27歳、処女 〜みられて濡れて〜【完結】R18

月村 未来(つきむら みらい)

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第二章 目覚め 〜名前を知らない熱〜

15話 再来訪





朝から、空気が違っていた。

出勤してすぐ、営業アシスタントの美緒が、受付に顔をのぞかせる。

「佐伯さん、今日の10時、またクリエイツ地所さん来るって。風間さんって方、前にも……」

「……あ、はい……知ってます」

落ち着いた声で返したつもりなのに、心の中では、喉が詰まりそうなほど跳ね上がっていた。

(来る……今日、また……)

スーツを、いつもより少しだけ深く整え直す。
鏡の前で髪の乱れを確認してから、あやはそっと息を吸い込んだ。




9:58。
エレベーターのドアが開く。

一歩ずつ、ゆっくりと歩いてくる男性。
周囲のざわめきが一瞬だけ遠くなって、あやの視線は、自然に彼へと吸い寄せられていた。

「……お世話になります」

その声。
聞き間違えるはずがない。――風間さん。

目が合った。ほんの3秒ほど。
でも彼の視線はまっすぐで、まるであやだけを見つめるように向けられていた。

その眼差しが、ふいに少しだけ緩んで――
ほんの一瞬、柔らかく笑った。


「……お疲れさまです」

(……あ……)

今度は、彼のほうから声をかけてきた。

あやは一瞬、言葉を失いかける。


「こ、こんにちは……またお越しいただいて……」

自分でも驚くほど小さな声で、でもどうにか言葉を返した。

風間さんは少しだけ身を寄せるようにして、あやの耳だけに届くような低い声で言った。


「先日は……急ぎすぎて、ちゃんとご挨拶できなかったので」

「……いえ、そんな……」

(や、やだ……近い……)

香水ではない。
スーツの繊維にほのかに残る、柔らかくあたたかい香り。
きつくないのに、男の人の匂いだって、はっきりわかってしまう。

「これ、担当の方にお渡しいただけますか?」

彼が手渡してきたのは、薄い書類と、もう一枚――封筒。

その表には、小さく書かれていた。

『佐伯様』

「……また、何かの折に」

そう言って、彼は目を細めた。

あやがうなずくより先に、彼は丁寧に一礼し、会議室へと向かっていった。



たった数分。
それなのに、全身に火照りが残っていた。

封筒を受け取った指先が、かすかに震えている。

……名前。
……わたしに。

(どうして……?
わたし……また夢、見ちゃうかも……)






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