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10.面倒くさい男(アロイスside)
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「『気持ち悪いから笑うな』とか、なんて酷いこと言うんだナ!」
「だって最近リリの事まともに見るのもキツいんだ、可愛すぎて……笑顔なんて耐えられない…それに、もしその笑顔が他の奴に向けられたらって想像するだけで、吐きそうなくらい気持ちが悪くなる……」
「お、オマエ、言葉選びがバグってるナ………」
話し相手として呼び出した悪魔のナーチは、悪魔らしからぬ善良さで俺の相談に乗ってくれた。
報酬(魔力)につられて付き合ってくれていたのが、最近では呆れながらも頭を悩ませてくれていて、たぶん本気で良い奴なのである。
思い返せば、度々指摘は受けてきた。
「『不細工だから隠した方がいい』だなんて、女の子に絶対言っちゃ駄目ナ!」
「可愛すぎて心配だから他の人に顔を見せないようにしてほしいって、素直に言えって? 無理に決まってるだろアホなの?」
「アホはオマエだナ!!」
またある日は、
「ナァ…毎朝自分好みの茶を淹れてくれてるのに、なんでお礼が言えないのナ……」
「だって、俺のために健気に悩んでくれてるんだと思うと堪らなくて。もっと悩ませたくなるし、しゅんとした顔が可愛くて気付いたらつい意地の悪いこと口走ってる…あと、リリに見られながらお茶飲むの、手がぶるっぶるになってヤバいから見られたくないんだけど、勝手に出て行かれるのは嫌なんだよね……」
「アロイス…そろそろ精神科に掛かった方がいいナ……」
そして、鬱陶しい令嬢との茶会の日も、
「『いてもいなくても関係ない』って、思ってもないこと言うのはいい加減やめるナ!」
「え、思ったこと言っただけだけど」
「はぁ!?!?!?」
「毎日毎日、よく知りもしない女の相手をしなきゃならないとか、リリが近くにいてくれないと耐えられないよ。だから俺にとってはリリの存在は必須、だけどあの令嬢にとってはリリがいてもいなくても関係ないでしょ? そもそも俺だってあの人と何の関係もないよ、ていうか誰アレ」
「オマエはどうしてそう誤解を生む言い回しをしてしまうんだナ! あとオリヴィアって子にも流石に失礼すぎるナ!」
「?」
「心底不思議そうにするナァッ!! オマエが今日会ってた令嬢のことナ! ──はぁ…外面を良くしすぎた結果、オフモードに入るなりここまでポンコツになるなんて…もう重症ナ……」
──とまぁ、これらのほかにも確かに再三注意を受けてきたわけだが、俺はどうにもそれを無碍にしてしまっていたらしい。
「天才が聞いて呆れるナ」
他の女性には歯の浮くような台詞を簡単に言ってのけるくせに、どうしてリリには上手くやれないんだと、ナーチが溜め息交じりに言う。
待て待て、それはちょっと聞き捨てならない。
「リリをその他大勢と一緒にしないでもらえる?」
「あーーーめんどくさァっ!!! わかってたけど、ほんっとにめんどくさい奴だナ!!!」
「あ、やばい、長い間リリに会ってないせいで頭痛が……」
「もうボクにはどうにもできないナ……」
ナーチがため息混じりにぼやいた。
俺だって俺を何とかしたい。
「だって最近リリの事まともに見るのもキツいんだ、可愛すぎて……笑顔なんて耐えられない…それに、もしその笑顔が他の奴に向けられたらって想像するだけで、吐きそうなくらい気持ちが悪くなる……」
「お、オマエ、言葉選びがバグってるナ………」
話し相手として呼び出した悪魔のナーチは、悪魔らしからぬ善良さで俺の相談に乗ってくれた。
報酬(魔力)につられて付き合ってくれていたのが、最近では呆れながらも頭を悩ませてくれていて、たぶん本気で良い奴なのである。
思い返せば、度々指摘は受けてきた。
「『不細工だから隠した方がいい』だなんて、女の子に絶対言っちゃ駄目ナ!」
「可愛すぎて心配だから他の人に顔を見せないようにしてほしいって、素直に言えって? 無理に決まってるだろアホなの?」
「アホはオマエだナ!!」
またある日は、
「ナァ…毎朝自分好みの茶を淹れてくれてるのに、なんでお礼が言えないのナ……」
「だって、俺のために健気に悩んでくれてるんだと思うと堪らなくて。もっと悩ませたくなるし、しゅんとした顔が可愛くて気付いたらつい意地の悪いこと口走ってる…あと、リリに見られながらお茶飲むの、手がぶるっぶるになってヤバいから見られたくないんだけど、勝手に出て行かれるのは嫌なんだよね……」
「アロイス…そろそろ精神科に掛かった方がいいナ……」
そして、鬱陶しい令嬢との茶会の日も、
「『いてもいなくても関係ない』って、思ってもないこと言うのはいい加減やめるナ!」
「え、思ったこと言っただけだけど」
「はぁ!?!?!?」
「毎日毎日、よく知りもしない女の相手をしなきゃならないとか、リリが近くにいてくれないと耐えられないよ。だから俺にとってはリリの存在は必須、だけどあの令嬢にとってはリリがいてもいなくても関係ないでしょ? そもそも俺だってあの人と何の関係もないよ、ていうか誰アレ」
「オマエはどうしてそう誤解を生む言い回しをしてしまうんだナ! あとオリヴィアって子にも流石に失礼すぎるナ!」
「?」
「心底不思議そうにするナァッ!! オマエが今日会ってた令嬢のことナ! ──はぁ…外面を良くしすぎた結果、オフモードに入るなりここまでポンコツになるなんて…もう重症ナ……」
──とまぁ、これらのほかにも確かに再三注意を受けてきたわけだが、俺はどうにもそれを無碍にしてしまっていたらしい。
「天才が聞いて呆れるナ」
他の女性には歯の浮くような台詞を簡単に言ってのけるくせに、どうしてリリには上手くやれないんだと、ナーチが溜め息交じりに言う。
待て待て、それはちょっと聞き捨てならない。
「リリをその他大勢と一緒にしないでもらえる?」
「あーーーめんどくさァっ!!! わかってたけど、ほんっとにめんどくさい奴だナ!!!」
「あ、やばい、長い間リリに会ってないせいで頭痛が……」
「もうボクにはどうにもできないナ……」
ナーチがため息混じりにぼやいた。
俺だって俺を何とかしたい。
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