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第一章 はじめての朝、はじめての報告
🩷2話 また、はじまる
「じゃあ、ちょっと休憩しよっか」
ケイがそう言って、ふわりとベッドに背中を預けた。
「えー? 食べたばっかりなのに~?」
あやが軽く笑いながら返すと、ケイは片腕を伸ばして目を細める。
「うん、いいのいいの。今日は……特別な日だから」
その言葉に、あやの胸が「トクン」と鳴った。
何気ない声色なのに、優しさがじんわり滲んで、足元がふわっと揺れるみたいになる。
「……もう、そんな言い方ずるい」
そう言いながら、あやもベッドに腰を下ろし、彼の隣に身を横たえた。
ケイは身体を向け、そっと指先であやの髪を撫でる。
「さっき起きたばっかりだけど……隣にいてくれると、こうしてたいって思う」
「こうしてたい?」
くすぐるような問いに、ケイは照れくさそうに目を細め、「んー……ゆっくりしたいってことだよ」 と笑う。
お互いに笑い合いながら身体が近づく。
頬と頬が寄り、肩が触れ合い、少し手を伸ばすだけでぬくもりが届く。
「なんか……あったかいね」
「うん。こういうの……なんか、幸せだな」
そっと彼の胸に手を置いた瞬間、ケイが軽く引き寄せた。
あやの背中に回される腕。胸元に伝わる鼓動。
朝の光が柔らかく降り注ぐ中、二人の呼吸が少しずつ変わっていく。
遊ぶように触れていた手が、静かに、でも確かにあやの腰を包み込む。
笑い合っていた空気に、ほんの少しだけ熱が混じった。
あやは視線をそらしながらも、そっと目を閉じる。
背中がぞくっとするほどの気配に、胸の奥が甘く疼いた。
──あ、また……始まる。
そう思った瞬間、ケイの指があやの頬をなぞった。
触れているのに、触れていないような、その絶妙な距離に心臓がきゅっと締めつけられる。
「……あやちゃん、こっち見て」
小さな声に、あやはゆっくり目を開けた。
視線が合った瞬間、胸の奥がまた跳ねる。
Tシャツ一枚の自分に意識が向く。
下着をつけていないこと、しかもその生地が薄いことに気づくと、顔が熱くなる。
さっきケイに「似合うね」と笑われたその服。
思い出しただけで、あやはシーツをぎゅっと握りしめた。
恥ずかしいのに、嫌じゃない。むしろ、熱が身体の奥から広がっていく。
ケイがそっと髪をかき上げて、低く呟いた。
「……なんか、ドキドキするな。朝なのに」
「……それ、ケイくんのせい……」
震え気味の声に、ケイは笑った。
でも次の瞬間、その笑顔は真剣なものに変わっていく。
指先が頬から顎、そして首筋へ──
やさしく、それでいて熱を確かに残して辿っていく。
唇が触れた。
朝の光の中、透けるTシャツの向こうに感じる視線。
どこをどう見られているのかを意識してしまい、あやは目を閉じた。
(やだ……こんなに明るいのに……)
(見られてるって思うだけで……また……)
息が甘くこぼれる。
ケイの唇は首筋から鎖骨へ。
あやは無意識に背を少し反らせてしまう。
Tシャツ越しに伝わる手のひらの熱。
胸に触れられた瞬間、声がふっと跳ねた。
「あ……んっ」
「……あやちゃん、また……可愛い声、出た」
耳に届いたその囁きに、顔から火が出るほど熱くなる。
でも、逃げることも隠すこともできなかった。
腰のあたりに滑り込む手。
Tシャツの裾に指がかかる。
それだけで脳が甘く痺れる。
「恥ずかしい?」
「……うん……でも、やじゃない……」
その素直な声に、ケイが微笑む。
そして、ゆっくりとTシャツの裾が持ち上げられていった──。
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