聖女を騙る人がもてはやされていますが、本物の私は隣国へ追い出されます

☆ミ

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その障りの原因はなに

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「午後から補佐官がやって来て、説明を受ける予定があります」

 そういえばそんなことあったっけ。神殿のこと説明するとかね、聞かないと始まらないわ。面倒だけど最初だけはしかたないかなーって。

「リスィは知ってるかしら、ハマダ大尉たちってこれでお別れ? 移動の時の護衛だって話だった気がするのだけど」

 神殿に籠もっている内にさようならだと流石に悪いので、ちゃんと一言挨拶位はしたいなと思ってるの。だって一緒に居て頼りになったし、こちらのこと気遣ってくれてるのわかったし。

「私とは別の指示を受けている可能性が御座いますのでお答えできません。私はずっとお傍におりますが」

 それもそうよね、こういうことは本人に聞かないと。でもリスィはずっといてくれるのね、一人でずっとやってきたけど、知らないところで急にそれは私でも流石に寂しいわ。

「ちょっと下に行ってきます」

 黒服の人たちが家の内外に居て、思い思いに過ごしてるわ。ハマダ大尉が一階の部屋に居るって聞いたから入ろうとすると、扉が開けっぱなしになってる。部屋に居るのにどうしてかしら、閉め忘れとかじゃないならそういう風習?

「あのハマダ大尉、ちょっと良いですか?」

「レディ、何なりと」

 こちらに気づくと歩み寄って来て胸を張って待機する。律儀な所作だけれど、性格が穏やかなので嫌味が無いわね。肩ひじ張って威圧的な人が多いのに、軍人なのにどうしてかしら。

「黒服の人たちって、ここに着いたらお別れですか? 移動時の護衛って話でしたよね」

 基本的に私の知らないところで色々と決められて動いてるから、軸がどこにあるやら。まあ積極的に自分で入って行かないのが原因なんだけどね!

「マケンガ侯爵が到着して任務をお返しするまでは専属部隊は護衛に就いております」

「あ、そうなんですね。わかりました、ありがとうございます」

 そっか、まだちょっと先よね。それなら挨拶は終わりが来てからにしましょうか。少しホッとしたわ、知っている人が近くにいるって安心するから。うーん、この移動の間に、ハマダ大尉は知ってる人ってカテゴリに入ったのね、神職とかでたまに一緒になった人とは別に親近感があるわ。不思議。


 その後、私は神殿で一人祈りを捧げています。外では黒服の人たちが警備をしてくれているみたい。あの市長の部下だったら落ち着かないけど、ハマダ大尉たちだったら安心。その差は何かしらね。神殿から周辺に広がって行く意識、今まで居た王都、それがオプファーでもゲベートでも変わらないけど、そういった安定した土地とは全く違う険しさが凄いわ。

 少し広げようとするだけで抵抗が激しい、直ぐに疲れてしまって倒れそうになる。その度に部屋で横になって天井を仰ぐの。思ったよりも厳しい状態なのね、でもやることはかわらないけれど。持ってきたお菓子を口にして一息つく。

 地味よね、知らないところで苦労してるのって。だからオプファーでは外に出てあれこれアピールしてた聖女モドキが大人気になれたのよ、実際は私がしていたのに。まあいいけど。

 しかし、結界はるどころの話じゃないわねこれだと。どうにかして時間短縮できないかな。この逆撫でされるような感覚の主が少しでも離れてくれればいいけど、ミノタウロスじゃないわよ。相談してみましょう、相手は市長……なのかな?

 神殿を出ると太陽が眩しくて少し立ち止まってしまう。外には黒服の人が居て、こちらの姿を見ると小さく会釈をする。まずは行ってみましょう、市庁舎に。

「急ですけど市庁舎に行ってきます」

 行き先を告げると黒服の人が傍に来て気を付けの態勢で動くのを待つ、その前に高音域の警笛を軽くピッピッピーって鳴らしてたけど。歩いてるうちに別の黒服の人が三人やって来て四方に別れて一緒に歩くわ。こういうのもやり方あるのよね、左斜め前と右斜め後ろ、そして左右に一人ずつ。

 ふと止まって「市庁舎ってどこか解りますか?」王宮とかなら見たらわかるけど、市庁舎って。前を歩いていた黒服の人が「ご案内致します」短くそう言ってゆっくりと歩いてくれる。囲いがある域はかなり広いけど、壁で囲んでいるのはまだそんなに大きくないのよね。

 将来の拡張を見込んでのことでしょうこれ。今ある街のど真ん中には行かずに、少しばかり南側にあるのが市庁舎みたい。思ってたよりも小さいわね、うーん、でも比較が王宮だからよね絶対に。

 待たされはしたけど、市長があってくれるってことになったわ。日が傾いたころにようやくよ。

「お待たせしまして申し訳ないですな」

「急にごめんなさい。少し相談があって」

 椅子を勧められて座るけど、黒服の人たちは後ろで立ったままよ。リベンゲ市長はまるで視界に入っていないかのようにしてるけど、こういうものなのかしらね。

「それでご相談とは」

「神殿で祈りを捧げてはみたものの、どこかで強い抵抗にあってしまい全然はかどりません。原因が何か心当たりはありませんか?」

 何かしらの存在がある、市内って感じじゃないから近隣のどこかに。そういう漠然とした話でも情報が集まる市長ならきっと何か知っているはずよ。

「なるほど。街の北西部に山があり、そこに何かが棲みついているとの噂が。特に被害もないので調査はしていないのですが、もしかするとそれかもしれませんな」

「どのくらいの距離ですか」

「歩いてに二時間そこそこ」

 ということは見える場所ね。最北端の街だからこその無関心、それより北に用事が無いならわざわざ関わらないのは賢明かも。原因がそれかはわからないのが辛いところね。

「確信はないんですけど、それが一時的にでも取り除かれないと聖域が拡げられません。一度調査してもらうことは出来ませんか?」

「うーん。今回のこれは国家規模の計画、障害があれば除くのは市長の役目でもある。今なら軍も居るのでそちらで調べることが出来ないか打診してみましょう」

 前向きに善処するとかって追い払われなくて良かったわ。ちゃんと仕事する気がある人なのね。

「じゃあ早速行きます」

「ああ、申し訳ないですが私は予定が色々立てこんでいて。三日は自由に出来そうにもない、そちらで直接行ってもらえると早いんですが」

 あれ、急に渋った? 本当はやる気がないのか、それとも忙しすぎていけないのか。真面目に働きすぎて時間が取れないと今は思っておきましょう。

「はぁ」

 行ってみてダメなら市長からも頼んでもらうってことで良いわよね。どうしても無理なら、侯爵が来るまで今のままでやりましょう。そこ以外にも原因があるかも知れないから、どちらにしても色んなところで話を聞いてみるのは必須だわ。

「街の周辺に詳しい人をどなたか紹介していただけませんか」

「それなら宿屋の主人が詳しい、間接的にだがね」

 妙な人が出て来たわね、でもいいわ後で行ってみましょう。席をたって礼をして市庁舎を出る、近くに軍の駐屯所があるわ、これこそがど真ん中に。誰が街を整備したかがよく解るわね。
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