その動きに連動するように、奥で、またゆっくりと、沈んでくる。
「んんっ……っ、や……っ」
甘い声が、ケイの首元に震える。
(どうして……っ、こんな……)
繋がったまま抱きしめられるたび、胸の奥がギュッとなって、あやの中の何かが、ひとつずつ、ほどけていくようだった。
感じてる。
でも──まだ、届かない。
焦がれるような切なさだけが残って、それでも、身体はケイに溶かされていく。
ケイの声が、吐息に混じる。
「……ゆっくりでいい。ちゃんと、あやに合わせるから……」
その言葉すら、奥に差し込まれるようで、あやの胸をいっぱいにしていった。
「……あや、だいじょうぶ……?」
あやは、目を細めたまま、首を振った。
「……うん、もう……あんまり痛くない……」
「よかった……無理しないで……」
その声に、ケイの優しさがにじんでいた。
けれど──その腰の動きからは、もう“余裕”なんてほとんど残っていなかった。
ケイがゆっくりとあやの上に体勢を戻した。
その視線は、優しくもあり、どこか征服者のそれでもあった。
「……あや……」
深く見つめる瞳の奥には、我慢できなくなってきた熱がにじんでいる。
でも、ケイはその熱を抑え込うように、慎重に動いていた。
(……ケイくん……汗、こんなに……)
(……わたしのせいで、こんなに必死に……)
あやの胸が、動きに合わせて上下に揺れる。
震える声が、途切れ途切れに漏れてくる。
「んっ……あっ……ん、あぁ……」
その声がケイの征服欲をかき立てる。
あまりにも素直に反応するあやが、愛しくてたまらなくなる。
「……ほんとに……もう……あや……たまらない」
しかし、ケイの心の奥底には、大切にしたい気持ちが確かにあった。
焦らず、あやのペースに寄り添おうとする優しさ。
けれど、身体は正直で、限界が近づいているのをケイ自身も感じていた。
かすかに寄った眉、熱を含んだ吐息、震える肩。
そして、腰の動きがすこしずつ速くなっていく。
「……あや……っ、あや……ごめん、もう……っ」
(……あ……)
(ケイくん……いきそうになってる……)
(わたしの中で……)
その事実が、胸の奥に甘く響いた。
嬉しくて、恥ずかしくて、そして──愛しかった。
(知らなかった……)
(男の人が、わたしで、こんなふうに感じてくれるなんて……)
(わたしで、いってくれるなんて……)
(……わたしは、“女”なんだ……ケイくんの、女……)
あやの心は、その激しさとは裏腹に穏やかだった。
ゆっくりと目を閉じ、心の中でそっとつぶやく。
(……いいよ、ケイくん……わたしの中で……いって)
はじめて、自分に欲情してくれて──
はじめて、自分の中で終わってくれる男。
その全てが、ただ愛おしくて、たまらなかった。
熱くて優しい、その重みを受け止めながら──
あやの中には、柔らかくてあたたかい安心感が、じんわりと広がっていく。
「んっ……んあっ……ケイくん……っ」
声が高くなって、震えが強くなる。
ケイは、切なげにあやの名前を何度も繰り返しながら──
その深くて熱い想いを、あやの奥に預けていった。
あやは、ケイの体がぴたりと止まった瞬間に、胸の奥がぎゅっと熱くなるのを感じた。
押し寄せる震えと、かすかに伝わる彼の息遣い。
ゴム越しに直接はわからなくても、その強い動きが途切れて、彼の背筋が小さく震えていることで――
何が起きたのか、すぐに理解してしまった。
「あっ……んっ……」
声にならない息が何度も漏れて、体が自然と反応してしまう。
心臓がドクドクと速く打って、息も少し苦しくなってきた。
(こんなに感じてしまうなんて……)
その感触があやの中に深く残って、もっと知りたくてたまらなくなっていった。
ゆっくりと動きが止まると、ケイはそのままあやを離さずに、ぎゅっと抱きしめた。
「……あや……」
低く、震えるような声が耳元に響く。
それは安堵であり、感謝であり、なによりも愛しさに満ちていた。
あやはその腕の中で、まだ心臓が早鐘を打っているのを感じながらも、少しずつ呼吸を整えていく。
(ケイくんの温度がずっと近くて、離れたくない)
あそこはまだじんじんしてるのに、心の奥は、妙に静かで、温かかった。
(……わたしで、いってくれた……)
(わたしは、ちゃんと“女”になった……)
「苦しくない?」
ケイが優しく問いかける。
「ううん、大丈夫……」
あやは小さく答えて、そっと顔をあげた。
その視線がケイの瞳と重なって、言葉じゃない、深い繋がりを感じた。
「ありがとう……」
ぽつりと零したその言葉に、ケイは微笑んだ。
「俺の方こそ……あやがいてくれてよかった」
抱きしめる腕が、ぎゅっと強くなる。
その温もりが、あやの全身を包み込んでいった。
(このままずっと、こうしていたい……)
二人の間に、言葉では言い尽くせない静かな幸福が流れていた。
しばらくして、ケイがゆっくりと腰を引き上げる気配が伝わってきた。
「あ……」
あやの中で、じんわりとあたたかかったものが、一瞬、ぽっと冷えていくような、そんな不思議な感覚が広がる。
「んっ……あっ……」
ズルッ、と抜けたコンドームには、わずかにあやの血液がついていた。
ケイはすぐにそれに気づき、不安そうにあやの顔を見つめる。
「……大丈夫?痛かった?」
あやは少し驚いたけれど、すぐにゆっくりと首を振った。
「ううん……ほんの少しだけで、もう痛くないみたい。大丈夫……」
ケイはほっとしたように、「よかった……」と呟いて、あやをぎゅっと抱きしめた。
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