続・27歳、処女 〜初めては終わらない〜【完結】R18

月村 未来(つきむら みらい)

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第一章 はじめての朝、はじめての報告

🩷5話 ケイくんが、好き







彼の背中に、あやはそっと手をまわして優しく撫で返した。

その瞬間、ケイの動きが少しだけ深く、強くなる。
奥の方を、ゆっくりと──でも逃がさないように、確かめるように。

「……あや……もう少しで……」

耳元に落ちた声が、あやの身体をびくっと震わせた。

(……くる、ケイくん……)

その気配を肌で感じて、胸の奥がきゅうっと熱くなる。

「んっ……ケイくん……わたしも……っ、なんか……っ」

言葉がうまく出ない。
けれど、身体が全部、答えていた。

奥が甘く締まりそうになる感覚。
ケイの熱がぐっと深くまで届いて──

「……っ、あや、もう……っ」

息を詰めるように抱きしめられた瞬間、
あやの胸の奥からも、何かがほどけるように溢れた。

「ん、あっ……ケイくん……ぁ……っ」

ひとつになる感覚が、波のように全身を打ち寄せていく。
何も考えられなくて、ただ彼の名前だけが、甘い声になってこぼれた。

どくん、どくん……と、重なる鼓動。
抱きしめられる腕が、最後まで優しかった。

息が混ざって、熱が沈んでいくまで、ふたりはしばらく、ぴったりと離れずにいた。

カーテン越しの光の中で、すべてが満たされていくのを、静かに感じながら──。



ケイの胸に頬を寄せたまま、あやはしばらく無言でいた。
けれど心はたしかに、静かに溶け合っていた。
腕の中が、こんなにも落ち着く場所になるなんて、知らなかった。

(……もう、ほんとに……)
(わたし、この人のこと――)

「……ケイくん」

小さな声で名前を呼ぶと、ケイが静かに頷く。

「ん、なに?」

あやは少しだけ顔を上げ、彼の目を見つめた。
言葉が喉の奥で迷ったけれど、それでも口に出したかった。

「……好き」

言った瞬間、心臓がどくんと跳ねた。
でも、ちゃんと伝えたくて。
その目をまっすぐ見つめる。

ケイの瞳がふっと細くなり、そっとあやの頬にキスを落とした。
少しだけ息を吸い込むようにして、低く囁く。

「俺も……好きだよ」

そのまっすぐな声に、胸の奥がぎゅっとしびれる。
言葉にしてくれたことが、ただ嬉しくて。
シーツの中で手をつなぎながら、あやはぽつりとつぶやいた。

「昨日より……ううん……痛くなかった、今日は」

「うん……よかった」

「そ、それに……」

恥ずかしさがこみ上げて、一瞬言葉が詰まる。
ケイが、そっと問いかけるように微笑んだ。

「ん? なに?」

「……ちょっと、き、気持ち……よかった……」

ふわっと、彼の手があやの指をきゅっと握り返す。

「そっか……よかった。俺も、すごく……あやちゃんの全部が、愛しかったよ」

あやの目の奥が熱くなった。

そのまま、もう一度シーツの中でぴったり身体を寄せる。
明るい朝なのに――
ふたりの間に流れる空気は、昨夜よりも、もっと深くてあたたかい。

(これが……恋なんだ)

そう確信した心が、静かに、でも力強くうなずいていた。

カーテンのすき間から射し込む光が、ケイの髪に小さなきらめきを落としている。

あやはその輝きを見つめながら、そっと息を吸い込んだ。

(この朝を、きっと一生、忘れない)

胸の奥でそんな言葉が浮かんで、ゆっくりと目を閉じる。

いつかまた、不安や迷いに触れる日が来ても、
この瞬間を思い出せば――きっと、前を向ける。

彼の腕のぬくもりの中で、あやは静かに笑った。

夜の余韻と朝の光のあいだで、ふたりの物語は、まだ静かに始まったばかりだった。







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